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第8話:先生のお誕生日(その10)

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「誕生日会って何をやったらいいんだろう?」
と私は首をかしげた。

ううっ・・・

勉強ばかりの人生で、友達の誕生日会とかほとんど行ったことが無いし、まして男性の誕生日会なんて、何をしたら喜んでくれるのかなんて、全く分からない。

というか、場所はどこでやるの?

外でデートなんて人目が気になって出来ないし、いつものラーメン屋さんの2階でやるのも、何か違っているし・・・。

その時、ふと前に先生が言った言葉を思い出した。

「いつでも、家に来てくれていいよ。
待ってるから」

先生の家・・・

「えええっ!?」

廊下で思わず声を出してしまったので、近くを歩いていた人が驚いてこっちに振り返っちゃったけど、そんなの気にしている場合でもない。

先生の家で誕生日会・・・

たぶん、会場としては一番良い場所だと思う。

人目も気にしなくていいし、2人きりでお祝いできるし・・・。

でも、なんか、すごく緊張する。

どうしよう、どうしたらいいんだろう!!

と、考えている間に、あっという間に放課後になり、私はそのまま塾に来ていた。

相変わらず、誕生日会のことで頭がいっぱいで、ものすごく悩んでいる顔をしていたんだと思う。

隣の席に座っていた水野が、
「西森、どうしたんだ?
さっきから、ずっと思い悩んだ顔してるけど、そんなに解けない問題でもあるわけ?
おれで解ける問題だったら、教えるけど」
と声をかけてきた。。

「え・・・」

水野にそう言われ、そんなに思い悩んでいる顔をしていたのかと思って、軽くショックを受ける。

私は深いため息をつき、
「別に勉強のことで悩んでいるわけじゃないよ。
水野に相談したって、仕方ないし」
と言うと、水野は何かひらめいたような顔で、
「なるほど、『勉強』のことじゃなかったら『先生』のことで悩んでんじゃないの?」
と言ってきた。
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