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2年生3学期

1月15日(日)曇り時々雨 挑戦する清水夢愛

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 大学入学共通テスト2日目の日曜日。
 本日は理数科目の日になっていて、多くの受験生は終わった流れで自己採点を行う……と、金曜に塾の講師が言っていた。
 その時点でだいたいの結果は見えてくるので、受験先を定まってくる。

 今のところ、明確に志望校を知っているのは清水先輩だけだ。
 国公立大で偏差値的には県内でも上位に位置する。
 そんな志望校は僕らの地域で共通テストの受験会場になっていた。
 志望校で受験のスタートラインに立つためのテストを受けるというのは、僕なら緊張を上乗せされてしまうと思う。
 だからこそ、清水先輩は何もメッセージを送らなかったんだけど……昨日から長々と書いてしまうほど、僕は今年受けるわけでもないテストを気にしてしまった。

 それから時刻は18時過ぎ。
 ニュースでは共通テストの終了や解答の速報が流れる中、一件のメッセージが入る。

――共通テストは終わった!
――これから小織と自己採点

 連絡していない清水先輩から送られたことに驚きつつも僕は「お疲れ様です!」と急いで返した。

――ありがとう。
――良助が心配しているんじゃないかと小織と話していたが
――そんなことはなかったみたいだな

 清水先輩は僕の短めの返事からそう思ったのかもしれないけど、桜庭先輩も含めて完全に見透かされていた。
 それを白状するのは……また今度会った時にしよう。

――わりと手応えアリだ
――あっ、今は小織のお母さんに運転して貰ってて
――小織の家で自己採点するんだ
――今は彼女さんとラブラブ中?
――って、小織が聞けと言ってる

 しかし、遠慮気味な僕に対して清水先輩と桜庭先輩は連続してメッセージを送ってくる。
 ランナーズハイのような状態なんだろうか。
 でも、気落ちしていないのなら、手応えアリというのは本当だと思われる。
 そのおかげで僕も少しだけ安心できた。

――でも、この後も暫くは忙しいんだ
――そもそも次が本番だしな
――桜庭家に着いたので一旦終わる
――明莉ちゃんに小織お姉さんが明けましておめでとうって言ってたと伝えて
――って、小織が言ってる
――自分のLINEで言えばいいのに

 その後も自己採点の結果を教科ごとに報告してくれたりと、僕が思っていたよりも長くやり取りしていた。
 僕がメッセージを送らなかったところから、ここまでやってくれたのなら、逆に心配させてしまったような気もする。
 でも、そんな気遣いがちょっぴり嬉しく思ってしまった。
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