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2年生冬休み
12月25日(日)晴れ イブの後日
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冬休み2日目かつクリスマス。
昨日は帰った後もクリスマスらしい晩ご飯を食べたり、大倉くんへの報告会があったりと盛りだくさんだったけど、今日は大人しく自宅にいた。
一方の明莉は今日も桜庭くんと出かけるようで……受験生なのにそれでいいのかと少し思ってしまう。
ただ、カップル的にはクリスマス本番も出かけるのが正解なのだろうか。
昨日はそんな相談どころか、次に会う約束すらもしていない。
文芸部の忘年会で会えるから問題はないように思うけど、その辺りはまだまだ不慣れだった。
そんなわけで今日の僕は勉強や読書で贅沢に休みの時間を使おうと思っていたんだけど……
「良助、良助」
自分の部屋から出たタイミングで母さんから声をかけられる。
昨日、付き合い始めた件について、晩ご飯前に両親へ話していた。
明莉には半分くらい話していたし、大倉くんに報告するのに両親へ報告しないのはどうかと思ったからだ。
その報告は予想以上に両親を驚かせたようで、特に母さんはめちゃめちゃ食い付いてきた。
それを見た僕は途端に恥ずかしさが増してきて、詳しい話はしないまま翌日を迎えていたのだ。
だけど、そのせいで母さんはより気になってしまったらしい。
「1年生の時の集合写真持ってきたんだけど、この中に彼女さんはいるの?」
そう言いながら楽しそうに写真を見せてくる。
「いや、1年生の時は同じクラスじゃないから……」
「ということは、今は同じクラスなの? 名簿とか貰ってたかしら……」
「ど、どうだったかな」
「……というか、普通に誰か教えて欲しいんだけどなぁ。写真も撮ってないって言うし」
写真を撮っていないのは本当のことだけど、今のテンションの母さんに教えるのは何だか気が引けた。
僕は目に見えて反抗期もなかったようで、僕自身も母さんに対してマイナスな感情を抱いたことはあまりない。
でも、この時ばかりは少し……鬱陶しいと思ってしまった。
いや、僕が付き合い始めた事実を咀嚼し切れないうちに話してしまったのが悪いのだけど。
「名前言ってもわからないと思う。母さんは会ったことないし」
「わからなくても教えて欲しいの。だって、今後は家に来るかもしれないんだし」
「うっ、まぁ……そうか」
僕の中ではそこまで考えられていなかった。
それどころか告白というイベントを消化したと思って、僕の意識は読者や進路を考える方に向いている。
付き合うところがゴールじゃないというのに……なかなか難しいものだ。
「……岸本路子さんだよ」
「あっ、どこかで聞いたことあるような……部活の先輩?」
「ううん。同級生」
「ああ! 2年生2人だけっていう……ええっ!? その2人で付き合い始めちゃったの!?」
「う、うん」
「そうなのねぇ……良助。家に呼ぶ時は事前に言っておいてね。色々準備しなきゃいけないから」
「えっ? 桜庭くんが来る時も色々準備してたの……?」
「それはもちろん。明莉は母さんに話してくれるほうだからわかるけど、良助には言っておかないとね」
「あ、ありがとう……」
「さて。まだ色々聞きたいけど……じっくり聞く方が楽しみが残るし、今日はこれくらいにしときましょう」
勝手に楽しまれるのは困ってしまうけど、母さんが珍しいテンションになるくらいには喜んでくれているのはよくわかった。
それにしても……母さんも恋愛話が絡むとこうなるとは。
明莉はその部分をしっかり受け継いでいる。
ちなみに父さんは驚いてはいたけど、必要以上に聞いてはこなかったので、この点は僕と父さん……というよりは男性陣だからなのかもしれない。
昨日は帰った後もクリスマスらしい晩ご飯を食べたり、大倉くんへの報告会があったりと盛りだくさんだったけど、今日は大人しく自宅にいた。
一方の明莉は今日も桜庭くんと出かけるようで……受験生なのにそれでいいのかと少し思ってしまう。
ただ、カップル的にはクリスマス本番も出かけるのが正解なのだろうか。
昨日はそんな相談どころか、次に会う約束すらもしていない。
文芸部の忘年会で会えるから問題はないように思うけど、その辺りはまだまだ不慣れだった。
そんなわけで今日の僕は勉強や読書で贅沢に休みの時間を使おうと思っていたんだけど……
「良助、良助」
自分の部屋から出たタイミングで母さんから声をかけられる。
昨日、付き合い始めた件について、晩ご飯前に両親へ話していた。
明莉には半分くらい話していたし、大倉くんに報告するのに両親へ報告しないのはどうかと思ったからだ。
その報告は予想以上に両親を驚かせたようで、特に母さんはめちゃめちゃ食い付いてきた。
それを見た僕は途端に恥ずかしさが増してきて、詳しい話はしないまま翌日を迎えていたのだ。
だけど、そのせいで母さんはより気になってしまったらしい。
「1年生の時の集合写真持ってきたんだけど、この中に彼女さんはいるの?」
そう言いながら楽しそうに写真を見せてくる。
「いや、1年生の時は同じクラスじゃないから……」
「ということは、今は同じクラスなの? 名簿とか貰ってたかしら……」
「ど、どうだったかな」
「……というか、普通に誰か教えて欲しいんだけどなぁ。写真も撮ってないって言うし」
写真を撮っていないのは本当のことだけど、今のテンションの母さんに教えるのは何だか気が引けた。
僕は目に見えて反抗期もなかったようで、僕自身も母さんに対してマイナスな感情を抱いたことはあまりない。
でも、この時ばかりは少し……鬱陶しいと思ってしまった。
いや、僕が付き合い始めた事実を咀嚼し切れないうちに話してしまったのが悪いのだけど。
「名前言ってもわからないと思う。母さんは会ったことないし」
「わからなくても教えて欲しいの。だって、今後は家に来るかもしれないんだし」
「うっ、まぁ……そうか」
僕の中ではそこまで考えられていなかった。
それどころか告白というイベントを消化したと思って、僕の意識は読者や進路を考える方に向いている。
付き合うところがゴールじゃないというのに……なかなか難しいものだ。
「……岸本路子さんだよ」
「あっ、どこかで聞いたことあるような……部活の先輩?」
「ううん。同級生」
「ああ! 2年生2人だけっていう……ええっ!? その2人で付き合い始めちゃったの!?」
「う、うん」
「そうなのねぇ……良助。家に呼ぶ時は事前に言っておいてね。色々準備しなきゃいけないから」
「えっ? 桜庭くんが来る時も色々準備してたの……?」
「それはもちろん。明莉は母さんに話してくれるほうだからわかるけど、良助には言っておかないとね」
「あ、ありがとう……」
「さて。まだ色々聞きたいけど……じっくり聞く方が楽しみが残るし、今日はこれくらいにしときましょう」
勝手に楽しまれるのは困ってしまうけど、母さんが珍しいテンションになるくらいには喜んでくれているのはよくわかった。
それにしても……母さんも恋愛話が絡むとこうなるとは。
明莉はその部分をしっかり受け継いでいる。
ちなみに父さんは驚いてはいたけど、必要以上に聞いてはこなかったので、この点は僕と父さん……というよりは男性陣だからなのかもしれない。
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