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3年生2学期

9月18日(月)曇りのち雨 電話越しに敬う日

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 昼過ぎから雷が鳴り始めた敬老の日。
 この天気が数日ズレていたら体育祭は延期になっていたので、無事に開催できて良かった。

 そんな今日は祝日の内容通りに祖父母への感謝を伝えるため、僕と明莉は電話をかけることにした。
 本当なら何か物を送ったりした方がいいのかもしれないけど、その辺りは今度直接会うであろう長期休みに持っていくことにしよう。
 まずは父方の祖母に電話すると、さすがに今日の天気では外出はしていなかったようで、随分と退屈しているようだった。

「感謝の言葉も嬉しいけれど、最近彼女さんとはどうなんだい? いや、結婚を急かすとかじゃくて、若者の青春模様を知りたくてさ」

 今日という日にそうお願いされてしまったら話さざるを得ないので、僕はここ最近の話を中心にばあちゃんへ報告することになってしまった。
 前置きでは急かすわけじゃないとは言ったけれど、話の途中にはどうするつもりなんだいと聞かれてしまい、ひ孫の顔やら何やらと色々夢を膨らませてしまった。
 ある意味では良い土産話ができたのかもしれないけど、話を大きくされるのはちょっと困ってしまう。

 次に京都の祖父母の方へ電話をかけると、京都の天気も荒れ模様らしく、お互いに外の雷の音が響き合う中で会話することになった。

「運動会の方はどんな感じだったんだい? 今になって良助の最後の運動会だから、見に行っておけば良かったかもと思ってしまってねぇ」

「良助が走っとる姿はもう随分みとらんしなぁ」

 じいちゃんとばあちゃんはそう言うけれど、実際に僕が出場したのは綱引きだけで、しかも負けているから何とも言いづらかった。
 体育祭の話は一旦、明莉に任せた後、2人も来る予定の文化祭の方に期待して欲しいと僕は言っておいた。
 文化祭も目立った活躍が見せられるわけじゃないけど、少なくとも作品は成果として展示されるし、当日も案内できる。

 そんな感じでそれぞれ違う話にはなったけど、祖父母が喜んだり期待したりする声を聞けた一日になった。
 こういう祝日や誕生日がないと積極的に連絡しないので、休みの有無にかかわらずこういう日は必要だと思う……と去年も書いたような気がする。
 ただ、今年は文化祭でもっと話せる機会もあるだろうから……こっちのばあちゃんも見に来てくれるように誘ってもいいかもしれない。
 来る人数が増え過ぎると何だか恥ずかしさもあるけど、最後のいい機会だと思っておこう。
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