上 下
40 / 201

第3話:ドキドキ初デート(11)

しおりを挟む
車はしばらく海岸線を走り、途中から山に向かう道路に入って行く。

窓に広がる景色は、キラキラ輝く海の風景から、今度は新緑のまぶしい木々のトンネルに変わった。

休日だが、対向車も少なく、2人だけのドライブを楽しめてラッキーだ。

隣に座る西森は、ずっと窓の外の風景を見ていて、
「新緑がキレイ・・・。
この辺りの木は皮の様子から見て、桜だと思います。
春だったら、桜のトンネルが見れたかもしれませんね。」
と、うれしそうに話すので、
おれは心の中で『連れてきてよかった』と思った。

そんな幸せをかみしめながら、クネクネ山道をひたすら登っていく。

ちょうど山の中腹に着いた頃だろうか。

突然、木々のトンネルが途切れ、眼下に海の風景がパーッと広がった。

「わ!すごい!」

西森が思わず声を出したので、おれもつられて、
「マジで海が、キレイだな!」
と、思わず言葉がこぼれる。

1人で見るより、2人で見た方が感動も2倍になるものなんだな。

すると、西森がおれの方に顔を向け、
「私、休日に出かけることなんてめったになかったので、こんな素敵な景色を見せてくれて、ありがとうございます。」
と、急にお礼を言ってきたので、おれはビックリして思わず急ブレーキをかけそうになった。

西森、ズルい!

さっきから、いつもの『ツンツン表情』じゃなくて、『かわいさ100%』の態度を連発するから、おれのハートはずっとドキドキしっぱなしだ!

でも、悔しいことに、西森はちっともドキドキしてないんだろうなぁ。

ずっと外の風景に目を向け、
「ほんと、キレイですね・・・」
と、1人うっとりしている。

その時だ。

突然、目の前の美しい風景を遮るかのように怪しい建物が窓の外に現れ始めた。

その建物は、安っぽい西洋のお城みたいな形をしていて、風景とのミスマッチが半端ない雰囲気を漂わせている。

西森もそれに気づき、
「先生、あのお城みたいな建物、何ですか?
ホテルって書いているけど、明らかにこの山の景観と不似合いで、変な建物なんですけど」
と、聞いてきたので、おれは思わず、
「え!西森、あの建物が何か知らないのか!?」
と言ってしまった。

と同時に、『あ、やばい!』と口を手で覆う。

やばい、やばい、やばーい!!

西森は、あの建物がつまり・・・その・・・

『ラブホテル』だということを知らないんだ。

それなのに、おれが「知らないのか?」と口走ったせいで、変に興味を持って、根掘り葉掘り質問されたら、ヤバいぞ!

元々、教えることがそんなに上手くないのに、あの建物のことを健全な言葉で西森にちゃんと伝えられる自信は無い。

だからといって、西森にぶっちゃけトークをするわけにもいかないし。

そう思ったおれは、
「そ、そうだな。あのホテルは、ちょっと形が変だということで、この辺でも有名なんだ」
と、当たりさわりのない返答をしてみた。

すると、西森は、「ふーん・・・」と言って、窓の方に向けていた体を元に戻し、シートの背に深くもたれかかった。

よかった・・・、そんなに興味を持たなかったみたいで。

ホッとした瞬間、
「先生は、今まで何人の人と付き合ったことがあるんですか?」
と、西森から予想外の質問が飛んできた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

処理中です...