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3年生1学期
5月13日(土)雨 明莉との日常その90
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久々にどしゃ降りの愛犬の日。
最近は気候の変動も激しいから、ちょっと雨が降るだけでもニュースでは警戒するようにと聞くようになった。
そんな今日は明莉も雨で足止めをくらったのか、家で暇そうにしていた。
だから、いつも通り僕は雑談をしかけてみる。
「そういえば、最近は桜庭とどうなの?」
「えっ。なんで急にそんなこと聞くの?」
「い、いや、なんとなく……」
「娘と話す話題がなくなった父親みたいな話の振り方じゃん」
「言われてみるとそうかも……」
「まぁ、実際のお父さんはまるで聞いてこないんだけどね」
本当になんとなく聞いてみたかっただけなのに、何だか話題の振り方を失敗した気分になった。
うちの父さんは違うようだけど、世の父親はこんな気持ちになっているのだろうか。
「あと、あかりに聞くってことはりょうちゃんも答える覚悟があるってことになるけど」
「覚悟って……そんな大した話はできないぞ」
「それはあかりも同じだよ。最近……って、GWの話?」
「別に限定はしてないよ。ただ、意外に学校じゃ桜庭くんと会わないし……何なら最近家に来てないような?」
「それがさー 部活が忙しいんだって」
「桜庭くんの部活は……男子バド部か。女子とは忙しさ違うんだ」
「うん。まぁ、始まったばっかりだから慣れてもらうために活動増やしてるんだって」
「へー」
「りょうちゃんって、その辺の運動部の情報は回ってこないの?」
「まったく。逆に聞くけど、明莉は文化部の情報知ってるの?」
「文芸部に速攻で帰る男子がいるとか?」
明莉の容赦ない言い方に僕はちょっと申し訳ない気持ちになる。
まぁ、実際に三浦くんは素早く帰っていたんだけど。
「それって、まさか野島さんから聞いた感じ……?」
「うん。ゆうゆうが……」
「ゆうゆう!?」
「な、なんでそんなに驚いてるの」
「いや、だって、前聞いた時はちょっとした顔見知り程度だった気がしたから……」
「もう入学して1ヶ月ちょっと経ったんだから多少は仲が深まってるでしょ」
「そ、そういうものか」
だとしたら昨日、野島さん(妹)が三浦くんとのコミュニケーションを強行したのも当然なのかもしれない。
僕の感覚的にはまだ慣れてなくてもおかしくないと思っていたけど、この時期になるとクラス内の親交やグループ関係はできあっているのだろう。
「あっ。それで言うとゆうゆうから見たりょうちゃんの評価を聞いたなぁ」
「ま、マジで? なん……いや、やっぱいいわ」
「かなり普通の人だったって」
「聞くつもりなかったのに! というか、普通……」
「うん。たぶん、あんまり何も思ってなかったんだと思う」
「まぁ、まだ1ヶ月ちょっとだし……」
「いやぁ。ここから印象が大きく変わるのはよっぽどのことがないと難しいと思う」
「そうかなぁ……まぁ、悪い印象じゃなければいいか」
「そうそう……って、なんか話終わらせようとしてない? あかりはまだりょうちゃんと路子おねえちゃんのラブラブっぷり聞いてないよ?」
「べ、別に終わらせようとは思ってないから。ただ、さっきも言ったように話すようなことは……」
その後も近況報告するように色々なことを話していった。
明莉と野島さん(妹)が仲良くなっているのを知らないくらいには、平日だと明莉と話す機会が少なくなっているので、たまにはこういう時間を作りたいと思った。
最近は気候の変動も激しいから、ちょっと雨が降るだけでもニュースでは警戒するようにと聞くようになった。
そんな今日は明莉も雨で足止めをくらったのか、家で暇そうにしていた。
だから、いつも通り僕は雑談をしかけてみる。
「そういえば、最近は桜庭とどうなの?」
「えっ。なんで急にそんなこと聞くの?」
「い、いや、なんとなく……」
「娘と話す話題がなくなった父親みたいな話の振り方じゃん」
「言われてみるとそうかも……」
「まぁ、実際のお父さんはまるで聞いてこないんだけどね」
本当になんとなく聞いてみたかっただけなのに、何だか話題の振り方を失敗した気分になった。
うちの父さんは違うようだけど、世の父親はこんな気持ちになっているのだろうか。
「あと、あかりに聞くってことはりょうちゃんも答える覚悟があるってことになるけど」
「覚悟って……そんな大した話はできないぞ」
「それはあかりも同じだよ。最近……って、GWの話?」
「別に限定はしてないよ。ただ、意外に学校じゃ桜庭くんと会わないし……何なら最近家に来てないような?」
「それがさー 部活が忙しいんだって」
「桜庭くんの部活は……男子バド部か。女子とは忙しさ違うんだ」
「うん。まぁ、始まったばっかりだから慣れてもらうために活動増やしてるんだって」
「へー」
「りょうちゃんって、その辺の運動部の情報は回ってこないの?」
「まったく。逆に聞くけど、明莉は文化部の情報知ってるの?」
「文芸部に速攻で帰る男子がいるとか?」
明莉の容赦ない言い方に僕はちょっと申し訳ない気持ちになる。
まぁ、実際に三浦くんは素早く帰っていたんだけど。
「それって、まさか野島さんから聞いた感じ……?」
「うん。ゆうゆうが……」
「ゆうゆう!?」
「な、なんでそんなに驚いてるの」
「いや、だって、前聞いた時はちょっとした顔見知り程度だった気がしたから……」
「もう入学して1ヶ月ちょっと経ったんだから多少は仲が深まってるでしょ」
「そ、そういうものか」
だとしたら昨日、野島さん(妹)が三浦くんとのコミュニケーションを強行したのも当然なのかもしれない。
僕の感覚的にはまだ慣れてなくてもおかしくないと思っていたけど、この時期になるとクラス内の親交やグループ関係はできあっているのだろう。
「あっ。それで言うとゆうゆうから見たりょうちゃんの評価を聞いたなぁ」
「ま、マジで? なん……いや、やっぱいいわ」
「かなり普通の人だったって」
「聞くつもりなかったのに! というか、普通……」
「うん。たぶん、あんまり何も思ってなかったんだと思う」
「まぁ、まだ1ヶ月ちょっとだし……」
「いやぁ。ここから印象が大きく変わるのはよっぽどのことがないと難しいと思う」
「そうかなぁ……まぁ、悪い印象じゃなければいいか」
「そうそう……って、なんか話終わらせようとしてない? あかりはまだりょうちゃんと路子おねえちゃんのラブラブっぷり聞いてないよ?」
「べ、別に終わらせようとは思ってないから。ただ、さっきも言ったように話すようなことは……」
その後も近況報告するように色々なことを話していった。
明莉と野島さん(妹)が仲良くなっているのを知らないくらいには、平日だと明莉と話す機会が少なくなっているので、たまにはこういう時間を作りたいと思った。
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