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3年生夏休み
8月16日(水)晴れ 清水夢愛との夏散歩Ⅲその3
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夏休み26日目のお盆最終日。
お盆を過ぎると夏休みが一気に終わりに近づく感じがするけど、今年は残りの休みを惜しむ気持ちよりも塾が再開する大変さの方に気を取られそうだ。
そんな今日は夏らしい晴れ間が戻る中、清水先輩に朝の散歩に誘われる。
「やぁ、産賀くん。お久しぶり」
ただ、この日はこちらに帰ってきていた桜庭先輩も同行していた。
こういう書き方をするとまるで僕が嫌がっているように思われるかもしれないけど、到着するまで知らなかったからびっくりする出来事だったのだ。
「お、お久しぶりです。この前はうちの明莉がお世話になりました」
「いや、お世話になったのは私の方だから。まさか産賀くんに会うより先に産賀家と明莉ちゃんと対面するとは思ってなかったけど」
「いいなー、小織は。私も久しぶりに良助の家にお邪魔したいぞ」
「それは駄目でしょ。産賀くんの立場を考えなさい」
「じゃあ、なんで小織はOKなの?」
「まぁ、私は実質的に家族みたいなものだから」
桜庭先輩の発言に清水先輩は悔しそうにするけど、その理屈で納得するのがまずおかしい。
気が早いというか、それこそ桜庭くんの立場を考えるべきである。
「それは置いといて、私がいない間も本当に夢愛の面倒を見ててくれたみたいね。感謝してもしきれないわ」
「いえいえ。僕はそこまでのことは……」
「してると思うわよ。いや、むしろ面倒を見過ぎなくらい。おかげで夢愛が高校時代からあんまり成長していないのがよくわかった」
「私は成長しているぞ。大学の講義はしっかり出てるし」
「勉強面ではそんなに心配してない。でも、人間関係はまるで進歩がなかった」
「だから、話せる人はちゃんといるって言ってるのに……」
どうやらこの話は桜庭先輩が帰って来てから既に何回しているようで、清水先輩はうんざりした表情になる。
「それとも小織は彼氏か彼女の1人くらいは作っておいて欲しかったの?」
「そういうわけじゃない。でも、もう少し交友を広げたって……」
「それなら別の学科の先生とか、学食のおばちゃんとか結構仲良くしてるけど」
「……産賀くん。卒業後は地元に残らないつもり?」
「え、えっと……受験結果次第かと」
「でも、残らない可能性の方が高いと。だとしたら……はぁ……」
「人の顔を見てため息をつくな」
清水先輩はそう言うけれど、確かに桜庭先輩と僕がいなくなった後の清水先輩はかなり心配に思ってしまう。
大学の話せる人達が友人になって、何かと危ない清水先輩を見てくれたらいいけど、そこまでの仲になれるかはわからない。
「まぁ、考えてもしょうがないか。こう言っておきながら私も大学の友人はまだそこまで親しい感じはしないし」
「小織もそうなの?」
「4ヶ月ちょっとの関係と小学校からの関係が同じになるわけがないじゃない」
「小織……」
「あっ。もちろん、産賀くんとの約2年間も負けてないわよ?」
「別にフォローしなくても大丈夫です」
「照れなくていいのに。さて。今日は産賀くんの彼女とのラブラブライフを聞きながら歩かせてもらいますか」
「そ、そんな話はしません!」
「えー? 私も普段はあんまり聞かないから聞きたい」
「この際だから色々聞かせてもらうわよ」
その後、本当に色々聞かれたけど、彼女のこと以外にも受験勉強の話もしてくれたから、参考にはなった。
でも、それ以上に桜庭先輩が清水先輩を親友として思っている部分が見えて、勝手に嬉しく思ってしまった日だった。
お盆を過ぎると夏休みが一気に終わりに近づく感じがするけど、今年は残りの休みを惜しむ気持ちよりも塾が再開する大変さの方に気を取られそうだ。
そんな今日は夏らしい晴れ間が戻る中、清水先輩に朝の散歩に誘われる。
「やぁ、産賀くん。お久しぶり」
ただ、この日はこちらに帰ってきていた桜庭先輩も同行していた。
こういう書き方をするとまるで僕が嫌がっているように思われるかもしれないけど、到着するまで知らなかったからびっくりする出来事だったのだ。
「お、お久しぶりです。この前はうちの明莉がお世話になりました」
「いや、お世話になったのは私の方だから。まさか産賀くんに会うより先に産賀家と明莉ちゃんと対面するとは思ってなかったけど」
「いいなー、小織は。私も久しぶりに良助の家にお邪魔したいぞ」
「それは駄目でしょ。産賀くんの立場を考えなさい」
「じゃあ、なんで小織はOKなの?」
「まぁ、私は実質的に家族みたいなものだから」
桜庭先輩の発言に清水先輩は悔しそうにするけど、その理屈で納得するのがまずおかしい。
気が早いというか、それこそ桜庭くんの立場を考えるべきである。
「それは置いといて、私がいない間も本当に夢愛の面倒を見ててくれたみたいね。感謝してもしきれないわ」
「いえいえ。僕はそこまでのことは……」
「してると思うわよ。いや、むしろ面倒を見過ぎなくらい。おかげで夢愛が高校時代からあんまり成長していないのがよくわかった」
「私は成長しているぞ。大学の講義はしっかり出てるし」
「勉強面ではそんなに心配してない。でも、人間関係はまるで進歩がなかった」
「だから、話せる人はちゃんといるって言ってるのに……」
どうやらこの話は桜庭先輩が帰って来てから既に何回しているようで、清水先輩はうんざりした表情になる。
「それとも小織は彼氏か彼女の1人くらいは作っておいて欲しかったの?」
「そういうわけじゃない。でも、もう少し交友を広げたって……」
「それなら別の学科の先生とか、学食のおばちゃんとか結構仲良くしてるけど」
「……産賀くん。卒業後は地元に残らないつもり?」
「え、えっと……受験結果次第かと」
「でも、残らない可能性の方が高いと。だとしたら……はぁ……」
「人の顔を見てため息をつくな」
清水先輩はそう言うけれど、確かに桜庭先輩と僕がいなくなった後の清水先輩はかなり心配に思ってしまう。
大学の話せる人達が友人になって、何かと危ない清水先輩を見てくれたらいいけど、そこまでの仲になれるかはわからない。
「まぁ、考えてもしょうがないか。こう言っておきながら私も大学の友人はまだそこまで親しい感じはしないし」
「小織もそうなの?」
「4ヶ月ちょっとの関係と小学校からの関係が同じになるわけがないじゃない」
「小織……」
「あっ。もちろん、産賀くんとの約2年間も負けてないわよ?」
「別にフォローしなくても大丈夫です」
「照れなくていいのに。さて。今日は産賀くんの彼女とのラブラブライフを聞きながら歩かせてもらいますか」
「そ、そんな話はしません!」
「えー? 私も普段はあんまり聞かないから聞きたい」
「この際だから色々聞かせてもらうわよ」
その後、本当に色々聞かれたけど、彼女のこと以外にも受験勉強の話もしてくれたから、参考にはなった。
でも、それ以上に桜庭先輩が清水先輩を親友として思っている部分が見えて、勝手に嬉しく思ってしまった日だった。
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