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3年生2学期
9月28日(木)晴れのち曇り 大倉伴憲との日常その44
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絶賛執筆でお世話になっているパソコン記念日。
本日は締め切り前日だけど、それ以外は特に何事もない平和な日だった。
しかし、それだけで終わるわけにはいかないので、いつメンの中で擦られている大倉くんの話を記録しておこうと思う。
体育祭前の一件で花園さんと接点ができたようで、教室内でも挨拶を交わす姿が見られるようになった。
「大倉さん。おはようございます」
「お、お……おはよう」
しかし、大倉くんの方はまだ恥ずかしさがあるようで、それを見た松永がここぞとばかりにいじるようになった。
「へいへい、クラさんも隅に置けないねぇ」
「ち、違うから! 産賀くんの彼女の岸本さんの友達として、ちょっと顔見知っただけで……」
「でも、クラさんが女子と話す貴重なシーンじゃん」
「うぅ……ボクはどうせ話す女子なんかいませんよ……」
「いや、今のは落ち込ませようと思ったわけじゃなく……」
「やめろ。男子中学生みたいな弄り方するんじゃない」
本田くんはそう言って松永を制止する。
「……で、実際のところ倉さんはどうなんだ?」
「本田くんまで……どうしてみんなすぐに恋愛に絡めようとするの!」
「いや、恋愛ではなく、なぜそこまで照れるのかと」
「それは……女子と話す機会がないからです」
「でも、あれは挨拶だろう。会話まで至ってないが」
「こら! 俺よりぽんちゃんの方が残酷じゃないか!?」
「うぅ……産賀くん、なんとかしてよぉ」
大倉くんは僕に助けを求めてくる。
正直なところ、少しだけこの状況を面白いと思う自分もいるけど、あまり困らせても可哀想だから僕は味方になってあげよう。
「まぁまぁ2人とも。本当に大倉くんは何とも思ってないんだから。それにああ見えて花園さんは……」
「華凛がどうかしましたか?」
突然、4人の間に生えてきた花園さんに僕は固まる。
決して悪口を言うつもりじゃなかったけど……本人に聞かれたくない言葉を言おうとしていた。
「皆さんが思っているよりも男子4人の声は大きいですから、華凛の噂話をしているのはしっかり聞こえました」
「す、すんませーん」
「反省している」
「ご、ごめん。花園さん」
「前2人はいいとして、良助はなぜ謝るのでしょう? 何か悪いことをした心当たりがると?」
「いや、それは……」
「ち、違うよ。花園さん。産賀くんは僕の味方をしてくれようとしただけで……」
「……大倉さん」
「な、なに?」
「ちゃんと喋れるじゃないですか。てっきりあれ以来、本当に恐れられているのかと思っていました」
「そ、そんなことはないよ。ボクは……女子と話すの、ちょっと苦手意識あるだけで」
「なるほど……つまり大倉さんは華凛のことをしっかり女子として意識していると」
「そ、そこまで言ってないよ!?」
「冗談です。それは皆さん。噂はほどほどに」
何故か満足そうな表情で花園さんはその場から撤収した。
しかし、反省していない男子3人はすぐさま大倉くんに詰め寄る。
「クラさん。これはマジでワンチャンあるやつでは?」
「なんというか……思ったよりもいい雰囲気だった」
「大倉くん……花園さんは大変だよ」
「だから、何の話なの!?」
まぁ、実際は花園さんが新しいおもちゃを見つけてしまっただけのような気もするけど、大倉くんがそこまで嫌そうじゃないので暫くは見学しようと思う。
本日は締め切り前日だけど、それ以外は特に何事もない平和な日だった。
しかし、それだけで終わるわけにはいかないので、いつメンの中で擦られている大倉くんの話を記録しておこうと思う。
体育祭前の一件で花園さんと接点ができたようで、教室内でも挨拶を交わす姿が見られるようになった。
「大倉さん。おはようございます」
「お、お……おはよう」
しかし、大倉くんの方はまだ恥ずかしさがあるようで、それを見た松永がここぞとばかりにいじるようになった。
「へいへい、クラさんも隅に置けないねぇ」
「ち、違うから! 産賀くんの彼女の岸本さんの友達として、ちょっと顔見知っただけで……」
「でも、クラさんが女子と話す貴重なシーンじゃん」
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「いや、今のは落ち込ませようと思ったわけじゃなく……」
「やめろ。男子中学生みたいな弄り方するんじゃない」
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「本田くんまで……どうしてみんなすぐに恋愛に絡めようとするの!」
「いや、恋愛ではなく、なぜそこまで照れるのかと」
「それは……女子と話す機会がないからです」
「でも、あれは挨拶だろう。会話まで至ってないが」
「こら! 俺よりぽんちゃんの方が残酷じゃないか!?」
「うぅ……産賀くん、なんとかしてよぉ」
大倉くんは僕に助けを求めてくる。
正直なところ、少しだけこの状況を面白いと思う自分もいるけど、あまり困らせても可哀想だから僕は味方になってあげよう。
「まぁまぁ2人とも。本当に大倉くんは何とも思ってないんだから。それにああ見えて花園さんは……」
「華凛がどうかしましたか?」
突然、4人の間に生えてきた花園さんに僕は固まる。
決して悪口を言うつもりじゃなかったけど……本人に聞かれたくない言葉を言おうとしていた。
「皆さんが思っているよりも男子4人の声は大きいですから、華凛の噂話をしているのはしっかり聞こえました」
「す、すんませーん」
「反省している」
「ご、ごめん。花園さん」
「前2人はいいとして、良助はなぜ謝るのでしょう? 何か悪いことをした心当たりがると?」
「いや、それは……」
「ち、違うよ。花園さん。産賀くんは僕の味方をしてくれようとしただけで……」
「……大倉さん」
「な、なに?」
「ちゃんと喋れるじゃないですか。てっきりあれ以来、本当に恐れられているのかと思っていました」
「そ、そんなことはないよ。ボクは……女子と話すの、ちょっと苦手意識あるだけで」
「なるほど……つまり大倉さんは華凛のことをしっかり女子として意識していると」
「そ、そこまで言ってないよ!?」
「冗談です。それは皆さん。噂はほどほどに」
何故か満足そうな表情で花園さんはその場から撤収した。
しかし、反省していない男子3人はすぐさま大倉くんに詰め寄る。
「クラさん。これはマジでワンチャンあるやつでは?」
「なんというか……思ったよりもいい雰囲気だった」
「大倉くん……花園さんは大変だよ」
「だから、何の話なの!?」
まぁ、実際は花園さんが新しいおもちゃを見つけてしまっただけのような気もするけど、大倉くんがそこまで嫌そうじゃないので暫くは見学しようと思う。
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