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第6話:魔法のランプで大騒動(その4)
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待ち合わせの場所に3人が集まると、
「これをちょっと見てほしいんだけど・・」
と蛍がカバンから何かをゴソゴソと取り出す。
ひまわりと太陽が、何が出てくるのかとじっと注目していると、蛍はなんと「魔法のランプ」を取り出した。
「深谷!
おまえなんでこんなの持ってるんだよ!?」
蛍が持ってきたランプは、依頼者の写真に写っている「魔法のランプ」とほとんどそっくりである。
「うちの蔵にあったのよ」
「蔵に・・」
さすが超常現象研究家の父を持つ蛍の家の蔵には、本当にいろんな不思議なものがあるようだ。
「私が見たところ、何ともない普通のお土産品のランプだと思うんだけど、魔力のあるひまわりちゃんには、どう見える?」
蛍からランプを渡され、ひまわりは何かよく分からないけどランプをサワサワと触ってみた。
「うーん・・特にこれといって何も・・」
「じゃあ、やっぱりお土産品の可能性が高いわね」
そう言って蛍は再びカバンにランプを入れ戻す。
それを見ていた太陽が、
「おい、それ持っていくのか?」
と聞くと、蛍はうなずき、
「ええ、何かの役に立つかもしれないから」
と答えた。
そして3人は地図を見ながら、依頼者の家にたどりつくと、その建物にアッと驚いた。
外国の洋館をド派手にしたような建物であきらかに近所の中でも目立っている。
真っ赤な屋根にはメルヘンな旗が風になびいており、西洋のお城にあるような塔も見える。
洋館で統一されているのかと思いきや、反対側には金のしゃちほこのようなモノも見え、とりあえず突っ込みどろの多い建物なのだ。
表札には、
「NAOTO HAMASAKI」
という名前が掲げられていた。
その名前を見たひまわりが「あっ!」と声を出す。
「もしかしたら、プリンス・ナオトのお家かもしれません!」
「プリンス・ナオト?、誰だ、それ・・」
『そんな変な名前の人なんか知らない』というような顔で太陽が聞き返す。
するとひまわりが、
「同業者なので、お兄ちゃんとかから聞いたことあるんですけど、今人気急上昇の占い師さんなんです」
と説明したため、
「ああ、だからこんな変な名前なのか」
と納得する太陽と蛍。
「でも・・」
「でも?」
ひまわりは少し考え込む。
「昔は本当に真面目な人で、
素朴だけどしっかりしたタロット占いをやっていて、この業界からも一目置かれていたのですが、地味な外見のせいか、なかなか注目されなくて」
確かに、占いの業界では腕が良いことももちろん重要だが、メディアなどに取り上げられようと思えば、容姿なども関わってくるであろう。
ひまわりの兄がちょくちょくメディアに取り上げられ、雑誌で占いのコーナーを連載させてもらっているのも、「イケ面」である点が大きいのだ。
そんな地味なプリンス・ナオトだったが・・
「それが急に最近、派手な『見せる占い』の方法に変わって、一気に世の中から注目され始めたんです。
以前のナオトさんとは全く変わってしまったようで、お兄ちゃんもどうしたんだろう、って心配してました」
と、ひまわりが思い出したことを語った。
その話を聞いた太陽と蛍も首をかしげる。
「うーん・・
何か心境の変化でもあったのか?
派手な彼女ができたとか」
「それとも、メディアに引っ張り出されて無理やりイメチェンさせられたとか」
しばらく3人とも不思議に思っていたが、考えてもしょうがないので、とりあえず屋敷に入ることにした。
来客に気づいたメイドがナオトの部屋に急ぐ。
「コンコン」とドアをノックしペコリと頭を下げて部屋に入った。
「ナオト様、
レイのお客様が見られたようですが・・」
執務机に座って、仕事をしていたナオトが顔を上げる。
「そう?じゃあ、通して」
「かしこまりました」
メイドがバタンとドアを閉め、客人を迎えに行った後、ナオトは机の上に並べたタロットカードをジッと眺め、1枚スッと引いた。
そのカードには、亀裂が走り今にも崩れてしまいそうな塔(タワー)の絵が描かれている。
「『THE TOWER』か。
客人に、とんだ災難がふりかかるかもな」
そう言うと、ナオトはニッと笑った。
「これをちょっと見てほしいんだけど・・」
と蛍がカバンから何かをゴソゴソと取り出す。
ひまわりと太陽が、何が出てくるのかとじっと注目していると、蛍はなんと「魔法のランプ」を取り出した。
「深谷!
おまえなんでこんなの持ってるんだよ!?」
蛍が持ってきたランプは、依頼者の写真に写っている「魔法のランプ」とほとんどそっくりである。
「うちの蔵にあったのよ」
「蔵に・・」
さすが超常現象研究家の父を持つ蛍の家の蔵には、本当にいろんな不思議なものがあるようだ。
「私が見たところ、何ともない普通のお土産品のランプだと思うんだけど、魔力のあるひまわりちゃんには、どう見える?」
蛍からランプを渡され、ひまわりは何かよく分からないけどランプをサワサワと触ってみた。
「うーん・・特にこれといって何も・・」
「じゃあ、やっぱりお土産品の可能性が高いわね」
そう言って蛍は再びカバンにランプを入れ戻す。
それを見ていた太陽が、
「おい、それ持っていくのか?」
と聞くと、蛍はうなずき、
「ええ、何かの役に立つかもしれないから」
と答えた。
そして3人は地図を見ながら、依頼者の家にたどりつくと、その建物にアッと驚いた。
外国の洋館をド派手にしたような建物であきらかに近所の中でも目立っている。
真っ赤な屋根にはメルヘンな旗が風になびいており、西洋のお城にあるような塔も見える。
洋館で統一されているのかと思いきや、反対側には金のしゃちほこのようなモノも見え、とりあえず突っ込みどろの多い建物なのだ。
表札には、
「NAOTO HAMASAKI」
という名前が掲げられていた。
その名前を見たひまわりが「あっ!」と声を出す。
「もしかしたら、プリンス・ナオトのお家かもしれません!」
「プリンス・ナオト?、誰だ、それ・・」
『そんな変な名前の人なんか知らない』というような顔で太陽が聞き返す。
するとひまわりが、
「同業者なので、お兄ちゃんとかから聞いたことあるんですけど、今人気急上昇の占い師さんなんです」
と説明したため、
「ああ、だからこんな変な名前なのか」
と納得する太陽と蛍。
「でも・・」
「でも?」
ひまわりは少し考え込む。
「昔は本当に真面目な人で、
素朴だけどしっかりしたタロット占いをやっていて、この業界からも一目置かれていたのですが、地味な外見のせいか、なかなか注目されなくて」
確かに、占いの業界では腕が良いことももちろん重要だが、メディアなどに取り上げられようと思えば、容姿なども関わってくるであろう。
ひまわりの兄がちょくちょくメディアに取り上げられ、雑誌で占いのコーナーを連載させてもらっているのも、「イケ面」である点が大きいのだ。
そんな地味なプリンス・ナオトだったが・・
「それが急に最近、派手な『見せる占い』の方法に変わって、一気に世の中から注目され始めたんです。
以前のナオトさんとは全く変わってしまったようで、お兄ちゃんもどうしたんだろう、って心配してました」
と、ひまわりが思い出したことを語った。
その話を聞いた太陽と蛍も首をかしげる。
「うーん・・
何か心境の変化でもあったのか?
派手な彼女ができたとか」
「それとも、メディアに引っ張り出されて無理やりイメチェンさせられたとか」
しばらく3人とも不思議に思っていたが、考えてもしょうがないので、とりあえず屋敷に入ることにした。
来客に気づいたメイドがナオトの部屋に急ぐ。
「コンコン」とドアをノックしペコリと頭を下げて部屋に入った。
「ナオト様、
レイのお客様が見られたようですが・・」
執務机に座って、仕事をしていたナオトが顔を上げる。
「そう?じゃあ、通して」
「かしこまりました」
メイドがバタンとドアを閉め、客人を迎えに行った後、ナオトは机の上に並べたタロットカードをジッと眺め、1枚スッと引いた。
そのカードには、亀裂が走り今にも崩れてしまいそうな塔(タワー)の絵が描かれている。
「『THE TOWER』か。
客人に、とんだ災難がふりかかるかもな」
そう言うと、ナオトはニッと笑った。
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