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第3話:ドキドキ初デート(6)
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「西森と一緒にプラネタリウムに行きたいんだ」
おれから突然、「初デート」のお誘いを受けた西森は、びっくりした顔のまま、しばらく動かなかった。
そうだよな。
たぶん、今まで男の人から「どこかに行かないか?」なんて誘われたことがないから、どう対応していいか分からないのだろう。
しかし
やっとおれの発言の意味を理解したのか西森が戸惑った顔をしてしゃべり始める。
「プ・・・、
プラネタリウムって、どこのプラネタリウムですか?」
『勉強が忙しいからダメ』と言って断られると覚悟していたのだが、意外にもプラネタリウムに関心を持ってくれたらしい。
これが『映画』だったら断られていたかもしれないが、『星の勉強』になりそうなプラネタリウムだったことが、良かったのかもしれない。
よし!
このチャンスを何とかモノにしなくては!
「ここからちょっと離れた山の中にある『青少年自然の館』にプラネタリウムの施設があるんだけど、老朽化のためリニューアルされることになったんだ。
で、工事の前に最後の上映会が行われるから・・・」
そこまでしゃべると、おれは一呼吸置いて、
「西森と一緒に行きたいな、って思ったんだ」
と、自分の気持ちを包み隠さず素直に伝えた。
なるべく冷静な口調で話したが、心の中では冷静さを失った心臓がドキドキ鳴りっぱなしだ。
西森は戸惑った顔のままで、
「イエス」か「ノー」か、答えはどちらかまだ分からない。
黙ったままさっきからずっと廊下に立っているので、なんだか悪いことをして廊下に立たされているような気分になってくる。
すると、西森がポツリとしゃべった。
「『青少年自然の館』、
小学生の頃に一度遠足で行ったことがあります。
ほんとに山奥の中でしたよね。
それで気になるんですけど、そこまでどうやって行くんですか?
バスとかありましたっけ?」
「行くかどうか」じゃなくて、そこまで「どうやって行くのか」が気になっていたとは・・・。
さすがクラス委員長。
きっと西森の頭の中では「デート」というよりも、「遠足」や「校外学習」に行くような感覚なのかもしれない。
でも、交通機関を気にしているぐらいだから、少しは行く気になってくれているのかな、とちょっと期待してしまう。
「自然の館までは、おれが運転して連れて行くから、交通機関のことは心配しなくていいよ」
と、自分が車を運転していくことを、さらっと答えたのだが、西森的にはそれが意外すぎたのか、びっくりした顔で叫んだ。
「え!?先生、運転できるんですか!?」
西森にそう言われて、逆におれも驚く。
「ええっ!?
運転できないと思っていたのか!?」
なに、それ!?どういうこと!?
免許も取れないぐらいバカだと、西森に思われていたのか!?
ガーン・・・と、
ショック過ぎて青くなっているおれを見た西森は、
「あ、いや、その・・・、
だって先生、学校にも電車で通勤してるじゃないですか。
だから、免許持ってないのかな、と思っていただけですから」
と、一応フォローしてくれた。
確かに電車で学校に通勤しているのを見たら、車持ってなさそうなイメージはあるかもな。
うん、深く考えるのはやめよう。
「じゃ・・・、
じゃあ、プラネタリウムまでは、先生の車で行くんですね・・・」
「ああ、ちょっとしたドライブだと思って・・・」
ドライブ?
西森を助手席に乗せて(乗ってくれないかもしれないが)、車という密室の中で2人きりの時間を過ごすのか?
もちろん、プラネタリウムを2人で見るのもドキドキするけど、車の中で2人きりというのも、いかにも『デート』っぽくてドキドキが高まりそうだ。
2人の「恋する気持ち」が高まりそうなBGMを流して、さわやかな青空の下、緑の生い茂る山の中を車で走れば、自然といい雰囲気になって・・・。
と、頭の中でドライブデートをシュミレーションしていると、西森が、
「先生、あの・・・日曜なんですが・・・」
と、イエスかノーか答えようとしていた。
おれから突然、「初デート」のお誘いを受けた西森は、びっくりした顔のまま、しばらく動かなかった。
そうだよな。
たぶん、今まで男の人から「どこかに行かないか?」なんて誘われたことがないから、どう対応していいか分からないのだろう。
しかし
やっとおれの発言の意味を理解したのか西森が戸惑った顔をしてしゃべり始める。
「プ・・・、
プラネタリウムって、どこのプラネタリウムですか?」
『勉強が忙しいからダメ』と言って断られると覚悟していたのだが、意外にもプラネタリウムに関心を持ってくれたらしい。
これが『映画』だったら断られていたかもしれないが、『星の勉強』になりそうなプラネタリウムだったことが、良かったのかもしれない。
よし!
このチャンスを何とかモノにしなくては!
「ここからちょっと離れた山の中にある『青少年自然の館』にプラネタリウムの施設があるんだけど、老朽化のためリニューアルされることになったんだ。
で、工事の前に最後の上映会が行われるから・・・」
そこまでしゃべると、おれは一呼吸置いて、
「西森と一緒に行きたいな、って思ったんだ」
と、自分の気持ちを包み隠さず素直に伝えた。
なるべく冷静な口調で話したが、心の中では冷静さを失った心臓がドキドキ鳴りっぱなしだ。
西森は戸惑った顔のままで、
「イエス」か「ノー」か、答えはどちらかまだ分からない。
黙ったままさっきからずっと廊下に立っているので、なんだか悪いことをして廊下に立たされているような気分になってくる。
すると、西森がポツリとしゃべった。
「『青少年自然の館』、
小学生の頃に一度遠足で行ったことがあります。
ほんとに山奥の中でしたよね。
それで気になるんですけど、そこまでどうやって行くんですか?
バスとかありましたっけ?」
「行くかどうか」じゃなくて、そこまで「どうやって行くのか」が気になっていたとは・・・。
さすがクラス委員長。
きっと西森の頭の中では「デート」というよりも、「遠足」や「校外学習」に行くような感覚なのかもしれない。
でも、交通機関を気にしているぐらいだから、少しは行く気になってくれているのかな、とちょっと期待してしまう。
「自然の館までは、おれが運転して連れて行くから、交通機関のことは心配しなくていいよ」
と、自分が車を運転していくことを、さらっと答えたのだが、西森的にはそれが意外すぎたのか、びっくりした顔で叫んだ。
「え!?先生、運転できるんですか!?」
西森にそう言われて、逆におれも驚く。
「ええっ!?
運転できないと思っていたのか!?」
なに、それ!?どういうこと!?
免許も取れないぐらいバカだと、西森に思われていたのか!?
ガーン・・・と、
ショック過ぎて青くなっているおれを見た西森は、
「あ、いや、その・・・、
だって先生、学校にも電車で通勤してるじゃないですか。
だから、免許持ってないのかな、と思っていただけですから」
と、一応フォローしてくれた。
確かに電車で学校に通勤しているのを見たら、車持ってなさそうなイメージはあるかもな。
うん、深く考えるのはやめよう。
「じゃ・・・、
じゃあ、プラネタリウムまでは、先生の車で行くんですね・・・」
「ああ、ちょっとしたドライブだと思って・・・」
ドライブ?
西森を助手席に乗せて(乗ってくれないかもしれないが)、車という密室の中で2人きりの時間を過ごすのか?
もちろん、プラネタリウムを2人で見るのもドキドキするけど、車の中で2人きりというのも、いかにも『デート』っぽくてドキドキが高まりそうだ。
2人の「恋する気持ち」が高まりそうなBGMを流して、さわやかな青空の下、緑の生い茂る山の中を車で走れば、自然といい雰囲気になって・・・。
と、頭の中でドライブデートをシュミレーションしていると、西森が、
「先生、あの・・・日曜なんですが・・・」
と、イエスかノーか答えようとしていた。
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