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第3話:魔法の秘薬を探せ!(その5)
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「深谷、まさかこれを引っこ抜きたいと思ってるのか!
危険だぞ!?」
「ああ、そうだから依頼したんだよ」
太陽と蛍の会話は、
ひまわりにはチンプンカンプンすぎるのだが、
ただ「危険」だということは何となく分かる。
いつも余裕をこいている太陽があわてているから、
よっぽどのことなのだろう。
ものすごく不安になって、2人に思い切って聞いてみた。
「あの・・・『マンドレイク』って何ですか?
なんで危険なんですか?」
ひまわりの質問に、太陽が答える。
「マンドレイクとは魔法の植物で、
根っこが人間の姿に似たものだ。
非常に強い魔法の力を持っているから、
『魔法薬』を作る時には重要な材料になってくるんだ」
その説明に蛍が付け加える。
「ただし、引っこ抜く時に
マンドレイクは叫び声をあげるんだけど、
その声を聞いた者を殺す力を持っているそうよ」
「ええっ!?殺す!?」
ひまわりはびっくりして大声を出した。
頭の中はパニックだ。
「えっ!?えっ!?
じゃあ、どうやって抜くんですか!?
そんな恐ろしいもの!」
「昔の人は、
腹を空かせた犬にエサで釣って引き抜かせていたらしいぞ」
またもや衝撃的な説明に、ひまわりはびっくりする。
普段、大人しくて
自分の意見などをめったに言わないひまわりだが、
ここでは思わず、
「そんなの犬がかわいそうです!!」
と叫んだので、太陽も驚いてしまった。
パニックに陥っているひまわりを落ちつかせようと、
太陽はいつもより優しい声で、
「大丈夫だ、犬は使わない。
魔法の力を使えばいいんだよ。
この前、探し物をした時のように
紙人形を使ってもいいし。
元々あれは紙だから、死ぬこともないからな」
と説明したので、
ひまわりもホッとした表情を見せた。
「それより―」
太陽は蛍の方に目を移す。
「マンドレイクはほとんど空想の産物だ。
実際存在するとは言えない。
それをどうやって探すつもりだ?」
魔法の書物には、必ずといっていいほど出てくるこの植物。
しかし、本当に実在したかは分からない。
もしかしたら、大根や人参などが二股に分かれているものを
「マンドレイク」と信じて秘薬に使っていただけかもしれない。
しかし蛍は、
「ああ、それなら大丈夫。
生えている場所は
だいたい分かっているからな」
とあっさり答えたので、太陽は「えっ!?」と驚いた。
「父がヨーロッパを研究旅行中に
マンドレイクの株を、
魔女の子孫という人から譲り受けて、
持って帰ってきたのだが、危険なものだ。
人目につかない裏山にとりあえず埋めて、
魔術師の人に結界をそこに張ってもらったらしい。
しかし・・・」
「しかし?」
ひまわりと太陽はゴクリと息を呑む。
「埋めた場所を忘れたらしい」
思わず2人はイスからずり落ちてしまった。
危険だぞ!?」
「ああ、そうだから依頼したんだよ」
太陽と蛍の会話は、
ひまわりにはチンプンカンプンすぎるのだが、
ただ「危険」だということは何となく分かる。
いつも余裕をこいている太陽があわてているから、
よっぽどのことなのだろう。
ものすごく不安になって、2人に思い切って聞いてみた。
「あの・・・『マンドレイク』って何ですか?
なんで危険なんですか?」
ひまわりの質問に、太陽が答える。
「マンドレイクとは魔法の植物で、
根っこが人間の姿に似たものだ。
非常に強い魔法の力を持っているから、
『魔法薬』を作る時には重要な材料になってくるんだ」
その説明に蛍が付け加える。
「ただし、引っこ抜く時に
マンドレイクは叫び声をあげるんだけど、
その声を聞いた者を殺す力を持っているそうよ」
「ええっ!?殺す!?」
ひまわりはびっくりして大声を出した。
頭の中はパニックだ。
「えっ!?えっ!?
じゃあ、どうやって抜くんですか!?
そんな恐ろしいもの!」
「昔の人は、
腹を空かせた犬にエサで釣って引き抜かせていたらしいぞ」
またもや衝撃的な説明に、ひまわりはびっくりする。
普段、大人しくて
自分の意見などをめったに言わないひまわりだが、
ここでは思わず、
「そんなの犬がかわいそうです!!」
と叫んだので、太陽も驚いてしまった。
パニックに陥っているひまわりを落ちつかせようと、
太陽はいつもより優しい声で、
「大丈夫だ、犬は使わない。
魔法の力を使えばいいんだよ。
この前、探し物をした時のように
紙人形を使ってもいいし。
元々あれは紙だから、死ぬこともないからな」
と説明したので、
ひまわりもホッとした表情を見せた。
「それより―」
太陽は蛍の方に目を移す。
「マンドレイクはほとんど空想の産物だ。
実際存在するとは言えない。
それをどうやって探すつもりだ?」
魔法の書物には、必ずといっていいほど出てくるこの植物。
しかし、本当に実在したかは分からない。
もしかしたら、大根や人参などが二股に分かれているものを
「マンドレイク」と信じて秘薬に使っていただけかもしれない。
しかし蛍は、
「ああ、それなら大丈夫。
生えている場所は
だいたい分かっているからな」
とあっさり答えたので、太陽は「えっ!?」と驚いた。
「父がヨーロッパを研究旅行中に
マンドレイクの株を、
魔女の子孫という人から譲り受けて、
持って帰ってきたのだが、危険なものだ。
人目につかない裏山にとりあえず埋めて、
魔術師の人に結界をそこに張ってもらったらしい。
しかし・・・」
「しかし?」
ひまわりと太陽はゴクリと息を呑む。
「埋めた場所を忘れたらしい」
思わず2人はイスからずり落ちてしまった。
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