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2年生3学期

3月7日(火)晴れ 奮起する大山亜里沙その8

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 学期末テスト最終日の火曜日。
 間に色々なことはあったけど、テスト自体は概ね良い感触で終えられた。
 しかし、今日はテスト終わりでゆっくり雑談している暇はない。
 明日の入試に向けて少しばかり掃除をした後、教室内にある不必要な物は持ち帰るか、ロッカーにしまうように言われる。
 入試の際は2年生の教室がメイン会場として使われるらしい。
 ということは、明日の今頃は明莉や原田さん、桜庭くんがここに座っている可能性もある。

「うぶクンさ、明日は明莉ちゃんも受験するんだよね?」

 そんな教室の整理が終わったタイミングで、大山さんがそう聞いてくる。

「うん。そうだよ」

「じゃあ、明莉ちゃんによろしくって伝えれそうなカンジだったら伝えといて。メッセ送ってもいいんだケド、生の声を届けて貰ってコトで」
 
「わかった。わざわざありがとう。明莉も喜ぶと思うよ」

「なら良かった。それにしても明莉ちゃんも受験かぁ……いや、もう私立も受けてるんだケド、そこから考えても早いよね」

「確かに。ちょっと前には1ヶ月後とか言ってた気がするよ」

「って、なんかお年寄りっぽいカンジになっちゃった。アタシはまだまだ現役なのに」

 そう冗談を言いながら笑う大山さんを見て、僕は少し安心する。

「えっ、なにうぶクン。その生暖かい目は」

 しかし、大山さんには違和感を覚えられる態度だったらしい。
 おかしいな。普通に温かい目だったはずなのに。

「いや、大山さんが元気そうで何よりと思って」

「あー、あれね。うん。アタシはすっかり元気だよ。ようやく色んなことにモチベーション向けられるようになったし。でも、そんなわかりやすかった?」

「わかりやすいかと言われると自信はないけど、何となく思ったよ。これでも2年くらいは大山さんを見てるから」

「ほー その程度でアタシを知った気になってるのかぁ」

「そ、そんな知ったかぶりをするつもりはなかったんだけど……」

「もう、冗談だって。そっかぁ。うぶクンは……」

「僕は?」

「ううん。何でもない。それじゃあ、改めて明莉ちゃんによろしく」

 そう言って大山さんは話を切り上げて帰ってしまったので、話の続きは聞けなかった。
 前にもこんなことがあったような気がするけど……まぁ、今の大山さんは元気そうだから単に言う程のことでもなかっただけだろう。
 もちろん、大山さんの応援はしっかり明莉へ伝えておいた。
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