上 下
793 / 942
3年生1学期

6月5日(月)曇り 塾での日常その5

しおりを挟む
 新しい1週間が始まる落語の日。
 テストの結果も出揃ってきて、今回は3年生ということもあってか、塾講師と個人で面談する時間が設けられた。

「……で、最後には他教科の講義も受けてみるべきだって言われた」

「わたしも……そうだった」

「結局は塾の宣伝タイムだったかぁ」

 重森さんは身も蓋もないことを言う。
 でも、塾側から勉強を進める場合はそう言う他ないだろう。

「産賀くんも他の講義受けるように勧められた?」

「いや、僕は言われなかった」

「わぉ。さすが成績優秀者は違うなぁ」

「そ、そこまでの点数じゃないよ。志望校によってはもっと頑張るべきとも言われたから」

「それは期待値高いやつでしょ? 亜里沙はどうだったの……?」

「…………」

「おーい。もしもーし」

「……はっ! な、なんか全体的にもっと頑張れ的な?」

「さっき聞いたばっかりなのにどうしてそんなフワッとした記憶なの」

 重森さんはそう言うけれど、僕と路ちゃんはそれに乗っかることはできなかった。
 今ボーっとしていたのとは関係ないかもしれないけど、先週聞いたイマジナリー彼氏の件で悩んでる可能性があるからだ。

「……ねぇ。最近、亜里沙になんかあった?」

「「な、なにかって何!?」」

「息ピッタリな驚き」

「そ、それは……わたし達も結構な仲だから」

「そ、そうそう」

「珍しくアピールしてくるねぇ。それはそれとして、亜里沙に関して何か違和感ない?」

「あ、亜里沙ちゃんだってふんわり系になりたい時もあると思う」

「みーちゃんもそういう時あるの?」

「わたしは……元々ふんわり浮いてる方だだから」

「えっ? それだと意味違ってこない?」

「し、重森さんは最近、嬉しい意味で浮足立ったことない?」

「強引な話題展開だなぁ。浮足立つほどのこと…………」

 その後も僕と路ちゃんで色々言い訳していたけど、結局大山さんはどこかボーっとしたままだった。
 本当にボーっとしたい日はあると思うので、理由は聞かなかったけど……大山さんが平穏に過ごせる日は早く来ることを願っている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

カイリーユと山下美那、Z(究極)の夏〜高2のふたりが駆け抜けたアツイ季節の記録〜

百一 里優
青春
【3x3バスケに打ち込んだ"くすぶり系"男子は、幼馴染の美男系バスケ女子の心を掴めるのか? 随時更新】リユこと森本里優は横浜の高2男子。わけありでテニス部を辞めた今は、密かに小説を書きつつ、バイトをしてバイク購入も目指している。近所で幼馴染の同級生・山下美那(ミナ)はバスケ部の中心選手で人気者の美形女子だ。美那とは、仲良しだった幼稚園以後は付かず離れずの友達関係にある。 夏至も近い夏の日、美那が「親が離婚しそうだ」と、父親のDVで親の離婚を経験しているリユに相談する。さらに、自分をもてあそんだ大学生のストリートボーラーをバスケで見返す気の美那は、なぜか経験のないリユを3x3バスケチームに誘う。 その日を境にリユの人生が大きく動き出す。 憧れのバイクの入手、3x3バスケの特訓、泊りがけの夏休みのバイトに、図書室の美少女との恋、さらには高校生2人+大学生2人のチームで3x3大会への出場。美那との距離も次第に縮まり、幼なじみから親友、そして……。 そのほか、カメラや写真、建築、LGBTなどの話題も出てきます。 舞台は主に神奈川県横浜市ですが、長野県の軽井沢、松本市などは撮影助手バイトでの旅先、また東京や横須賀、三浦半島なども登場します。 リユの欲しいバイクはカワサキZ250。憧れのバスケ選手はNBAのカイリー・アービング。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体等とは一切関係がありません。 ※参考文献:『1冊でわかる3X3バスケ入門 ルールから戦術、練習法まで』著者・中祖嘉人、発行所・株式会社マイナビ出版、2021年5月31日初版第1刷発行

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

C-LOVERS

佑佳
青春
前半は群像的ラブコメ調子のドタバタ劇。 後半に行くほど赤面不可避の恋愛ストーリーになっていきますので、その濃淡をご期待くださいますと嬉しいです。 (各話2700字平均) ♧あらすじ♧ キザでクールでスタイリッシュな道化師パフォーマー、YOSSY the CLOWN。 世界を笑顔で満たすという野望を果たすため、今日も世界の片隅でパフォーマンスを始める。 そんなYOSSY the CLOWNに憧れを抱くは、服部若菜という女性。 生まれてこのかた上手く笑えたことのない彼女は、たった一度だけ、YOSSY the CLOWNの芸でナチュラルに笑えたという。 「YOSSY the CLOWNに憧れてます、弟子にしてください!」 そうして頭を下げるも煙に巻かれ、なぜか古びた探偵事務所を紹介された服部若菜。 そこで出逢ったのは、胡散臭いタバコ臭いヒョロガリ探偵・柳田良二。 YOSSY the CLOWNに弟子入りする術を知っているとかなんだとか。 柳田探偵の傍で、服部若菜が得られるものは何か──? 一方YOSSY the CLOWNも、各所で運命的な出逢いをする。 彼らのキラリと光る才に惹かれ、そのうちに孤高を気取っていたYOSSY the CLOWNの心が柔和されていき──。 コンプレックスにまみれた六人の男女のヒューマンドラマ。 マイナスとマイナスを足してプラスに変えるは、YOSSY the CLOWNの魔法?! いやいや、YOSSY the CLOWNのみならずかも? 恋愛も家族愛もクスッと笑いも絆や涙までてんこ盛り。 佑佳最愛の代表的物語、Returned U NOW!

スカートなんて履きたくない

もちっぱち
青春
齋藤咲夜(さいとうさや)は、坂本翼(さかもとつばさ)と一緒に 高校の文化祭を楽しんでいた。 イケメン男子っぽい女子の同級生の悠(はるか)との関係が友達よりさらにどんどん近づくハラハラドキドキのストーリーになっています。 女友達との関係が主として描いてます。 百合小説です ガールズラブが苦手な方は ご遠慮ください 表紙イラスト:ノノメ様

僕が僕を許せる日まで

星夜るな
青春
当たり前の日々が突然崩れたあの日…。 何度もあの日、自分がいたら、早く帰れていたら…なんていうことを考える毎日。 僕は、あの日々を壊した犯人を許さない。 自分を許せない僕が新しい日々の中で変わっていく日常を描いた作品です。

期末テストで一番になれなかったら死ぬ

村井なお
青春
努力の意味を見失った少女。ひたむきに生きる病弱な少年。 二人はその言葉に一生懸命だった。 鶴崎舞夕は高校二年生である。 昔の彼女は成績優秀だった。 鹿島怜央は高校二年生である。 彼は成績優秀である。 夏も近いある日、舞夕は鹿島と出会う。 そして彼女は彼に惹かれていく。 彼の口にした一言が、どうしても忘れられなくて。

日向の道を歩けない少年

霜月龍太郎(旧 ツン影)
青春
不幸な高校生「神夜月影」は神様の生贄として、幸せな思いをしてはいけない為、幸せを知らずに生きてきた。 幼馴染の「福島光」はその事は知らずに月影と仲良くしようとする。生まれながら不幸な事しか起きなかった月影とは真反対に生まれながらの幸せ者で、学校でも絶大の人気を持つ。 そんな2人を中心とする恋あり、友情あり、少しだけ喧嘩アリの物語。 これは世界で1番不幸な少年の悲しくバカバカしい青春コメディとして語られる物語を本にされたものです。

水風船

雪原歌乃
青春
高校最後の夏休み、親友に誘われて夏祭りへ繰り出した私。 けれど、向かった先で待っていたのは、親友だけではなく、親友の彼氏とクラスメイトの男子だった。

処理中です...