940 / 942
3年生2学期
10月30日(月)晴れ 花園華凛との日常その28
しおりを挟む
中間テスト3日目の初恋の日。
本日のテストも大きな問題はなく終えて、昼からは大倉くんと勉強する予定だった。
「リョウスケ。今から少し時間を頂きます」
しかし、花園さんからそう言われてしまったので、昼食を取る時間は少し後回しになる。
テストも終盤のこの時期に呼び出されるということは、もしかしたら大倉くんの件で何かあるのかもしれない。
そう思いながら中庭まで付いて行くと、花園さんはゆっくりと口を開く。
「最近、誰かからの視線を感じます」
「……うん?」
「この前の図書室だったり、今度は教室でも視られている感覚がありました。こういう話はミチちゃんに相談してもかえって危険性が増すだけと判断したので、男子であるリョウスケに相談した次第です」
「ちょ、ちょっと待って。それって……花園さんが誰かの視線を感じてるって話?」
「それ以外何があるのですか」
予想外の展開に僕は頭が混乱する。
大倉くんは花園さんが見ていると思っていたけど、実際は花園さんも何者かに見られていて……つまり、2人とは別の何者かが見ていたことになるから……
「ゆ、幽霊ってこと!?」
「いえ。華凛は霊感なんてありませんし、感覚的には人の目線でした」
「で、でも、今になって霊的なものを感じ取るようになったとか……」
「可能性は否定できないですが……なぜ幽霊が先に出てくるのですか。こういう場合はまずストーカー的な事案が発生していると考えるでしょうに」
「……それもそうか」
「まったく……リョウスケを頼ったのは間違いでしたか」
「ご、ごめん。その視線って花園さん的には不快な感じがするってことなのかな」
「不快……とまで言われると困りますが、明確に人から視られている感覚なので、心地良いとは言えません。さすがにテスト中はありませんでしたが、休憩時間に感じ取ったので、教室内にいる誰かが犯人だと思います」
「そこまでわかってるんだ」
「ちなみにリョウスケではありません。図書室では別の意図で正面に来て欲しくなかっただけなので」
そういえば図書室でやけに辛辣な対応されたと思ったけど、あれは何かの視線のせいでちょっとピリピリしていたのか。
いや、それにしたって露骨に避けられるのは何とも言えないけど。
「わかった。今すぐ犯人を見つけるのは難しいけど、明日以降は休憩時間の花園さん周りを気にしてみるよ」
「ありがとうございます」
「今日はもう帰るの? 良かったら駅まで付いて行くよ」
「そ、そこまでしてもらうわけには……それにミチちゃんを差し置いてこそこそ話してるのは良くないですし」
「路ちゃんはそれくらい気にしないよ。それよりも花園さんが危険に晒される方がよっぽど嫌だと思う。だから、情報共有しておいてもいいんじゃないかな」
「……リョウスケがそこまでいうならそうします。いざとなったらリョウスケを盾にするので」
「任せて……と言えるほどフィジカルは強くないけど、頑張る」
その後、路ちゃんにも謎の視線の話を共有して、大倉くんとの勉強を断らせてもらってから花園さんを駅まで見送った。
視線の正体がポジティブな動機で見ている可能性もあるけど、花園さん的にはストレスになっているので、なるべく早く解決したいところだ。
本日のテストも大きな問題はなく終えて、昼からは大倉くんと勉強する予定だった。
「リョウスケ。今から少し時間を頂きます」
しかし、花園さんからそう言われてしまったので、昼食を取る時間は少し後回しになる。
テストも終盤のこの時期に呼び出されるということは、もしかしたら大倉くんの件で何かあるのかもしれない。
そう思いながら中庭まで付いて行くと、花園さんはゆっくりと口を開く。
「最近、誰かからの視線を感じます」
「……うん?」
「この前の図書室だったり、今度は教室でも視られている感覚がありました。こういう話はミチちゃんに相談してもかえって危険性が増すだけと判断したので、男子であるリョウスケに相談した次第です」
「ちょ、ちょっと待って。それって……花園さんが誰かの視線を感じてるって話?」
「それ以外何があるのですか」
予想外の展開に僕は頭が混乱する。
大倉くんは花園さんが見ていると思っていたけど、実際は花園さんも何者かに見られていて……つまり、2人とは別の何者かが見ていたことになるから……
「ゆ、幽霊ってこと!?」
「いえ。華凛は霊感なんてありませんし、感覚的には人の目線でした」
「で、でも、今になって霊的なものを感じ取るようになったとか……」
「可能性は否定できないですが……なぜ幽霊が先に出てくるのですか。こういう場合はまずストーカー的な事案が発生していると考えるでしょうに」
「……それもそうか」
「まったく……リョウスケを頼ったのは間違いでしたか」
「ご、ごめん。その視線って花園さん的には不快な感じがするってことなのかな」
「不快……とまで言われると困りますが、明確に人から視られている感覚なので、心地良いとは言えません。さすがにテスト中はありませんでしたが、休憩時間に感じ取ったので、教室内にいる誰かが犯人だと思います」
「そこまでわかってるんだ」
「ちなみにリョウスケではありません。図書室では別の意図で正面に来て欲しくなかっただけなので」
そういえば図書室でやけに辛辣な対応されたと思ったけど、あれは何かの視線のせいでちょっとピリピリしていたのか。
いや、それにしたって露骨に避けられるのは何とも言えないけど。
「わかった。今すぐ犯人を見つけるのは難しいけど、明日以降は休憩時間の花園さん周りを気にしてみるよ」
「ありがとうございます」
「今日はもう帰るの? 良かったら駅まで付いて行くよ」
「そ、そこまでしてもらうわけには……それにミチちゃんを差し置いてこそこそ話してるのは良くないですし」
「路ちゃんはそれくらい気にしないよ。それよりも花園さんが危険に晒される方がよっぽど嫌だと思う。だから、情報共有しておいてもいいんじゃないかな」
「……リョウスケがそこまでいうならそうします。いざとなったらリョウスケを盾にするので」
「任せて……と言えるほどフィジカルは強くないけど、頑張る」
その後、路ちゃんにも謎の視線の話を共有して、大倉くんとの勉強を断らせてもらってから花園さんを駅まで見送った。
視線の正体がポジティブな動機で見ている可能性もあるけど、花園さん的にはストレスになっているので、なるべく早く解決したいところだ。
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる