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3年生1学期
7月16日(日)晴れ 熱々のWデート
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暫くは水撒きでもしない限り見れそうにない虹の日。
そんなネガティブな始まり方になってしまうほど暑すぎる日だけど、今日の僕は出かけなければいけなかった。
「あっ、産賀くんと路子ちゃんきたきた~!」
そう、今日が延期していた本田くん・栗原さんペアとのWデートの日なのだ。
始まりは大山さんのイマジナリー彼氏を栗原さんが見てみたいというところからで、話を逸らすためにそういう流れになったのだけれど、その後もうやむやにならなかった。
「良ちゃん。今日はすまんな……こっちのわがままで」
「いやいや。たまにはこういうのもいいと思うよ」
「そうか? ちなみに……良ちゃんはWデートについて何か調べたりしたか?」
「まぁ、ちょっとくらいは……」
本田くんは僕と性格的に近いから事前にネットで調べていたようだ。
そこから集めた情報によると……特に決まりとかはなく、シンプルに2組のカップル、あるいは意識している同士の4人で遊びに行くという内容だった。
しかし、Wデートが潤滑に進められるか否かについて、一番重要なのはことが1つだけ書いてあった。
「へ~ 路子ちゃんってこういう私服着るんだぁ~ あっ、このやついいよねー」
「あ、ありがとう……」
それは一緒に向かう4人がある程度仲が良い方がいいという条件である。
その点で言えば僕と本田くんは仲がいいし、栗原さんと僕も薄いながら繋がりがなくはない。
でも、路ちゃんと栗原さんは時々喋る程度で、僕以上に繋がりが薄い。
そうなると、路子ちゃん的には気を遣う1日になってしまうかもしれない。
「いや~ でも、こうして見ると産賀くんと路子ちゃんって本当に付き合ってたんだなーって」
「そ、そんなに付き合ってる風に見えなかった?」
「一緒にいるところは見かけたけど……ほら、今は違うけど部活でも部長分九部長で一緒だったりしたじゃない? だから、学校ではあんまり感じなかったのかなーと」
「な、なるほど……確かに栗原さんと本田くんは一発でカップルだってわかるもんね……」
路ちゃんはそう言いながら栗原さんと本田くんを交互に見る。
それに対して本田くんは慌てて喋り出した。
「い、いや、岸本さん。瑞姫はこう言っているが、あまりいいことではなく……」
「えー!? 真ちゃん、私とは嫌々だったの……」
「ち、違う。そういうわけでは……」
「じゃあ、別にいいじゃんね?」
栗原さんはそのまま流れるように本田くんと腕を組んだので、僕と路ちゃんは驚きの表情を見せた。
僕らもしないわけじゃないけど、やる時は恥ずかしがりながらなのに、栗原さんは全く動じないまま、しかもべったりとくっ付いている。
本田くんも少し反応したものの、まんざらでもなさそうな顔になっているから、いつもの流れなのだろう。
「……はっ!? 良ちゃん、違うんだ。これはその……」
「いやいや。そういうのもいいと思うよ。うん」
「頼む……松永にだけは絶対言わないでくれ……今日の感想絶対聞いてくるから」
「まぁ、考えておく……えっ?」
僕が珍しく本田くんをからかおうとすると……いつの間にか路ちゃんも僕の腕の間に手を通していた。
そして、いつも保っているパーソナルスペースを突破して、身体をくっ付けてくる。
「み、路ちゃん!?」
「そ、そういうのもいいと思うって言ったから……」
「ほー これは意外と路子ちゃんの方が積極的なのかも?」
「オレはそうだと思った。良ちゃんは真面目だからな」
「ど、どういう意味……というか、本当にちょっと近い……」
「……ダメ、なの?」
「だ、駄目じゃないけど、今日は暑いし……」
「だったら……どういう状況でも一緒だと思う」
路ちゃんは少し膨れっ面になっていたけど、すぐに頬を染めて楽しそうな表情に変わった。
「よし、それじゃあ、ぶらぶらしますかー あっ、私たちがいつも行くお店とか案内するから」
その後、栗原さんを中心にして様々な場所へ遊びに行った。
始まってみると栗原さんの陽キャ力で、僕と路ちゃんを巻き込んでくれたので、最初の心配は全くの杞憂だったようだ。
ただ、この日一番印象に残ったのは……いつも以上に近くに感じた柔らかさと香りだった。
さすがに暑さから腕組みは途中で止めたけど、感じたのは絶対に気温だけじゃなかったと思う。
そんなネガティブな始まり方になってしまうほど暑すぎる日だけど、今日の僕は出かけなければいけなかった。
「あっ、産賀くんと路子ちゃんきたきた~!」
そう、今日が延期していた本田くん・栗原さんペアとのWデートの日なのだ。
始まりは大山さんのイマジナリー彼氏を栗原さんが見てみたいというところからで、話を逸らすためにそういう流れになったのだけれど、その後もうやむやにならなかった。
「良ちゃん。今日はすまんな……こっちのわがままで」
「いやいや。たまにはこういうのもいいと思うよ」
「そうか? ちなみに……良ちゃんはWデートについて何か調べたりしたか?」
「まぁ、ちょっとくらいは……」
本田くんは僕と性格的に近いから事前にネットで調べていたようだ。
そこから集めた情報によると……特に決まりとかはなく、シンプルに2組のカップル、あるいは意識している同士の4人で遊びに行くという内容だった。
しかし、Wデートが潤滑に進められるか否かについて、一番重要なのはことが1つだけ書いてあった。
「へ~ 路子ちゃんってこういう私服着るんだぁ~ あっ、このやついいよねー」
「あ、ありがとう……」
それは一緒に向かう4人がある程度仲が良い方がいいという条件である。
その点で言えば僕と本田くんは仲がいいし、栗原さんと僕も薄いながら繋がりがなくはない。
でも、路ちゃんと栗原さんは時々喋る程度で、僕以上に繋がりが薄い。
そうなると、路子ちゃん的には気を遣う1日になってしまうかもしれない。
「いや~ でも、こうして見ると産賀くんと路子ちゃんって本当に付き合ってたんだなーって」
「そ、そんなに付き合ってる風に見えなかった?」
「一緒にいるところは見かけたけど……ほら、今は違うけど部活でも部長分九部長で一緒だったりしたじゃない? だから、学校ではあんまり感じなかったのかなーと」
「な、なるほど……確かに栗原さんと本田くんは一発でカップルだってわかるもんね……」
路ちゃんはそう言いながら栗原さんと本田くんを交互に見る。
それに対して本田くんは慌てて喋り出した。
「い、いや、岸本さん。瑞姫はこう言っているが、あまりいいことではなく……」
「えー!? 真ちゃん、私とは嫌々だったの……」
「ち、違う。そういうわけでは……」
「じゃあ、別にいいじゃんね?」
栗原さんはそのまま流れるように本田くんと腕を組んだので、僕と路ちゃんは驚きの表情を見せた。
僕らもしないわけじゃないけど、やる時は恥ずかしがりながらなのに、栗原さんは全く動じないまま、しかもべったりとくっ付いている。
本田くんも少し反応したものの、まんざらでもなさそうな顔になっているから、いつもの流れなのだろう。
「……はっ!? 良ちゃん、違うんだ。これはその……」
「いやいや。そういうのもいいと思うよ。うん」
「頼む……松永にだけは絶対言わないでくれ……今日の感想絶対聞いてくるから」
「まぁ、考えておく……えっ?」
僕が珍しく本田くんをからかおうとすると……いつの間にか路ちゃんも僕の腕の間に手を通していた。
そして、いつも保っているパーソナルスペースを突破して、身体をくっ付けてくる。
「み、路ちゃん!?」
「そ、そういうのもいいと思うって言ったから……」
「ほー これは意外と路子ちゃんの方が積極的なのかも?」
「オレはそうだと思った。良ちゃんは真面目だからな」
「ど、どういう意味……というか、本当にちょっと近い……」
「……ダメ、なの?」
「だ、駄目じゃないけど、今日は暑いし……」
「だったら……どういう状況でも一緒だと思う」
路ちゃんは少し膨れっ面になっていたけど、すぐに頬を染めて楽しそうな表情に変わった。
「よし、それじゃあ、ぶらぶらしますかー あっ、私たちがいつも行くお店とか案内するから」
その後、栗原さんを中心にして様々な場所へ遊びに行った。
始まってみると栗原さんの陽キャ力で、僕と路ちゃんを巻き込んでくれたので、最初の心配は全くの杞憂だったようだ。
ただ、この日一番印象に残ったのは……いつも以上に近くに感じた柔らかさと香りだった。
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