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2年生2学期
12月18日(日)曇り時々雪 隣接する岸本路子その13
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お出かけの日曜日。
最強寒波がやって来るタイミングにはなってしまったけど、天気は何とかもってくれた。
本日の予定はそれほど遠くに行くわけにもいかなかったので、近場で路ちゃんが好きそうな場所を選んで行くことにした。
まずはこの辺りでは穴場といわれる古本屋。
全国チェーンの古本屋ともマニアックな品揃えにはなるけど、古本屋らしい雰囲気も楽しめる場所だ。
実際に行くと店長さんも優しい方で、本屋とも図書館とも違う本との触れ合いができたと思う。
次は落ち着いた雰囲気のカフェ。
路ちゃんからはお気に入りの店を教えて貰ったので、こちらも穴場かつ良さそうな店をピックアップして新しいお気に入りにして貰おうと思った。
値段もお手頃でコーヒーや紅茶以外にもスイーツ系が充実していた。
その次はシンプルにウインドウショッピング。
ネタ切れというわけではなく、トークでもしながら歩こうと考えた末のルートだった。
そのタイミングでちょっとした買い食いもできるので、良い案だと思っていたけど……
ここまでの流れだけを書いているのは、一緒に来た路ちゃんの反応がどこかふわっとしていたからだ。
決して悪い反応ではないだろうし、言葉は返してくれるんだけど、僕が想定していたよりも言葉数は少ない。
僕が緊張しているせいか、それとも本当はつまらないと思われているのか。
いや、そもそもこれは僕が仮にデートとして挑んだのであって、路ちゃんからすれば普通に遊びに来ているだけだ。
想定は僕の想像でしかない。
「……路ちゃん。今日は……楽しめた?」
気が付くともう帰りの時間になっていて、僕は思わず余計なことを聞いてしまっていた。
聞かなければいいことを聞いてしまうのは、この時点の僕が失敗してしまったと思っていたからだ。
だから、路ちゃんから気遣いの言葉をかけられたら、謝るしかないと考えていた。
しかし、路ちゃんが言ったのは……
「ご、ごめんなさい。正直に言うと…………緊張してあんまり覚えてないの」
「えっ!?」
「ほ、本当にごめんなさい! 古本屋もカフェもとてもいい場所だとは思ったのだけれど、こんなにも……わたしに合わせてくれると思ってなくて。今日はその……普通に遊びに行く感じだと思っていたから」
「そ、それは……」
「だから、良助くんがもし良ければなのだけれど!」
僕が路ちゃんの言葉を頭の中で処理する前に、路ちゃんは力強く言う。
「来週の土曜日も……一緒に出かけない?」
「来週の土曜は……24日か。24日!?」
「今日の埋め合わせというか……も、もちろん、急な話だから予定があるなら断っても……」
「いや、予定はないよ。うん。その……僕で良ければ」
「あ、ありがとう」
お互いにぎこちない約束をすると、その後数分間は喋れなかった。
僕は来週のことなんて全く考えていなかったけど、路ちゃんはそれを言う方に気を取られてしまったのだろう。
そこについては少し残念な気持ちもあるけど、一週間前で全く気にしなかった僕が悪い。
とにかく……僕も来週の予定ができてしまった。
最強寒波がやって来るタイミングにはなってしまったけど、天気は何とかもってくれた。
本日の予定はそれほど遠くに行くわけにもいかなかったので、近場で路ちゃんが好きそうな場所を選んで行くことにした。
まずはこの辺りでは穴場といわれる古本屋。
全国チェーンの古本屋ともマニアックな品揃えにはなるけど、古本屋らしい雰囲気も楽しめる場所だ。
実際に行くと店長さんも優しい方で、本屋とも図書館とも違う本との触れ合いができたと思う。
次は落ち着いた雰囲気のカフェ。
路ちゃんからはお気に入りの店を教えて貰ったので、こちらも穴場かつ良さそうな店をピックアップして新しいお気に入りにして貰おうと思った。
値段もお手頃でコーヒーや紅茶以外にもスイーツ系が充実していた。
その次はシンプルにウインドウショッピング。
ネタ切れというわけではなく、トークでもしながら歩こうと考えた末のルートだった。
そのタイミングでちょっとした買い食いもできるので、良い案だと思っていたけど……
ここまでの流れだけを書いているのは、一緒に来た路ちゃんの反応がどこかふわっとしていたからだ。
決して悪い反応ではないだろうし、言葉は返してくれるんだけど、僕が想定していたよりも言葉数は少ない。
僕が緊張しているせいか、それとも本当はつまらないと思われているのか。
いや、そもそもこれは僕が仮にデートとして挑んだのであって、路ちゃんからすれば普通に遊びに来ているだけだ。
想定は僕の想像でしかない。
「……路ちゃん。今日は……楽しめた?」
気が付くともう帰りの時間になっていて、僕は思わず余計なことを聞いてしまっていた。
聞かなければいいことを聞いてしまうのは、この時点の僕が失敗してしまったと思っていたからだ。
だから、路ちゃんから気遣いの言葉をかけられたら、謝るしかないと考えていた。
しかし、路ちゃんが言ったのは……
「ご、ごめんなさい。正直に言うと…………緊張してあんまり覚えてないの」
「えっ!?」
「ほ、本当にごめんなさい! 古本屋もカフェもとてもいい場所だとは思ったのだけれど、こんなにも……わたしに合わせてくれると思ってなくて。今日はその……普通に遊びに行く感じだと思っていたから」
「そ、それは……」
「だから、良助くんがもし良ければなのだけれど!」
僕が路ちゃんの言葉を頭の中で処理する前に、路ちゃんは力強く言う。
「来週の土曜日も……一緒に出かけない?」
「来週の土曜は……24日か。24日!?」
「今日の埋め合わせというか……も、もちろん、急な話だから予定があるなら断っても……」
「いや、予定はないよ。うん。その……僕で良ければ」
「あ、ありがとう」
お互いにぎこちない約束をすると、その後数分間は喋れなかった。
僕は来週のことなんて全く考えていなかったけど、路ちゃんはそれを言う方に気を取られてしまったのだろう。
そこについては少し残念な気持ちもあるけど、一週間前で全く気にしなかった僕が悪い。
とにかく……僕も来週の予定ができてしまった。
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