上 下
923 / 942
3年生2学期

10月13日(金)晴れ 後輩との日常・姫宮青蘭の場合その22

しおりを挟む
 文化祭準備日のサツマイモの日。
 例年通り文化部の展示は同じ階に並んでおり、それぞれ昨日持って来ておいた物を搬入していく。
 展示室内の設置や飾り付けを進めていくと、16時過ぎには全ての準備が整った。

「皆さん、お疲れ様でした! でも、本番は明日からなので今日は早く帰ってゆっくり休みましょう!」

 日葵さんの挨拶が終わるとそのまま解散になったけど、明日の自由時間の予定についてみんな残って話し出す。

「良助くん。わたしは華凛ちゃんと土曜に回ることになったから……」

「リョウスケは日曜までミチちゃんはお預けです」

「お、お預けって……」

「それとも終わった後に2人でこっそり夜の文化祭を……」

「華凛ちゃん!?」

「いえ。今のは別にいやらしい意味で言ったわけではく、夜中にこっそり忍び込んで回るという意味です」

 そっちの意味の方がアウトだと思うけど、路ちゃんと回るのは日曜に決定した。
 ということは、明日は他の人と回るか、あるいは文芸部の部室に居座りっぱなしでもいいかもしれない。

「良助先輩」

 そう思っていたところに姫宮さんが話しかけてきた。

「明日は路子先輩と回らないんですか」

「ああ、うん。花園さんと一緒に回るらしいから」

「それなら私と一緒に見て回りませんか」

「……えっ? 姫宮さんは日葵さんとかと一緒なんじゃ」

「日葵は何かと忙しいので。私も展示室にはいますが他の人と回る予定はありません」

「な、なるほど? それで……僕なの?」

「もちろんよろしければですが」

 突然のお誘いに僕は内心驚くけど、姫宮さんがからかっているわけではなさそうなので、少し考える。
 しかし、答えは決まっていた。

「誘ってくれたのは嬉しいんだけど、路ちゃんと回らない日は友達と見て回る予定があるんだ。ごめんね」

「そうですか。わかりました」

 本当は友達を回る予定はないけれど、色々な意味で姫宮さんと一緒に行動するわけにはいなかった。

「それでも」

「う、うん?」

「当日気が変わったら言ってください」

「わ、わかったよ。明日は頑張ろうね」

 僕の最後の言葉に頷いたかどうかわからないうちに姫宮さんはその場を離れていた。
 ……どうやら僕は姫宮さんに大そう気に入られているらしい。
 自信過剰な性格ではないけど、桐山くんとの対応の差からそういう自覚はあった。
 何はともあれ、明日の文化祭を成功させよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...