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2年生冬休み
1月2日(月)晴れのち曇り 祖父母宅での冬休みⅡ
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冬休み10日目。
本日は京都の祖父母宅へ行くので、毎年のことながらも父さんに運転して貰っている間、僕と明莉はぐっすり寝ていた。
「おじいちゃんおばあちゃん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
祖父母宅に到着すると、これまた毎年通り明莉は一番乗りで挨拶して、僕はその後に続いて言った。
すると、いつもならすぐにお年玉を渡すじいちゃんが少し驚いた顔になっていた。
「明莉……今日はどうしたんじゃ? いつもより元気がないように見えるが……」
「えっ? そうかな?」
「おじいさん、元気がないんじゃありませんよ。明莉も落ち着いた女性になってきたんじゃろう」
「あ~ そういうことかぁ。思わずあかりの大人っぽさが出ちゃったかぁ」
明莉はばあちゃんの言葉に全力に乗っかるけど……果たしてそうなのだろうか。
今年はたまたま落ち着いた感じで挨拶してお年玉を貰おうとしただけにも見える。
「まぁ、それならいいんじゃが……ほれ、明莉と良助。これを」
「わーい! ありがと、おじいちゃん。あっ、それと2人には一つご報告があるんだけど……りょうちゃんから」
「えっ!?」
「おっ、なんじゃ?」
明莉の突然のフリに僕は困惑する。
いや、来て早々に言うことでもないし、そんな重大発表みたいにされるのは僕としては不本意だ。
しかし、じいちゃんとばあちゃんの期待の目が既に注がれていた。
「えっと……僕にも彼女ができました」
「な、なんと、良助に!?」
「それは良かったねぇ。あっ、事前に言ってくれたら赤飯炊いたのに……」
「いや、今からでも遅くないぞ。これでひ孫の顔は安泰じゃ」
「い、いや、まだ付き合い始めたばかりだから……」
「良助、一度惚れた女は泣かせたらいかん。わしも学生の頃は……」
僕の発言はじいちゃんの謎のスイッチを押してしまったようで、暫くはじいちゃんの持論を聞かされる。
まぁ、何となくこうなる予感はあった。
特にじいちゃんは中学生の頃からひ孫に対する期待を寄せていたような気がする。
明莉の時はショックを受けていたのに。
そんなじいちゃんのお話から解放されると、僕はばあちゃんにお土産を渡す。
「これ、今年の文化祭の冊子。あと、文芸部内で撮った写真も。雰囲気がわかればと思って」
「あれまぁ、ありがとう。これは……女の子は着物を着てたんだねぇ」
そう、思った以上に楽しみにしてくれていた文化祭関連の物だ。
写真については、他の部員に話した時に提案されて、許可を貰った上で持ってきた。
その時の僕はクオリティの低いコスプレをしているのだけど、ばあちゃんの目線は女の子に集中していたので特に言及されることはなかった。
「また長い休みまでに読んで感想を書かせて貰うよぉ。おばあちゃんのお友達に貸しても大丈夫かねぇ?」
「うん。その冊子はばあちゃんの分だから好きなように使ってよ」
「ありがとう。ところで……付き合い始めたのは写真の中のどの子なんだい?」
「えっ? 僕、部活内にいるとか言ったっけ……?」
「いや、何となくそうかと思ったんだけど……どうやら当たってるみたいだねぇ」
「う、うん。その……右から2番目の……」
ばあちゃんの勘がなぜ当たったのかわからないけど、じいちゃんよりは柔らかく話題に触れてくれるので、説明はしやすかった。
その使命を果たした後は、これまたいつも通り祖父母の厚意に甘えてだらだらとした時間を過ごした。
僕は一応本を持って来ていたけど、満腹感と暖かさから寝ている時間の方が多くなってしまった。
本日は京都の祖父母宅へ行くので、毎年のことながらも父さんに運転して貰っている間、僕と明莉はぐっすり寝ていた。
「おじいちゃんおばあちゃん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
祖父母宅に到着すると、これまた毎年通り明莉は一番乗りで挨拶して、僕はその後に続いて言った。
すると、いつもならすぐにお年玉を渡すじいちゃんが少し驚いた顔になっていた。
「明莉……今日はどうしたんじゃ? いつもより元気がないように見えるが……」
「えっ? そうかな?」
「おじいさん、元気がないんじゃありませんよ。明莉も落ち着いた女性になってきたんじゃろう」
「あ~ そういうことかぁ。思わずあかりの大人っぽさが出ちゃったかぁ」
明莉はばあちゃんの言葉に全力に乗っかるけど……果たしてそうなのだろうか。
今年はたまたま落ち着いた感じで挨拶してお年玉を貰おうとしただけにも見える。
「まぁ、それならいいんじゃが……ほれ、明莉と良助。これを」
「わーい! ありがと、おじいちゃん。あっ、それと2人には一つご報告があるんだけど……りょうちゃんから」
「えっ!?」
「おっ、なんじゃ?」
明莉の突然のフリに僕は困惑する。
いや、来て早々に言うことでもないし、そんな重大発表みたいにされるのは僕としては不本意だ。
しかし、じいちゃんとばあちゃんの期待の目が既に注がれていた。
「えっと……僕にも彼女ができました」
「な、なんと、良助に!?」
「それは良かったねぇ。あっ、事前に言ってくれたら赤飯炊いたのに……」
「いや、今からでも遅くないぞ。これでひ孫の顔は安泰じゃ」
「い、いや、まだ付き合い始めたばかりだから……」
「良助、一度惚れた女は泣かせたらいかん。わしも学生の頃は……」
僕の発言はじいちゃんの謎のスイッチを押してしまったようで、暫くはじいちゃんの持論を聞かされる。
まぁ、何となくこうなる予感はあった。
特にじいちゃんは中学生の頃からひ孫に対する期待を寄せていたような気がする。
明莉の時はショックを受けていたのに。
そんなじいちゃんのお話から解放されると、僕はばあちゃんにお土産を渡す。
「これ、今年の文化祭の冊子。あと、文芸部内で撮った写真も。雰囲気がわかればと思って」
「あれまぁ、ありがとう。これは……女の子は着物を着てたんだねぇ」
そう、思った以上に楽しみにしてくれていた文化祭関連の物だ。
写真については、他の部員に話した時に提案されて、許可を貰った上で持ってきた。
その時の僕はクオリティの低いコスプレをしているのだけど、ばあちゃんの目線は女の子に集中していたので特に言及されることはなかった。
「また長い休みまでに読んで感想を書かせて貰うよぉ。おばあちゃんのお友達に貸しても大丈夫かねぇ?」
「うん。その冊子はばあちゃんの分だから好きなように使ってよ」
「ありがとう。ところで……付き合い始めたのは写真の中のどの子なんだい?」
「えっ? 僕、部活内にいるとか言ったっけ……?」
「いや、何となくそうかと思ったんだけど……どうやら当たってるみたいだねぇ」
「う、うん。その……右から2番目の……」
ばあちゃんの勘がなぜ当たったのかわからないけど、じいちゃんよりは柔らかく話題に触れてくれるので、説明はしやすかった。
その使命を果たした後は、これまたいつも通り祖父母の厚意に甘えてだらだらとした時間を過ごした。
僕は一応本を持って来ていたけど、満腹感と暖かさから寝ている時間の方が多くなってしまった。
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