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2年生3学期

1月16日(月)晴れのち曇り 大倉伴憲との日常その29

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 1月後半が始まった月曜日。
 月の前半が冬休みだったのもあるけど、もう半分過ぎたのかと思ってしまった。
 いつもながら3学期はうかうかしていると終わってしまいそうだ。

「う、産賀くんは今季のアニメ何か見てる?」

 まぁ、そんな中でも月曜日は立ち上がりの日なので、こんな緩い話題から始まる。
 正月特番があったから、新しいアニメやドラマの始まりは少しだけ遅れていた。
 しかし、こういう時に僕は1話を見るまで腰が重いタイプだった。
 色んな作品を見れば、創作のヒントにもなるかもしれないのに。

「いや、まだチェックできてないよ。何か面白そうなやつあるの?」

「そ、そうだなぁ……今期はなぜかTSモノが多いけど……」

「TSって……?」

「あっ。えっと……性別が変わっちゃう的な。だいたい男から女だけど」

「ああ、そういう……それが多いのか」

「うん。ほら、アプリ連載してるちょっとエッチな……」

「あー、あれね。確かにアニメ化って書いてあったわ」

 こうやって振り返って書いていると、教室内で結構な話をしていた。
 でも、大倉くんと僕が悪いわけじゃなくて、男子間の会話はこんなものなのである。
 ……誰に言い訳をしているんだろう、僕は。

「意外と性別変わるの流行ってるのかな」

「う、産賀くんは女の子になりたいと思ったことある?」

「えっ!?」

「い、いや、完全に転換するんじゃなくて、ちょっと女の子だったら良かったのになーって話」

「な、なるほど。うーん……ないかもしれない。たぶんだけど、女の子っぽい遊びは妹やってたりするからかな」

「そうなんだ……」

「そう言うからには大倉くんはあるってこと?」

「べ、別にいやらしい意味じゃないよ?」

「誰もそんなことは言ってないよ。何か女の子系のことで憧れがあったの?」

「そ、それは……ちょっと可愛い服着たりとか? も、もちろん、今の状態だとそうしたいとかはないんだけど、女の子になったら着てみたい気持ちはあったり……」

「へー……案外、今の状態で来てもハマったりするかもよ?」

「いやいやいや……アニメみたいに男子でメイド服着させられるとかなくて良かったと思ってるくらいだよ」

「……確かに。自分で想像したくないわ」

「それはともかく今期のTSモノ自体は面白いから!」

 大倉くんが強引にまとめてくれたので話は終わったけど……なるほど女の子に変わるか。
 そういうジャンルもたまには……いや、卒業生に向けた冊子に載せるんだった。
 さすがに尖り過ぎている。
 でも、最初から女の子を主人公として書くのはやっていないので、そっちの方向で考えてみてもいいかもしれないと思った。
 まずは……大倉くんのおすすめを視聴するか。
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