上 下
41 / 201

第3話:ドキドキ初デート(12)

しおりを挟む
「は、はい!?」

「だって、ホテルのこととか詳しそうだから、今まで誰かと一緒に行ったことがあるのかな、と思って」

西森はチラッとこちらを見た後、また視線を窓の外に向けた。

まさかそんなこと聞かれると思ってなかったので、急に冷や汗が流れてきた。

別に、今まで誰かと付き合ったことは、全然悪いことではないし、後ろめたく思うことも無い。

でも、なんか昔の彼女のことを西森に話していいものか、どうか悩んでしまう。

なので思わず、
「そんなに、おれの昔の彼女のことが気になる?
それって、西森の焼きもちかな~」
と、ふざけて言ってみたところ、
「真剣に聞いているんです。
真面目に答えてください。」
と叱られた。

「は・・・、はい・・・」

おれがモジモジしていると、
「言えないぐらい、たくさんの人と付き合ってたんですか?」
と、ガンガン西森が攻めてくる。

「いや、そんな、たくさんでもないですよ・・・。
でも、若かったころは、いろいろありまして・・・」

「ふーん」

さっきまで、景色に感動して喜んでいた西森が急に不機嫌になってしまった。

いや、いや、おかしいだろ?

西森の方から
「どれぐらい彼女がいたんですか?」
と聞いてきたのに、おれが答えると、急に不機嫌になるなんて!

それなら、「彼女はいませんでした」とウソをつけばよかったのか?、とまで思ってしまった。

急にテンションが下がり、沈黙が流れる車内。

どうやって機嫌を直そうかアレコレ考えていると、西森が先に口を開いた。
しおりを挟む

処理中です...