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2年生3学期
3月2日(木)曇り時々雨 大倉伴憲との日常その32
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学期末試験1日目の木曜日。
テストは火曜日までの4日間であり、1日あたりの教科数が多いから中々ハードなテストになる。
いつも通り出席番号順に並んで、テスト前は後ろの席の大倉くんと問題を出し合いながら挑んでいた。
そんな今日のテストを終えた時だった。
「大倉くん、今日のテストはどうだった?」
「えっ!?」
隣の席の大山さんが急に大倉くんに対して話しかける。
当然ながら大倉くんは驚いていたけど……そういえば塾で最近絡んでない話が出たことを思い出した。
それを気にしていたかどうかはわからないけど、今日の大山さんは何となく話しかける気分だったらしい。
「あれ? アタシ何か変なこと言った?」
「い、言ってないよ。ま、まずまずの出来だと思う」
「そっかそっか~ ちなみにさ、大倉くんな得意な教科って何?」
「と、得意な……」
大倉くんはそう言いながら僕に視線を移す。
たぶん、助けて欲しいと訴えているのだろう。
まぁ、いきなり以前と同じような絡み方で来られたら、こうなっても仕方ない。
「大倉くんは……世界史得意だよね」
「へぇ~ そうなんだ。というか、一緒にクラスなのにあんまりこういうコト聞いてなかった」
「そ、そうなん……そうだね」
「あっ、アタシ呼ばれてるわ。それじゃ、バイバイ。うぶクンと大倉くん」
大山さんはそのままフェードアウトしていくのを見送ると、大倉くんは大きなため息をついた。
「はぁ……急にどうしてボクに話しかけたんだろう……」
「それは……かくかくしかじかというわけで」
「言われてみると……1年生の頃はもうちょっと話してたような……そうでもないような……でも、それにしたって突然じゃない?」
「ちょうど席が近かったからっていうのもあるとは思うけど、確かに唐突かも」
「まさか……壺とか買わされたり……」
「いや、飛躍し過ぎだから。それに大山さんはそういう人じゃないよ」
「ご、ごめん。ボクは産賀くんほど大山さんのこと知らないから……」
「僕もそんなに知らないと思うけど……」
そう言いつつも本田くんと大山さんを引っ付けようとしていた苦い記憶が蘇る。
その時に大倉くんには知らせてなかったから、情報格差ができても仕方ない。
「たぶん、もうすぐ進級だし、思い出づくりとか、そういう感じじゃないかな」
「大山さんはそういうことするタイプなの……?」
「……ごめん。これは僕のイメージで喋った」
「そ、そうなんだ。じゃあ、とりあえずは話しかけられたのは肯定的に捉えておくよ」
大倉くんはそう言って自分を納得させていた。
僕も他の女子と少し疎遠になった時、久しぶりに話しかけられたら大倉くんのような反応になってしまう。
それが大山さんのような積極的に来る人なら……壺は言い過ぎでも何かあると勘繰ってしまいそうだ。
そんな姿になぜか親近感を覚えるのは、大倉くんと仲良くできてる理由なんだろうなぁと何となく思った。
「いや、産賀くんには彼女いるじゃない」
「それ関係あるの?」
「ある。絶対に。」
残念。両想いにはなれなかった。
テストは火曜日までの4日間であり、1日あたりの教科数が多いから中々ハードなテストになる。
いつも通り出席番号順に並んで、テスト前は後ろの席の大倉くんと問題を出し合いながら挑んでいた。
そんな今日のテストを終えた時だった。
「大倉くん、今日のテストはどうだった?」
「えっ!?」
隣の席の大山さんが急に大倉くんに対して話しかける。
当然ながら大倉くんは驚いていたけど……そういえば塾で最近絡んでない話が出たことを思い出した。
それを気にしていたかどうかはわからないけど、今日の大山さんは何となく話しかける気分だったらしい。
「あれ? アタシ何か変なこと言った?」
「い、言ってないよ。ま、まずまずの出来だと思う」
「そっかそっか~ ちなみにさ、大倉くんな得意な教科って何?」
「と、得意な……」
大倉くんはそう言いながら僕に視線を移す。
たぶん、助けて欲しいと訴えているのだろう。
まぁ、いきなり以前と同じような絡み方で来られたら、こうなっても仕方ない。
「大倉くんは……世界史得意だよね」
「へぇ~ そうなんだ。というか、一緒にクラスなのにあんまりこういうコト聞いてなかった」
「そ、そうなん……そうだね」
「あっ、アタシ呼ばれてるわ。それじゃ、バイバイ。うぶクンと大倉くん」
大山さんはそのままフェードアウトしていくのを見送ると、大倉くんは大きなため息をついた。
「はぁ……急にどうしてボクに話しかけたんだろう……」
「それは……かくかくしかじかというわけで」
「言われてみると……1年生の頃はもうちょっと話してたような……そうでもないような……でも、それにしたって突然じゃない?」
「ちょうど席が近かったからっていうのもあるとは思うけど、確かに唐突かも」
「まさか……壺とか買わされたり……」
「いや、飛躍し過ぎだから。それに大山さんはそういう人じゃないよ」
「ご、ごめん。ボクは産賀くんほど大山さんのこと知らないから……」
「僕もそんなに知らないと思うけど……」
そう言いつつも本田くんと大山さんを引っ付けようとしていた苦い記憶が蘇る。
その時に大倉くんには知らせてなかったから、情報格差ができても仕方ない。
「たぶん、もうすぐ進級だし、思い出づくりとか、そういう感じじゃないかな」
「大山さんはそういうことするタイプなの……?」
「……ごめん。これは僕のイメージで喋った」
「そ、そうなんだ。じゃあ、とりあえずは話しかけられたのは肯定的に捉えておくよ」
大倉くんはそう言って自分を納得させていた。
僕も他の女子と少し疎遠になった時、久しぶりに話しかけられたら大倉くんのような反応になってしまう。
それが大山さんのような積極的に来る人なら……壺は言い過ぎでも何かあると勘繰ってしまいそうだ。
そんな姿になぜか親近感を覚えるのは、大倉くんと仲良くできてる理由なんだろうなぁと何となく思った。
「いや、産賀くんには彼女いるじゃない」
「それ関係あるの?」
「ある。絶対に。」
残念。両想いにはなれなかった。
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