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3年生1学期
7月20日(木)晴れ 野島実香との日常・再その7
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梅雨明けが宣言されたハンバーガーの日。
通常授業としてはこの日が最後になり、各教科で時間に余裕がある先生からは3年生としての夏休みに向けての心構えを聞かされた。
「いやぁ、産賀くんとも暫く会えなくなっちゃうのかぁ」
そんな今日は特に大きな出来事はなかったので、実香さんとの絡みを記そうと思う。
「そんなに名残惜しく思ってもらえるのは嬉しいけど、今生の別れのように言うね」
「でも、夏休み期間内で会うことはほぼないだろうから」
「そうかな? 一応、部活で学校来るから会う可能性もあると思うけど。茶道部はそんなに活動しない感じ?」
「ううん。定期的にお茶会はする予定だよ」
「だったらまぁあるんじゃないかな。見かけたら声かけるよ」
「ナンパされてる?」
「違う違う!」
僕が慌てて強めに否定すると、実香さんは満足そうな笑いを見せる。
この着地点を見据えていたかわからないけど、暇つぶしにからかいたかったのだろう。
「あっ、そうだ。その定期的なお茶会に清水先輩と桜庭先輩が来るかもしれないんだよね」
「そうなんだ。文芸部は……去年は先輩来なかったけど、去年の3年生なら来てくれるかもしれないなぁ」
「それで言うならうちも去年も先輩は来なかったよ。一昨年は……それらしき人が来たような?」
「まぁ、卒業してから3年経過すると顔見知りがいなくなっちゃうからOB・OGとして行ける機会は限られてるのか」
「かもねー そう考えると、OB・OGが幅を利かせてる部活ってどこなんだろう」
「言い方が良くないけど、運動部とかになるのかなぁ」
「それか大学か社会人で忙しくて来るどこも暇がないとか」
「そっちの可能性の方が高そうだ」
「おっと、話が逸れちゃった。良さんが暇そうだったら清水先輩と桜庭先輩が遊びに来た時に様子見に来てもいいよ」
「いや、さすがに茶道部のところに行くのはちょっと……」
「大丈夫だって。文芸部にはうちの妹もいるんだから」
その妹からすると姉とは少し距離を置きたい感じなので、結香さんを連れて行っても気まずい空気は変わりそうにないと思った。
特にオチもない日常会話だったけど、3年になってまた話始めると実香さんと暫く喋れないのは少し寂しい気もしなくもない。
「というか、こっちから文芸部に乗り込むのもアリか……?」
「で、できれば考え直して欲しい」
いや、ちょっと期間を空けてから喋るくらいがちょうどいいかもしれない。
通常授業としてはこの日が最後になり、各教科で時間に余裕がある先生からは3年生としての夏休みに向けての心構えを聞かされた。
「いやぁ、産賀くんとも暫く会えなくなっちゃうのかぁ」
そんな今日は特に大きな出来事はなかったので、実香さんとの絡みを記そうと思う。
「そんなに名残惜しく思ってもらえるのは嬉しいけど、今生の別れのように言うね」
「でも、夏休み期間内で会うことはほぼないだろうから」
「そうかな? 一応、部活で学校来るから会う可能性もあると思うけど。茶道部はそんなに活動しない感じ?」
「ううん。定期的にお茶会はする予定だよ」
「だったらまぁあるんじゃないかな。見かけたら声かけるよ」
「ナンパされてる?」
「違う違う!」
僕が慌てて強めに否定すると、実香さんは満足そうな笑いを見せる。
この着地点を見据えていたかわからないけど、暇つぶしにからかいたかったのだろう。
「あっ、そうだ。その定期的なお茶会に清水先輩と桜庭先輩が来るかもしれないんだよね」
「そうなんだ。文芸部は……去年は先輩来なかったけど、去年の3年生なら来てくれるかもしれないなぁ」
「それで言うならうちも去年も先輩は来なかったよ。一昨年は……それらしき人が来たような?」
「まぁ、卒業してから3年経過すると顔見知りがいなくなっちゃうからOB・OGとして行ける機会は限られてるのか」
「かもねー そう考えると、OB・OGが幅を利かせてる部活ってどこなんだろう」
「言い方が良くないけど、運動部とかになるのかなぁ」
「それか大学か社会人で忙しくて来るどこも暇がないとか」
「そっちの可能性の方が高そうだ」
「おっと、話が逸れちゃった。良さんが暇そうだったら清水先輩と桜庭先輩が遊びに来た時に様子見に来てもいいよ」
「いや、さすがに茶道部のところに行くのはちょっと……」
「大丈夫だって。文芸部にはうちの妹もいるんだから」
その妹からすると姉とは少し距離を置きたい感じなので、結香さんを連れて行っても気まずい空気は変わりそうにないと思った。
特にオチもない日常会話だったけど、3年になってまた話始めると実香さんと暫く喋れないのは少し寂しい気もしなくもない。
「というか、こっちから文芸部に乗り込むのもアリか……?」
「で、できれば考え直して欲しい」
いや、ちょっと期間を空けてから喋るくらいがちょうどいいかもしれない。
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