809 / 942
3年生1学期
6月21日(水)雨 塾での日常その6
しおりを挟む
本格的な夏が始まるらしい夏至の日。
けれども今日から暫くはまた梅雨の天気になってしまうようだ。
そんな中、今日も学校や塾に行くけれど、僕の頭の中では昨日の日葵さんの話がまだ残っていた。
口が堅いと信頼してくれるのはありがたいけど、それが意味するところは口外しないで欲しいということだ。
しかし、この手の話題を僕1人で抱えるのは非常に良くない。
けれども、同じように友達の話と切り出すわけにもいかず……
「あーあ。みんな受験生だっていうのに彼氏彼女作っちゃってさー」
塾の休み時間、重森さんはそう言いながら路ちゃんと大山さんを見る。
そういう話の流れになったのは大山さんに彼氏ができたからだろうけど……その彼氏が偽りの存在だと重森さんは知らない。
「そんな風に言わなくても。美里は今好きな人いないの?」
「おっ、いきなり恋バナ始めちゃう? 今は……いないこともない」
「そ、そうなの!?」
「みーちゃん、こういう話結構好きだよね」
「ご、ごめんなさい。つい……」
「かわいいから全然いいよ」
重森さんはそう言いながら路ちゃんの頭を撫でた。
その動作に何か言おうかと思ったけど、その前に大山さんがやらかした表情をしていたのに気付く。
このまま恋バナになってしまうと、イマジナリー彼氏について詳しく説明しなければならない可能性があるからだろう。
一方、路ちゃんは重森さんの話題に食い付き気味で、大山さんの窮地に気付いていない。
「あ、あの!」
「うん? どうしたの産賀くん。ボディタッチ厳禁だった?」
「それは……なんとも言えないけど、ちょっと別で聞いて欲しい話があって」
「なになに?」
「…………」
「すっごい貯めるね?」
これは貯めているのではなく、僕の頭の中で今一番ホットな話題が恋バナだから困ってしまっただけだ。
流れを変えるためには別の話をしないといけないのに。
でも、僕が提供できる話題で恋バナよりも興味をそそられるような話題なんてあるわけ……
「こ、今回のテスト、勝負しない? 期末終わったら夏休みも近いし、そのタイミングで何かおごる感じで」
「へぇ。今回は自信あるんだ?」
「いや、そういうわけじゃないけど……モチベーションアップのためにね。それに夏休み中も勉強する時間が多くなるだろうから、1つ楽しみを増やそう……的な」
「負けた人は楽しみかどうかわからないけど……私はいいよ。前回みたいにみんなで食べにいくの楽しいし」
「わ、わたしも……モチベーションアップのために」
「もちろん、アタシもオッケーだよ」
大山さんはそう言いながら僕を見て少し頭を下げる。
その後、話題は何を食べたいかの話に流れたから、窮地からは脱出できた。
勝負するのは良いけど……最近の金銭事情的にはおごられる側になりたいところだ。
けれども今日から暫くはまた梅雨の天気になってしまうようだ。
そんな中、今日も学校や塾に行くけれど、僕の頭の中では昨日の日葵さんの話がまだ残っていた。
口が堅いと信頼してくれるのはありがたいけど、それが意味するところは口外しないで欲しいということだ。
しかし、この手の話題を僕1人で抱えるのは非常に良くない。
けれども、同じように友達の話と切り出すわけにもいかず……
「あーあ。みんな受験生だっていうのに彼氏彼女作っちゃってさー」
塾の休み時間、重森さんはそう言いながら路ちゃんと大山さんを見る。
そういう話の流れになったのは大山さんに彼氏ができたからだろうけど……その彼氏が偽りの存在だと重森さんは知らない。
「そんな風に言わなくても。美里は今好きな人いないの?」
「おっ、いきなり恋バナ始めちゃう? 今は……いないこともない」
「そ、そうなの!?」
「みーちゃん、こういう話結構好きだよね」
「ご、ごめんなさい。つい……」
「かわいいから全然いいよ」
重森さんはそう言いながら路ちゃんの頭を撫でた。
その動作に何か言おうかと思ったけど、その前に大山さんがやらかした表情をしていたのに気付く。
このまま恋バナになってしまうと、イマジナリー彼氏について詳しく説明しなければならない可能性があるからだろう。
一方、路ちゃんは重森さんの話題に食い付き気味で、大山さんの窮地に気付いていない。
「あ、あの!」
「うん? どうしたの産賀くん。ボディタッチ厳禁だった?」
「それは……なんとも言えないけど、ちょっと別で聞いて欲しい話があって」
「なになに?」
「…………」
「すっごい貯めるね?」
これは貯めているのではなく、僕の頭の中で今一番ホットな話題が恋バナだから困ってしまっただけだ。
流れを変えるためには別の話をしないといけないのに。
でも、僕が提供できる話題で恋バナよりも興味をそそられるような話題なんてあるわけ……
「こ、今回のテスト、勝負しない? 期末終わったら夏休みも近いし、そのタイミングで何かおごる感じで」
「へぇ。今回は自信あるんだ?」
「いや、そういうわけじゃないけど……モチベーションアップのためにね。それに夏休み中も勉強する時間が多くなるだろうから、1つ楽しみを増やそう……的な」
「負けた人は楽しみかどうかわからないけど……私はいいよ。前回みたいにみんなで食べにいくの楽しいし」
「わ、わたしも……モチベーションアップのために」
「もちろん、アタシもオッケーだよ」
大山さんはそう言いながら僕を見て少し頭を下げる。
その後、話題は何を食べたいかの話に流れたから、窮地からは脱出できた。
勝負するのは良いけど……最近の金銭事情的にはおごられる側になりたいところだ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる