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2年生3学期
2月19日(日)雨のち曇り 松永浩太との歓談その13
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気が付けば2月も後半になっていた日曜日。
この日は暇だったのか、久しぶりに松永が家に遊びに来るよう誘ってくる。
もちろん、基本は暇人の僕はすぐに行く返事をしようとしたけど……何となく路ちゃんにはメッセージを送っておいた。
「ウェルカム、りょーちゃん。実は親戚から野菜が送られて来たんだ。雨の中悪いけど、お土産として持って帰ってちょうだい」
「なるほど、それで呼ばれたのか」
「いやまぁ、遊びたかったのもあるから。今、産賀家にお邪魔するのは明莉ちゃんに悪いだろうし」
「別に明莉は気にしないと思うけどなぁ」
「それはそれでショックなんですけど!?」
でも、松永の気遣いは非常にありがたいので、伊達に明莉を自分の妹のように思っているわけじゃないと思った。
「まぁ、遊ぶといってもダラダラ過ごすだけなんだが。あっ。でも、久々に野球ゲームで対戦したい気分になってきた」
「別にいいけど、僕だと全く相手にならんぞ」
「大丈夫。俺も普段はオート操作だし」
そのまま松永はテレビにゲームを繋いで暫く対戦が行われる。
操作方法は何となくわかるけど、僕は普段やってないゲームだととことん弱くなるタイプだった。
「そういえばさー りょーちゃん」
「うーん?」
「茉奈ちゃんから小耳に挟んだんだけど……岸本さんとなんかあった?」
「な、なんかとは」
「いや、茉奈ちゃんが部活で並々ならぬ何かを感じ取ったみたいで。一応、ポジティブな空気だとは言ってたけど」
――この前の部活で察していたのは姫宮さんだけじゃなかったのか。
いや、もしかしたら桐山くん以外の女子は何かを感じ取っている……?
そして、こういう場合、どう話すのが正解なんだ?
松永は気の置けない友人ではあるけど、この話は普段の話題と違って妙に生々しいし……
「じ、実はその……」
「わかった。皆まで言うな」
「えっ。マジでわかったの」
「それはもう。俺は空気が読める男ですから」
「そ、そうか」
「で、実際どうだったの?」
「聞くのかよ!?」
「だって、普通に気になるでしょ」
「お前、路ちゃんと一応知り合いだろうが」
「一応も何も知り合いだけど、別にやらしい意味で言ってるんじゃないよ。むしろ、りょーちゃんのリアクションが気になるだけ」
「……それなら……その……紅茶の味がした」
「うん?」
「いや、直前に紅茶飲んでたんだけど……」
「……あっ。ごめん、りょーちゃん。俺そこから先の話だと思ってた」
「…………はあぁぁぁぁ!?」
僕は思わずコントローラーを投げ出して立ち上がる。
「何考えてるんだよ!?」
「だ、だって、キスくらいはもう済んでるものかと……」
「悪かったな! というか、仮にそうだとしたら話さないわ!」
「いや、逆に安心したよ。りょーちゃんはそういう男だと思った」
「嘘つけ! 全然違うこと考えてたくせに!」
「でもね、りょーちゃん。別に悪いことじゃないんだよ。俺も――」
「うるさい! この話題はなしだ!」
「はーい」
松永は素直に返事したので、途中から完全に悪ノリだったのがよくわかった。
でも、松永そう言うってことは――何を考えようとしているんだ僕は。
その後、この話題が掘り返されることはなかったけど……暫く松永と2人きりで遊ぶのを警戒してしまいそうだ。
この日は暇だったのか、久しぶりに松永が家に遊びに来るよう誘ってくる。
もちろん、基本は暇人の僕はすぐに行く返事をしようとしたけど……何となく路ちゃんにはメッセージを送っておいた。
「ウェルカム、りょーちゃん。実は親戚から野菜が送られて来たんだ。雨の中悪いけど、お土産として持って帰ってちょうだい」
「なるほど、それで呼ばれたのか」
「いやまぁ、遊びたかったのもあるから。今、産賀家にお邪魔するのは明莉ちゃんに悪いだろうし」
「別に明莉は気にしないと思うけどなぁ」
「それはそれでショックなんですけど!?」
でも、松永の気遣いは非常にありがたいので、伊達に明莉を自分の妹のように思っているわけじゃないと思った。
「まぁ、遊ぶといってもダラダラ過ごすだけなんだが。あっ。でも、久々に野球ゲームで対戦したい気分になってきた」
「別にいいけど、僕だと全く相手にならんぞ」
「大丈夫。俺も普段はオート操作だし」
そのまま松永はテレビにゲームを繋いで暫く対戦が行われる。
操作方法は何となくわかるけど、僕は普段やってないゲームだととことん弱くなるタイプだった。
「そういえばさー りょーちゃん」
「うーん?」
「茉奈ちゃんから小耳に挟んだんだけど……岸本さんとなんかあった?」
「な、なんかとは」
「いや、茉奈ちゃんが部活で並々ならぬ何かを感じ取ったみたいで。一応、ポジティブな空気だとは言ってたけど」
――この前の部活で察していたのは姫宮さんだけじゃなかったのか。
いや、もしかしたら桐山くん以外の女子は何かを感じ取っている……?
そして、こういう場合、どう話すのが正解なんだ?
松永は気の置けない友人ではあるけど、この話は普段の話題と違って妙に生々しいし……
「じ、実はその……」
「わかった。皆まで言うな」
「えっ。マジでわかったの」
「それはもう。俺は空気が読める男ですから」
「そ、そうか」
「で、実際どうだったの?」
「聞くのかよ!?」
「だって、普通に気になるでしょ」
「お前、路ちゃんと一応知り合いだろうが」
「一応も何も知り合いだけど、別にやらしい意味で言ってるんじゃないよ。むしろ、りょーちゃんのリアクションが気になるだけ」
「……それなら……その……紅茶の味がした」
「うん?」
「いや、直前に紅茶飲んでたんだけど……」
「……あっ。ごめん、りょーちゃん。俺そこから先の話だと思ってた」
「…………はあぁぁぁぁ!?」
僕は思わずコントローラーを投げ出して立ち上がる。
「何考えてるんだよ!?」
「だ、だって、キスくらいはもう済んでるものかと……」
「悪かったな! というか、仮にそうだとしたら話さないわ!」
「いや、逆に安心したよ。りょーちゃんはそういう男だと思った」
「嘘つけ! 全然違うこと考えてたくせに!」
「でもね、りょーちゃん。別に悪いことじゃないんだよ。俺も――」
「うるさい! この話題はなしだ!」
「はーい」
松永は素直に返事したので、途中から完全に悪ノリだったのがよくわかった。
でも、松永そう言うってことは――何を考えようとしているんだ僕は。
その後、この話題が掘り返されることはなかったけど……暫く松永と2人きりで遊ぶのを警戒してしまいそうだ。
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