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3年生1学期
4月9日(日)晴れ 清水夢愛と産賀良助
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晴れ間が戻ったフォークソングの日。
この日は朝から清水夢愛のお誘いを受けて朝の散歩に出かける。
長期休み以外の休みで誘われるのは珍しいけど、先日の件で清水先輩の近況が心配だったからちょうど良かったと言える。
「良助、妹さんの入学おめでとう」
「ありがとうございます」
「私は数回しか会っていないが、あの子ならいい学校生活を送れそうだ。私も在籍中に絡んでみたかったよ」
「そ、そうですか?」
「良助的には同じ学校に通うのそんなに嬉しくないのか?」
「うーん……あんまり嬉しいかどうかで考えたことないですね」
「そういうものか。すまんな、私は一人っ子だから兄妹の感覚については想像でしかないんだ」
「いえいえ。まぁ、無事に入学できたのは嬉しいと思っています」
そんな世間話から始まったけど、今回はわりと近い早いうちに会ったので、近況報告はすぐに終わってしまった。
代わりに話は部活とサークルに移っていく。
「そういえば、清水先輩はサークルに入る予定はあるんですか?」
「今のところは考えてないよ。茶道部に入ったのも小織の誘いがあったからで、元々入部するつもりはなかったし」
「そうですか……」
「良助、ちょっと安心してないか?」
「い、いえ。そんなことは」
「それよりも今年の茶道部がどうなるのかは気になるところだな。1・2年……じゃなくて進級したから2・3年か。合わせて5人しかいないから」
「えっ? 茶道部って結構人数多い印象ありましたけど……」
「私の代が6人いたからその印象じゃないか?」
「そうだったんですね。僕は清水先輩と桜庭先輩……あとは野島さんしか知らなかったので」
「ああ、実香と知り合いだったな。そこの元2年生が3人だから、茶道部はここ2年減少傾向なんだよ。だから、今年たくさん部員を集めないといけないんだ」
「文芸部とは逆ですね。いや、うちも部員は少ないからある程度は入って欲しいんですけど……」
「お互い大変……って、私はもうOGだから直接的には関係ないか」
そう言った清水先輩は何だか寂しそうな顔をしているように見えた。
清水先輩が茶道部について心配しているのに内心ちょっとだけ驚いたけど、恐らく卒業したからこそ、少し寂しい気持ちが出てきたのだと思う。
「OGなら顔を覗かせるのもアリだと思いますよ」
「そ、そうかな?」
「僕、野島さんとも同じクラスになったので、今度ちょっと話してみます」
「お、おお。まぁ、私から連絡するよりはいいかもしれないな。たぶん、めちゃめちゃ驚かれるだろうし」
「まぁ、僕も急に別の先輩からメッセージきたら驚きますからね……」
「じゃあ、私のメッセージにも驚いてるのか?」
「いえ、清水先輩は別に」
「な、なんだよぉ。なんか先輩の威厳がないみたいじゃないか」
そう言われても、清水先輩から威厳的なものはあまり感じたことがないので……僕は親しみやすさがあると言い訳しておいた。
清水先輩がサークルに入る予定がないのは僕としては安心要素だけど、大学生的にはそこで友達ができる可能性もあるから、あまり良くないような気もする。
まぁ、最終的に決めるのは清水先輩なので、僕は見守ろうと思う。
この日は朝から清水夢愛のお誘いを受けて朝の散歩に出かける。
長期休み以外の休みで誘われるのは珍しいけど、先日の件で清水先輩の近況が心配だったからちょうど良かったと言える。
「良助、妹さんの入学おめでとう」
「ありがとうございます」
「私は数回しか会っていないが、あの子ならいい学校生活を送れそうだ。私も在籍中に絡んでみたかったよ」
「そ、そうですか?」
「良助的には同じ学校に通うのそんなに嬉しくないのか?」
「うーん……あんまり嬉しいかどうかで考えたことないですね」
「そういうものか。すまんな、私は一人っ子だから兄妹の感覚については想像でしかないんだ」
「いえいえ。まぁ、無事に入学できたのは嬉しいと思っています」
そんな世間話から始まったけど、今回はわりと近い早いうちに会ったので、近況報告はすぐに終わってしまった。
代わりに話は部活とサークルに移っていく。
「そういえば、清水先輩はサークルに入る予定はあるんですか?」
「今のところは考えてないよ。茶道部に入ったのも小織の誘いがあったからで、元々入部するつもりはなかったし」
「そうですか……」
「良助、ちょっと安心してないか?」
「い、いえ。そんなことは」
「それよりも今年の茶道部がどうなるのかは気になるところだな。1・2年……じゃなくて進級したから2・3年か。合わせて5人しかいないから」
「えっ? 茶道部って結構人数多い印象ありましたけど……」
「私の代が6人いたからその印象じゃないか?」
「そうだったんですね。僕は清水先輩と桜庭先輩……あとは野島さんしか知らなかったので」
「ああ、実香と知り合いだったな。そこの元2年生が3人だから、茶道部はここ2年減少傾向なんだよ。だから、今年たくさん部員を集めないといけないんだ」
「文芸部とは逆ですね。いや、うちも部員は少ないからある程度は入って欲しいんですけど……」
「お互い大変……って、私はもうOGだから直接的には関係ないか」
そう言った清水先輩は何だか寂しそうな顔をしているように見えた。
清水先輩が茶道部について心配しているのに内心ちょっとだけ驚いたけど、恐らく卒業したからこそ、少し寂しい気持ちが出てきたのだと思う。
「OGなら顔を覗かせるのもアリだと思いますよ」
「そ、そうかな?」
「僕、野島さんとも同じクラスになったので、今度ちょっと話してみます」
「お、おお。まぁ、私から連絡するよりはいいかもしれないな。たぶん、めちゃめちゃ驚かれるだろうし」
「まぁ、僕も急に別の先輩からメッセージきたら驚きますからね……」
「じゃあ、私のメッセージにも驚いてるのか?」
「いえ、清水先輩は別に」
「な、なんだよぉ。なんか先輩の威厳がないみたいじゃないか」
そう言われても、清水先輩から威厳的なものはあまり感じたことがないので……僕は親しみやすさがあると言い訳しておいた。
清水先輩がサークルに入る予定がないのは僕としては安心要素だけど、大学生的にはそこで友達ができる可能性もあるから、あまり良くないような気もする。
まぁ、最終的に決めるのは清水先輩なので、僕は見守ろうと思う。
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