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3年生2学期

9月14日(木)曇り 後輩との日常・三浦将基の場合その8

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 男性から女性に下着を送る日らしいメンズバレンタインデー。
 しかし、この日がそれほど根付いていない気がするからいきなり送るわけにもいかないし、そもそも下着を購入するのはかなりハードルが高い。

 そんな今日は予定通りいければ体育祭の2日前なので運動場のテント等の準備が始まる。
 そこも2年生が中心に……と言いたいところだけど、重い荷物を運ぶ人手は必要なようで、3年生も駆り出されることになった。
 こういう準備の時にサボっている人もいるけど、ここ数日は何もしていない時間が多かったので喜んで手伝わせてもらった。

「はぁはぁ……」

 すると、備品を置いた付近で偶然三浦くんと出会う。

「三浦くん、大丈夫?」

「あっ、産賀さん……お疲れ様です」

「そっちもお疲れ。重い物の担当になっちゃった感じ?」

「いえ、シンプルに筋肉不足だと思います……重量がある物なんて普段は持たないので……」

 そう言いながら三浦は呼吸を整える。
 他人のことを言える立場ではないけど、三浦くんは僕以上に運動が苦手なようだ。
 部活での発言から何となく察してはいたけど。

「こんな望まない準備をさせられた上で、当日は走ったり、また重い物を持たされたりするなんて……よくわからないですよ」

「なるほど。三浦くんは体育祭アンチ側の人間だったか」

「その分類は初めて聞きましたけど、そうですね。そう言う産賀さんは?」

「まぁ、走るのは嫌いだし、前まではあんまり乗り気じゃなかったけど、高校に入ってからはそうでもなくなったよ。何なら今回で最後だと思うと……」

「ああ……やっぱり何事も最後は寂しさを感じるものですか」

「ううん。寂しくはない。体育祭アンチ側だし」

 僕の急な切り返しに三浦くんは少しぽかんとした表情になった。
 ちょっとボケたつもりだったけど、通じなかったらしい。

「それはそれとして……今仲良くしてるみんなと何かする回数が少なくなるのは、ちょっと寂しいとは思う」

「そ、そうですか」

「あっ、ごめんね。無駄話に付き合わせちゃって」

「いえ。ちょうど休めたんで良かったです。先輩に話しかけられてたと言えば、サボりにはならないと思いますし」

「それだと僕が悪い先輩になってしまうけど……まぁ、いいか」

「すみません。言い訳として利用させて頂きます」

 三浦くんが言った方は冗談じゃなかったので、仮にクラスメイトから何か聞かれたら言い訳に使われるのだろう。
 1年生との絡み方は未だに下手だけど……これも含めていい思い出になるよう体育祭を僕なりに楽しみたいと思う。
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