781 / 942
3年生1学期
5月24日(水)晴れ 野島実香との日常・再その4
しおりを挟む
テスト後半戦に入った伊達巻の日。
この日も無事にテストを終えて、駐輪場へ自転車を取りに行った時、少しばかり面白いことが起こった。
「あっ……お兄ちゃん」
「お疲れ様です。産賀さん」
偶然にも明莉と野島さん(妹)が一緒にいるのを目撃する。
「お疲れ。2人とも今から帰り?」
「駐輪場にいるんだからそうでしょ」
「そ、それもそうか。でも、本当に2人は知り合いだったんだな……」
「おっ! 産賀くん……と結香じゃん!」
「げっ、お姉ちゃん」
そこに野島さん(姉)もたまたま現れて、産賀兄妹と野島姉妹が揃う。
いや、同じ学校に通っているから珍しくはないんだけど、別々に話していた4人が揃うのは何だか変な感じである。
「人の顔を見て“げっ”はないでしょうに」
「…………」
「無視すんなー!」
「お兄ちゃん……もしかしなくても2人って仲悪いの?」
「たぶん……そうかも」
「まぁ、ひとまず結香は置いといて、あなたは……」
「は、初めまして。産賀明莉です」
「あー! あの噂に聞く明莉ちゃんかぁ!」
野島さん(姉)の言い方のせいで、明莉は僕を少し睨んでくる。
「噂というのは……」
「産賀くんとか、亜里沙とかから聞いてたから。全然悪い噂じゃないよ」
「そうですか……」
「それにしても可愛い妹さんじゃんかぁ、産賀くん。いや、うちの結香も負けてないけども」
「うざっ……」
「こんな感じだけど、昔はもっと可愛くて……」
「うるさい! 余計なこと言わないで!」
「余計じゃないもん。産賀くんも知りたいよね?」
「いやー……そうでもないかなぁ」
「なんで? 産賀くんは聞かないでも妹さんのこと話してるのに」
またしても野島さん(姉)の発言のせいで、明莉から睨みつけられる。
僕が断ったのは野島さん(妹)が本当に聞かれたくなさそうだったからなんだけど……日頃の行いがこんな時に悪影響を及ぼすとは思わなかった。
「お兄ちゃんも余計ないこと言わないでって言った方がいい?」
「す、すまん……」
「いやいや、明莉ちゃん。私が聞く限りではいい話ばっかり聞いてるよ。産賀くんが相当可愛がってるのがわかる」
「の、野島さん、のお姉さんの方!」
「なにその呼び方」
「だ、だって、野島さん2人いるし……」
「そっか。じゃあ、今日からは実香呼びでいいよ?」
「そう言われても……」
「あー、もしかして恥ずかしいの名前で呼ぶの。私は良助くんでも良ちゃんでも呼んであげるのにー」
「お姉ちゃん! いい加減にして! もう帰るよ!」
「えっ、ちょっ……」
「お騒がせしました!」
野島さん(妹)の何かが限界を迎えたのか、野島さん(姉)を引っ張ってその場から去っていく。
「……りょうちゃん。話すなとは言わないし、今更遅いかもだけど、私の話は程々にしてよ」
「はい……」
「それはそれとして……めちゃめちゃエネルギッシュな人だなぁ、実香ねえさん」
「なんで名前にねえさん付けてるんだ」
「なんとなく語呂的に」
その後、僕は明莉と一緒に帰宅したけど、野島姉妹がどうなったのかはわからないままだった。
話に聞いていた以上に妹の方が反発していたけど、引っ張ってあげる辺り、完全な不仲でもないような気がする。
たぶん……姉の方が色々強すぎるのだろう。
この日も無事にテストを終えて、駐輪場へ自転車を取りに行った時、少しばかり面白いことが起こった。
「あっ……お兄ちゃん」
「お疲れ様です。産賀さん」
偶然にも明莉と野島さん(妹)が一緒にいるのを目撃する。
「お疲れ。2人とも今から帰り?」
「駐輪場にいるんだからそうでしょ」
「そ、それもそうか。でも、本当に2人は知り合いだったんだな……」
「おっ! 産賀くん……と結香じゃん!」
「げっ、お姉ちゃん」
そこに野島さん(姉)もたまたま現れて、産賀兄妹と野島姉妹が揃う。
いや、同じ学校に通っているから珍しくはないんだけど、別々に話していた4人が揃うのは何だか変な感じである。
「人の顔を見て“げっ”はないでしょうに」
「…………」
「無視すんなー!」
「お兄ちゃん……もしかしなくても2人って仲悪いの?」
「たぶん……そうかも」
「まぁ、ひとまず結香は置いといて、あなたは……」
「は、初めまして。産賀明莉です」
「あー! あの噂に聞く明莉ちゃんかぁ!」
野島さん(姉)の言い方のせいで、明莉は僕を少し睨んでくる。
「噂というのは……」
「産賀くんとか、亜里沙とかから聞いてたから。全然悪い噂じゃないよ」
「そうですか……」
「それにしても可愛い妹さんじゃんかぁ、産賀くん。いや、うちの結香も負けてないけども」
「うざっ……」
「こんな感じだけど、昔はもっと可愛くて……」
「うるさい! 余計なこと言わないで!」
「余計じゃないもん。産賀くんも知りたいよね?」
「いやー……そうでもないかなぁ」
「なんで? 産賀くんは聞かないでも妹さんのこと話してるのに」
またしても野島さん(姉)の発言のせいで、明莉から睨みつけられる。
僕が断ったのは野島さん(妹)が本当に聞かれたくなさそうだったからなんだけど……日頃の行いがこんな時に悪影響を及ぼすとは思わなかった。
「お兄ちゃんも余計ないこと言わないでって言った方がいい?」
「す、すまん……」
「いやいや、明莉ちゃん。私が聞く限りではいい話ばっかり聞いてるよ。産賀くんが相当可愛がってるのがわかる」
「の、野島さん、のお姉さんの方!」
「なにその呼び方」
「だ、だって、野島さん2人いるし……」
「そっか。じゃあ、今日からは実香呼びでいいよ?」
「そう言われても……」
「あー、もしかして恥ずかしいの名前で呼ぶの。私は良助くんでも良ちゃんでも呼んであげるのにー」
「お姉ちゃん! いい加減にして! もう帰るよ!」
「えっ、ちょっ……」
「お騒がせしました!」
野島さん(妹)の何かが限界を迎えたのか、野島さん(姉)を引っ張ってその場から去っていく。
「……りょうちゃん。話すなとは言わないし、今更遅いかもだけど、私の話は程々にしてよ」
「はい……」
「それはそれとして……めちゃめちゃエネルギッシュな人だなぁ、実香ねえさん」
「なんで名前にねえさん付けてるんだ」
「なんとなく語呂的に」
その後、僕は明莉と一緒に帰宅したけど、野島姉妹がどうなったのかはわからないままだった。
話に聞いていた以上に妹の方が反発していたけど、引っ張ってあげる辺り、完全な不仲でもないような気がする。
たぶん……姉の方が色々強すぎるのだろう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
Toward a dream 〜とあるお嬢様の挑戦〜
green
青春
一ノ瀬財閥の令嬢、一ノ瀬綾乃は小学校一年生からサッカーを始め、プロサッカー選手になることを夢見ている。
しかし、父である浩平にその夢を反対される。
夢を諦めきれない綾乃は浩平に言う。
「その夢に挑戦するためのお時間をいただけないでしょうか?」
一人のお嬢様の挑戦が始まる。
彼女に思いを伝えるまで
猫茶漬け
青春
主人公の登藤 清(とうどう きよし)が阿部 直人(あべ なおと)に振り回されながら、一目惚れした山城 清美(やましろ きよみ)に告白するまでの高校青春恋愛ストーリー
人物紹介 イラスト/三つ木雛 様
内容更新 2024.11.14
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
全体的にどうしようもない高校生日記
天平 楓
青春
ある年の春、高校生になった僕、金沢籘華(かなざわとうか)は念願の玉津高校に入学することができた。そこで出会ったのは中学時代からの友人北見奏輝と喜多方楓の二人。喜多方のどうしようもない性格に奔放されつつも、北見の秘められた性格、そして自身では気づくことのなかった能力に気づいていき…。
ブラックジョーク要素が含まれていますが、決して特定の民族並びに集団を侮蔑、攻撃、または礼賛する意図はありません。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる