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3年生1学期
4月8日(土)曇りのち晴れ 明莉との日常その86
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2つの式を終えた後のお釈迦様の誕生日。
明莉たち新入生の研修旅行は木曜から金曜にかけて行くことになる。
そのため、この土日は研修旅行の準備で再び慌ただしそうにしていた。
「りょうちゃん! 自由時間にトランプやる空気あった!?」
……まぁ、半分くらいはしょうもない準備の気がするけど。
一応、親交を深める意味では遊び道具も有効だろうけど、恐らく持っていけない物の方が多い。
「僕の部屋……というか、研修旅行だと男女分かれて一部屋ずつだったからあんまり何かやる空気じゃなかった」
「じゃあ、移動中のバスとか班行動でちょっと間が空いた時、何やってたの?」
「いや、まだ何かやるほど親しくなれてなかったからなぁ……」
「えっ、そうなの?」
「そういう明莉は昨日の短い時間で原田さんとか同じ中学の人以外と話せたの?」
「うん。というか話すでしょ。これから暫く席近いんだし」
明莉はさも当然のように言う。
そこに関しては……コミュ力の高さの違いが出ている。
僕は松永がいたおかげで他の人ともスムーズに話せたので、明莉は僕のようなタイプを引っ張れる方なのだろう。
たぶん、一緒にいる原田さんは同時に話していけるタイプだろうけど。
「あれ? そういえば聞いてなかったけど、桜庭くんは何組だったの?」
「3組だよ」
「違うクラスだったのか」
「うん。まぁ、別にクラスまで一緒にならなくてもね」
「それ、桜庭くんが聞いたら普通に落ち込むと思うぞ」
「ふーん、そうなの? つまり、りょうちゃんが路おねえちゃんにさっきの台詞言われたらガチ凹みするんだ」
「それは……どう、だろう」
「だって、今絶対自分に当てはめて考えたでしょ?」
「…………」
図星だった。いや、路ちゃんは明莉と違ってそんな尖った発言はしないと思うけど、実際に言われたらその一日は凹むに違いない。
「あとはお土産をどうするか……」
「いや、行くのは研修旅行で県内だから……って、僕が行く時も言った気がする」
「つまり、お土産の代わりにあかりにスイーツをおごる流れ……?」
「な、なんでそこは覚えてるんだ」
「というか、りょうちゃん! まだ合格祝いのスイーツおごって貰ってないんですけど!」
「そ、それはお互い忙しかったのもあるし……」
「こうなったら入学祝いと合わせて毎週おごって貰うから! 何ならあかりが研修している間に買い揃えてくれてもいいから」
そう言い残して明莉は準備に戻って行った。
正直、春休み中は他の出費がかさんだのもあって言及されなかったから黙っていたけど、おごりたくないわけではない。
このままだとあらゆるお祝いのおごりが貯まってしまいそうなので、本当に研修旅行から帰ったタイミングで一度おごりたいと思う。
明莉たち新入生の研修旅行は木曜から金曜にかけて行くことになる。
そのため、この土日は研修旅行の準備で再び慌ただしそうにしていた。
「りょうちゃん! 自由時間にトランプやる空気あった!?」
……まぁ、半分くらいはしょうもない準備の気がするけど。
一応、親交を深める意味では遊び道具も有効だろうけど、恐らく持っていけない物の方が多い。
「僕の部屋……というか、研修旅行だと男女分かれて一部屋ずつだったからあんまり何かやる空気じゃなかった」
「じゃあ、移動中のバスとか班行動でちょっと間が空いた時、何やってたの?」
「いや、まだ何かやるほど親しくなれてなかったからなぁ……」
「えっ、そうなの?」
「そういう明莉は昨日の短い時間で原田さんとか同じ中学の人以外と話せたの?」
「うん。というか話すでしょ。これから暫く席近いんだし」
明莉はさも当然のように言う。
そこに関しては……コミュ力の高さの違いが出ている。
僕は松永がいたおかげで他の人ともスムーズに話せたので、明莉は僕のようなタイプを引っ張れる方なのだろう。
たぶん、一緒にいる原田さんは同時に話していけるタイプだろうけど。
「あれ? そういえば聞いてなかったけど、桜庭くんは何組だったの?」
「3組だよ」
「違うクラスだったのか」
「うん。まぁ、別にクラスまで一緒にならなくてもね」
「それ、桜庭くんが聞いたら普通に落ち込むと思うぞ」
「ふーん、そうなの? つまり、りょうちゃんが路おねえちゃんにさっきの台詞言われたらガチ凹みするんだ」
「それは……どう、だろう」
「だって、今絶対自分に当てはめて考えたでしょ?」
「…………」
図星だった。いや、路ちゃんは明莉と違ってそんな尖った発言はしないと思うけど、実際に言われたらその一日は凹むに違いない。
「あとはお土産をどうするか……」
「いや、行くのは研修旅行で県内だから……って、僕が行く時も言った気がする」
「つまり、お土産の代わりにあかりにスイーツをおごる流れ……?」
「な、なんでそこは覚えてるんだ」
「というか、りょうちゃん! まだ合格祝いのスイーツおごって貰ってないんですけど!」
「そ、それはお互い忙しかったのもあるし……」
「こうなったら入学祝いと合わせて毎週おごって貰うから! 何ならあかりが研修している間に買い揃えてくれてもいいから」
そう言い残して明莉は準備に戻って行った。
正直、春休み中は他の出費がかさんだのもあって言及されなかったから黙っていたけど、おごりたくないわけではない。
このままだとあらゆるお祝いのおごりが貯まってしまいそうなので、本当に研修旅行から帰ったタイミングで一度おごりたいと思う。
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