SUN×SUN!

楠こずえ

文字の大きさ
上 下
63 / 78

第6話:魔法のランプで大騒動(その3)

しおりを挟む
「ほら、
いろいろあって、
おれがおまえと話をしなかった間に、
杖を目覚めさせたり、
火の魔法を使ったりと、
ひまわり、すごかったじゃん!
それがずっと気になってしょうがなかったけど、
深谷がいたからさ・・」

「は・・はあ・・」

どうやら太陽は蛍のことが苦手なようである。

「絶対あいつ、
またからかってくるに違いないから、
深谷の前では
聞きたくても聞けなかったんだ」

太陽からそう聞かされ、
ひまわりもだんだん事情が分かってきた。

「あの・・それで
今、家に私を呼んだのですか?」

「そーだ」

あっさり答える太陽に、
ひまわりはガックリした。

『なんだ・・ドキドキして損した・・』

おでこにキスなんてされた後だったから、
変に太陽のこと意識してしまっていた自分が
ちょっとバカに思えたのだ。


そして二人は何もなかったかのように、
魔法談義に入っていった。

「そうか、やっぱりこの本が鍵を握っていたんだな」

ひまわりが自分の家の書庫から見つけた本が、
魔法を使うためになんらかの関係を持っていると
にらんでいた太陽は、
うんうんと何度もうなずく。

ひまわりは本をパラパラとめくり、
「今はこのように
真っ白で何も書いてないのですが、
マンドレイクに襲われた時に突然、
火を使う魔法の呪文が浮かび上がってきたんです」
と言って、
火の魔法呪文が記されたページを見せた。

太陽はしばらく腕組みをして、
「うーん・・」と考え込む。

「なんだろ?
ピンチにならないと浮かんでこないのか?」

ピンチにならないと浮かんでこない呪文・・。
ひまわりは思わず苦笑した。

「それは、非常に心臓に悪いシステムですね」

絶体絶命に陥った時に
ようやく浮かんでくる魔法の呪文なんて、
待っている側としては
ハラハラドキドキでしかない。

しかも、
何の呪文が浮かんでくるかも分からないわけなので、
もしその状況に見合わないような呪文が出てきたら、
一体どうすればいいのだろうか・・。

考えただけで、胃が痛くなる・・。

結局、
呪文が浮かび上がってくるナゾは分からないまま
「魔法のランプ」の依頼者に会う日がやって来た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

愛されなければお飾りなの?

まるまる⭐️
恋愛
 リベリアはお飾り王太子妃だ。  夫には学生時代から恋人がいた。それでも王家には私の実家の力が必要だったのだ。それなのに…。リベリアと婚姻を結ぶと直ぐ、般例を破ってまで彼女を側妃として迎え入れた。余程彼女を愛しているらしい。結婚前は2人を別れさせると約束した陛下は、私が嫁ぐとあっさりそれを認めた。親バカにも程がある。これではまるで詐欺だ。 そして、その彼が愛する側妃、ルルナレッタは伯爵令嬢。側妃どころか正妃にさえ立てる立場の彼女は今、夫の子を宿している。だから私は王宮の中では、愛する2人を引き裂いた邪魔者扱いだ。  ね? 絵に描いた様なお飾り王太子妃でしょう?   今のところは…だけどね。  結構テンプレ、設定ゆるゆるです。ん?と思う所は大きな心で受け止めて頂けると嬉しいです。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

処理中です...