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第7話:トキメキ文化祭(その31)
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真っ暗なお化け屋敷。
突然現れたお化けにビックリして、隣にいた水野君に抱きついてしまった西森を目撃し、身体が固まってしまった。
水野君は、
「西森、大丈夫だって。
本物のお化けじゃないんだから」
と言って、西森の頭をポンポンと軽くたたく。
西森はハッとしたのか、
「ごっ、ごめん!」
と、急いで離れようとしたが、水野君がパッと手をつかんだ。
「え?」
ビックリした西森が、水野君の顔を見つめる。
水野君はソッと西森の方に顔を近づけながら、
「西森、おれ、やっぱり・・・」
と、何かを言いかけようとした時だ。
「せ、先生!?」
西森がおれの存在に気づいた。
盗み見をしていたわけでもないのに、なんだか二人のジャマをしてしまったようで、気まずい。
別に悪いことなんて何もしてないのに・・・。
でも、このまま黙って立ち去るわけにもいかないので、
「そ、その、生徒達が『お化け屋敷に入れ』って勧めるから、仕方なく入ったんだけど、思いのほか怖くてビックリだ」
と苦笑いをした。
おれに気づいた水野君は、パッと西森から離れ、
「ほんと、よく出来ていますよね、このお化け屋敷」
と何事もなかったように微笑んだ。
ただ、西森だけは何も言わず、うつむいている。
3人の間に微妙な空気が流れた。
でも、こんな所でジッとしているわけにもいかないので、
「じゃ、とりあえず先に進んで、早くここから脱出しようか。
ノドも乾いたしね」
とおれが言うと、西森も水野君もコクリとうなずき、再び3人で歩き出した。
何か明るい話でもすればよかったのかもしれないが、今さっき、西森と水野君が抱き合っていたシーンを見て、猛烈にヤキモチを焼いていたので、何も話す気にはなれない。
あれは事故なんだから、笑って許せばいいのに、それが出来ず、ずっとモヤモヤしている自分がかっこ悪くて、ほんと嫌になる。
西森を真ん中に3人で並んで歩いていると、ふと西森の手がおれの手に触れた。
近くには水野君もいるし、周りには脅かし役のお化けの生徒達だって隠れてどこかにいるのかもしれなかったけど、思わず西森の手をギュッと握ってしまった。
突然現れたお化けにビックリして、隣にいた水野君に抱きついてしまった西森を目撃し、身体が固まってしまった。
水野君は、
「西森、大丈夫だって。
本物のお化けじゃないんだから」
と言って、西森の頭をポンポンと軽くたたく。
西森はハッとしたのか、
「ごっ、ごめん!」
と、急いで離れようとしたが、水野君がパッと手をつかんだ。
「え?」
ビックリした西森が、水野君の顔を見つめる。
水野君はソッと西森の方に顔を近づけながら、
「西森、おれ、やっぱり・・・」
と、何かを言いかけようとした時だ。
「せ、先生!?」
西森がおれの存在に気づいた。
盗み見をしていたわけでもないのに、なんだか二人のジャマをしてしまったようで、気まずい。
別に悪いことなんて何もしてないのに・・・。
でも、このまま黙って立ち去るわけにもいかないので、
「そ、その、生徒達が『お化け屋敷に入れ』って勧めるから、仕方なく入ったんだけど、思いのほか怖くてビックリだ」
と苦笑いをした。
おれに気づいた水野君は、パッと西森から離れ、
「ほんと、よく出来ていますよね、このお化け屋敷」
と何事もなかったように微笑んだ。
ただ、西森だけは何も言わず、うつむいている。
3人の間に微妙な空気が流れた。
でも、こんな所でジッとしているわけにもいかないので、
「じゃ、とりあえず先に進んで、早くここから脱出しようか。
ノドも乾いたしね」
とおれが言うと、西森も水野君もコクリとうなずき、再び3人で歩き出した。
何か明るい話でもすればよかったのかもしれないが、今さっき、西森と水野君が抱き合っていたシーンを見て、猛烈にヤキモチを焼いていたので、何も話す気にはなれない。
あれは事故なんだから、笑って許せばいいのに、それが出来ず、ずっとモヤモヤしている自分がかっこ悪くて、ほんと嫌になる。
西森を真ん中に3人で並んで歩いていると、ふと西森の手がおれの手に触れた。
近くには水野君もいるし、周りには脅かし役のお化けの生徒達だって隠れてどこかにいるのかもしれなかったけど、思わず西森の手をギュッと握ってしまった。
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