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2年生3学期
3月22日(水)晴れ 急接近する岸本路子その8
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2年生としての通常授業が終わる水曜日。
その中には今年度で定年を迎えて、今日の授業が最後だという先生がいた。
4月から異動になる先生もいるようで、僕らよりも早く来年度に向けて動き始めているのだろう。
そんな今日は塾へ行く前の時間で、路ちゃんと一緒にぶらぶらすることになった。
「良助くんは明日終わった後どこか行く予定あるの?」
「今のところはないよ。路ちゃんは?」
「実は華凛ちゃんに誘われて家に行く予定なの」
「おお、いいね。僕も暫くお店にお邪魔してないから春休み中には行こうかなぁ」
「その時は……わたしと明莉ちゃんのどっちを連れて行くの?」
「ど、どっちって選ばなきゃいけないの?」
「えっ。他の誰かと行く予定が……」
「そこまで考えてなかっただけ!」
「ふふっ。わかってる」
「うぅ……まぁ、せっかく明莉とも仲良くなったみたいだし、3人で行くのもありか」
「わたしはいいけど……明莉ちゃんは彼氏さんと行きたいんじゃないの?」
「そ、それもそうか」
「……じゃあ、Wデートにするとか?」
路ちゃんはそう言いながら自分で少し照れていた。
兄妹でWデートするなんてあるんだろうか……と真面目に考えてしまったけど、僕は良くても桜庭くんが気まずくなる可能性がある。
「まぁ、どういう風に行くかは休み入ってから考えるか……」
「良助くん……というか、産賀家の皆さんは春休み中にどこか遠出したり?」
「いや、その予定も今のところはない感じだよ。あるとすれば明莉の入学祝いくらいかなぁ」
「そうなんだ。わたしの家も外出の予定はないわ」
「親の方は普通に仕事あるもんね」
「う、うん……」
「……そ、それで路ちゃんのご両親は日曜なら確実にいらっしゃるんだっけ?」
「うん。基本的には」
「……じゃあ、春休み中の日曜のどこかで……お邪魔しても、いいかな」
そういう流れだと読み取って僕は緊張しながらもそう言った。
それに対して路ちゃんは少しオーバーに頷く。
「も、もちろん、大丈夫。話は……わたしが通しておくから」
「ありがとう。一応だけど、今週の日曜すぐとかじゃなくて大丈夫だからね?」
「わたしは早くてもいいと思うけれど……」
「ま、マジか。さすがに3日後だと心の準備が……」
「良助くんならわたしの両親にも馴染めると思うから、それほど心配していないけれど……わかったわ」
こうして、春休みの予定として路ちゃんの両親に挨拶することが決定した。
あくまで遊びに行かせて貰うだけだから、そこまで緊張しないでもいいのかもしれないけど、路ちゃんがこちらに来た時のように僕が振る舞うのは難しいと思われる。
話でしか聞いていない路ちゃんのお父さん……穏やかな人だといいなぁ。
その中には今年度で定年を迎えて、今日の授業が最後だという先生がいた。
4月から異動になる先生もいるようで、僕らよりも早く来年度に向けて動き始めているのだろう。
そんな今日は塾へ行く前の時間で、路ちゃんと一緒にぶらぶらすることになった。
「良助くんは明日終わった後どこか行く予定あるの?」
「今のところはないよ。路ちゃんは?」
「実は華凛ちゃんに誘われて家に行く予定なの」
「おお、いいね。僕も暫くお店にお邪魔してないから春休み中には行こうかなぁ」
「その時は……わたしと明莉ちゃんのどっちを連れて行くの?」
「ど、どっちって選ばなきゃいけないの?」
「えっ。他の誰かと行く予定が……」
「そこまで考えてなかっただけ!」
「ふふっ。わかってる」
「うぅ……まぁ、せっかく明莉とも仲良くなったみたいだし、3人で行くのもありか」
「わたしはいいけど……明莉ちゃんは彼氏さんと行きたいんじゃないの?」
「そ、それもそうか」
「……じゃあ、Wデートにするとか?」
路ちゃんはそう言いながら自分で少し照れていた。
兄妹でWデートするなんてあるんだろうか……と真面目に考えてしまったけど、僕は良くても桜庭くんが気まずくなる可能性がある。
「まぁ、どういう風に行くかは休み入ってから考えるか……」
「良助くん……というか、産賀家の皆さんは春休み中にどこか遠出したり?」
「いや、その予定も今のところはない感じだよ。あるとすれば明莉の入学祝いくらいかなぁ」
「そうなんだ。わたしの家も外出の予定はないわ」
「親の方は普通に仕事あるもんね」
「う、うん……」
「……そ、それで路ちゃんのご両親は日曜なら確実にいらっしゃるんだっけ?」
「うん。基本的には」
「……じゃあ、春休み中の日曜のどこかで……お邪魔しても、いいかな」
そういう流れだと読み取って僕は緊張しながらもそう言った。
それに対して路ちゃんは少しオーバーに頷く。
「も、もちろん、大丈夫。話は……わたしが通しておくから」
「ありがとう。一応だけど、今週の日曜すぐとかじゃなくて大丈夫だからね?」
「わたしは早くてもいいと思うけれど……」
「ま、マジか。さすがに3日後だと心の準備が……」
「良助くんならわたしの両親にも馴染めると思うから、それほど心配していないけれど……わかったわ」
こうして、春休みの予定として路ちゃんの両親に挨拶することが決定した。
あくまで遊びに行かせて貰うだけだから、そこまで緊張しないでもいいのかもしれないけど、路ちゃんがこちらに来た時のように僕が振る舞うのは難しいと思われる。
話でしか聞いていない路ちゃんのお父さん……穏やかな人だといいなぁ。
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