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3年生2学期

10月25日(水)晴れ 岸本路子と産賀良助Ⅱその3

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 いつも美味しく頂いている世界パスタデー。
 2学期中間テストの前日ということで、本日は路ちゃんと一緒に勉強した。
 大倉くんは昨日の件で避けられたわけじゃなく、今日は早めに帰って勉強したいとのことだ。
 ただ、大倉くんがいないことで、その日の帰り際には昨日の件が話題に挙がってしまう。

「路ちゃんは本当に花園さんから何も聞いてないの?」

「何を?」

「それは……下衆の勘繰りになってしまうかもしれないけど、花園さんが大倉くんを意識してる、とか」

「良助くん。その話……しちゃう?」

 そう言った路ちゃんはあまり良くないと窘める……ことはなく、期待に満ち溢れた顔をしていた。
 それほど広げるつもりじゃなかったけど、食い付いてしまったのなら仕方がない。

「ちなみにわたしは何も聞いていないのだけれど、昨日の様子を見て想像したの」

「想像しちゃったんだ」

「大倉くんに関することで言えば、いい匂いがするっていうのは引っかかってたみたいで、わたしに華凛ちゃんが特別な匂いがするか聞いてきたことがあったの」

「そ、それ僕が聞いていいやつ?」

「良助くんはその現場を目撃してたんでしょう? だったら問題ないと思う」

「そ、そうか。続けてどうぞ」

「うん。それを聞かれて以降、大倉くんの話題が出ることはなかったのだけど、昨日敢えて正面に座ったのは、もう一度確かめたかったんだと思う」

「匂いについて何か言われるか、ってこと?」

「それもあるし、華凛ちゃん自身が異様に気にしてしまった理由も。華凛ちゃんは何か疑問点があれば、直接踏み込んでいくタイプだから」

 意外にも妄想だけの話ではなく、普段の花園さんを知った上での意見が出てきた。
 こういう話になった時の路ちゃんはやや暴走するから意外と思ってしまったのだ。

「そうなると……大倉くんの方が意識してるってことじゃない!?」

 ……いや、やっぱりちょっと暴走してるかもしれない。
 大倉くん側の情報が少ないから、そちらで妄想していたのか。

「まぁ、大倉くんは意識してるというよりは、単にシャイなだけというか……」

「じゃあ、良助くん側も特に大倉くんから話は聞いてないんだ」

「うん。だから、今日のところはこの話も――」

「でも、仮の話としてだよ? 大倉くんが――」

 その後も路ちゃんは妄想の話として様々な可能性を話してくれた。
 出汁にしてしまったのは申し訳ないけど、会話としては楽しい雰囲気だったので、2人には何かしらの形で感謝したいと思う。
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