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3年生2学期
11月1日(水)曇りのち晴れ 真治と瑞姫の日常その4
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今年も残り2ヶ月になってしまった犬の日。
朝は霧が深く、昼は少し暑さも感じるという不安定な気候なので、今月も体調不良に気を付けた方が良さそうだ。
そんな今日は先週のテストの一部が返却される以外は、特に何かある日ではなかった。
一つあるとすれば、今日限定ではなく、ここ最近は恒例になっている本田くん周りの話だ。
「それじゃあ、今日も瑞姫と一緒に食べてくる」
昼休みに入ると本田くんはわざわざそう言ってくる。
以前も時折、本田くんと栗原さんがお昼を一緒にすることはあったけど、最近は水曜と金曜がその日になっていた。
だから、別に報告しなくても僕らは察せられるけど、本田くんはその辺りは律儀だ。
「なぁ、2人とも。ぽんちゃんと栗原さんってお昼に何してると思う?」
「何って……お昼食べてるんだろう」
「いやいや。それプラスアルファの話だよ。飯食べてもすぐに教室帰ってこないじゃん」
「じゃあ、松永は伊月さんと一緒にお昼食べるとして、すぐ教室に戻るのか?」
「戻らないね。そして、プラスアルファで何かやってる」
「あ、あの……もしかしてあんまり食事中にしない方がいい話に行こうとしてる……?」
大倉くんの言葉に松永は楽しそうな顔で食い付く。
「うん? クラさんは何を想像したのかな?」
「そ、それはその……」
「松永。あんまり下衆の勘繰りしてると、本田くんに言い付けるぞ」
「構わん。ぽんちゃんは今楽しんでる内容をちょっとくらい教えてくれてもいいのにさぁ。プライベートだからとか言ってさぁ」
松永は面倒くさい酔っ払いのような語り口になる。
半分はネタで言っているのだろうけど、もう半分は羨ましい、あるいは寂しい気持ちで言っているのだと思う。
そんな松永を僕と大倉くんで慰めたり、放置したりしていると、その日は珍しく途中で本田くんが帰ってきた。
「ぽんちゃん! さっきはお楽しみでしたね」
「ま、松永くん!」
「まったく……ごめんね、本田くん。今日はなんか面倒くさいモードで……」
「い、いや……まぁ、そういう日もあるよな」
何だか本田くんの歯切れが悪いので、僕ら3人の心は瞬間的に一つになる。
これは……さっき何かあったのかと。
「えっと……ぽんちゃん、喧嘩とかなら先手必勝で謝っとくのがいいよ」
「ち、違う。今日は……ちょっと早く帰ってきただけだ」
「そ、それならいいけど……話すだけでも楽になると思うよ」
「なんで何かある前提で言うんだ。本当に……何もない」
「まぁ、本田くんがそう言うなら……」
「いや、その……剣道部の後輩に目撃されたんだ。なんというかその……部活では全く見せないような姿を」
突然の告白に僕らは各々本田くんが見せなかった姿を想像する。
僕はデレた顔であーんしてもらおう本田くんの姿が浮かんでしまった。
「それで恥ずかしくなって戻ってきたと」
「……そうだ」
「ぽんちゃん……かわいいやつめ」
「か、かわいいとか言うな!」
その後に僕と大倉くんも慰めの言葉をかけるけど、今の本田くんには何を言っても恥ずかしさに繋がってしまうようだった。
間接的に本田くんが恥ずかしるようなことをしていたのが判明したけど、仲が良さそうで何よりである。
朝は霧が深く、昼は少し暑さも感じるという不安定な気候なので、今月も体調不良に気を付けた方が良さそうだ。
そんな今日は先週のテストの一部が返却される以外は、特に何かある日ではなかった。
一つあるとすれば、今日限定ではなく、ここ最近は恒例になっている本田くん周りの話だ。
「それじゃあ、今日も瑞姫と一緒に食べてくる」
昼休みに入ると本田くんはわざわざそう言ってくる。
以前も時折、本田くんと栗原さんがお昼を一緒にすることはあったけど、最近は水曜と金曜がその日になっていた。
だから、別に報告しなくても僕らは察せられるけど、本田くんはその辺りは律儀だ。
「なぁ、2人とも。ぽんちゃんと栗原さんってお昼に何してると思う?」
「何って……お昼食べてるんだろう」
「いやいや。それプラスアルファの話だよ。飯食べてもすぐに教室帰ってこないじゃん」
「じゃあ、松永は伊月さんと一緒にお昼食べるとして、すぐ教室に戻るのか?」
「戻らないね。そして、プラスアルファで何かやってる」
「あ、あの……もしかしてあんまり食事中にしない方がいい話に行こうとしてる……?」
大倉くんの言葉に松永は楽しそうな顔で食い付く。
「うん? クラさんは何を想像したのかな?」
「そ、それはその……」
「松永。あんまり下衆の勘繰りしてると、本田くんに言い付けるぞ」
「構わん。ぽんちゃんは今楽しんでる内容をちょっとくらい教えてくれてもいいのにさぁ。プライベートだからとか言ってさぁ」
松永は面倒くさい酔っ払いのような語り口になる。
半分はネタで言っているのだろうけど、もう半分は羨ましい、あるいは寂しい気持ちで言っているのだと思う。
そんな松永を僕と大倉くんで慰めたり、放置したりしていると、その日は珍しく途中で本田くんが帰ってきた。
「ぽんちゃん! さっきはお楽しみでしたね」
「ま、松永くん!」
「まったく……ごめんね、本田くん。今日はなんか面倒くさいモードで……」
「い、いや……まぁ、そういう日もあるよな」
何だか本田くんの歯切れが悪いので、僕ら3人の心は瞬間的に一つになる。
これは……さっき何かあったのかと。
「えっと……ぽんちゃん、喧嘩とかなら先手必勝で謝っとくのがいいよ」
「ち、違う。今日は……ちょっと早く帰ってきただけだ」
「そ、それならいいけど……話すだけでも楽になると思うよ」
「なんで何かある前提で言うんだ。本当に……何もない」
「まぁ、本田くんがそう言うなら……」
「いや、その……剣道部の後輩に目撃されたんだ。なんというかその……部活では全く見せないような姿を」
突然の告白に僕らは各々本田くんが見せなかった姿を想像する。
僕はデレた顔であーんしてもらおう本田くんの姿が浮かんでしまった。
「それで恥ずかしくなって戻ってきたと」
「……そうだ」
「ぽんちゃん……かわいいやつめ」
「か、かわいいとか言うな!」
その後に僕と大倉くんも慰めの言葉をかけるけど、今の本田くんには何を言っても恥ずかしさに繋がってしまうようだった。
間接的に本田くんが恥ずかしるようなことをしていたのが判明したけど、仲が良さそうで何よりである。
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