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2年生2学期
12月9日(金)晴れ 後輩との日常・岸元日葵の場合その11
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12月もあっという間に2回目の金曜日。
本日も放課後は大倉くんと勉強……したかったところだけど、今日は大倉くんに用事があるようで、先に家へ帰ってしまった。
それを当日聞かされたことから、学校で勉強する気満々だった僕は少し困ってしまう。
今週の放課後はずっと家以外で勉強してきたら、何となく週末の今日も学校以外で締めたい。
そう思った僕は1人で図書室に乗り込むことにした。
こういう時に誰か誘えればいいんだろうけど、テスト前だから急に言うのは申し訳なく思ってしまう。
そうしてやって来た図書室だけど、やっぱり今回の期末テストはここで勉強している人が多いように見える。
学校内でも流行りの勉強場所みたいなものがあるのか、それとも1人で来ているから勝手に感じているだけだ。
「あっ、産賀センパイじゃないですか」
そんな中、僕が席を探しているといつもよりは声を抑えめに僕を呼ぶ声が聞こえる。
それは4人の友人と共に勉強する日葵さんだった。
「お疲れ。テスト勉強がんばってるんだね」
「はい。あっ、この人が文芸部の男子のセンパイ。そうそう、2年生」
日葵さんの説明に友人たちも少し声を抑えて話し出す。
その配慮は褒めるべきかわからないけど、僕から見るとひそひそ話をされているようでちょっと緊張した。
ただ、4人の中に姫宮さんの姿がないことに気付く。
「姫宮さんは一緒じゃないんだ」
「それがですよ。青蘭ってああ見えて結構頭が良くて」
「いや、わりとイメージ通りかな」
「マジですか。って、それはおいといて、テスト勉強しなくてもいいらしいんですよ」
「ええっ……そんなことある?」
「でも、実際青蘭はテストの成績良くて、満点じゃないけど全部80点以上とか取っちゃうんです」
別学年のテストの点数については聞いたことがなかったので、思わぬところで姫宮さんのスペックを知って僕は驚く。
そこまで行くとイメージとは違ってくるけど……今度は姫宮さんが清水先輩と被って見えた。
独特な雰囲気ながらも成績は良いタイプだ。
「あっ、良かったら産賀センパイも一緒に勉強します。ひまりの隣、空いてますよ」
「え、遠慮しとく」
「え~ なんでですか~? 恥ずかしがらなくていいのに。ねぇ、みんなも大丈夫だよね」
日葵さんの問いかけに友人たちも同調する。
でも、その友人たちからはきゃぴきゃぴとした空気を感じるので、僕は首を大きく横に振る。
「それじゃあ、また再来週の部活で」
日葵さんがたくさんの友人に囲まれているのは想像通りだけど、この中に姫宮さんが混じっているのはどんな感じになるか気になった。
でも、日葵さんが中心にいる限りはみんなで楽しくやっているのだろう。
本日も放課後は大倉くんと勉強……したかったところだけど、今日は大倉くんに用事があるようで、先に家へ帰ってしまった。
それを当日聞かされたことから、学校で勉強する気満々だった僕は少し困ってしまう。
今週の放課後はずっと家以外で勉強してきたら、何となく週末の今日も学校以外で締めたい。
そう思った僕は1人で図書室に乗り込むことにした。
こういう時に誰か誘えればいいんだろうけど、テスト前だから急に言うのは申し訳なく思ってしまう。
そうしてやって来た図書室だけど、やっぱり今回の期末テストはここで勉強している人が多いように見える。
学校内でも流行りの勉強場所みたいなものがあるのか、それとも1人で来ているから勝手に感じているだけだ。
「あっ、産賀センパイじゃないですか」
そんな中、僕が席を探しているといつもよりは声を抑えめに僕を呼ぶ声が聞こえる。
それは4人の友人と共に勉強する日葵さんだった。
「お疲れ。テスト勉強がんばってるんだね」
「はい。あっ、この人が文芸部の男子のセンパイ。そうそう、2年生」
日葵さんの説明に友人たちも少し声を抑えて話し出す。
その配慮は褒めるべきかわからないけど、僕から見るとひそひそ話をされているようでちょっと緊張した。
ただ、4人の中に姫宮さんの姿がないことに気付く。
「姫宮さんは一緒じゃないんだ」
「それがですよ。青蘭ってああ見えて結構頭が良くて」
「いや、わりとイメージ通りかな」
「マジですか。って、それはおいといて、テスト勉強しなくてもいいらしいんですよ」
「ええっ……そんなことある?」
「でも、実際青蘭はテストの成績良くて、満点じゃないけど全部80点以上とか取っちゃうんです」
別学年のテストの点数については聞いたことがなかったので、思わぬところで姫宮さんのスペックを知って僕は驚く。
そこまで行くとイメージとは違ってくるけど……今度は姫宮さんが清水先輩と被って見えた。
独特な雰囲気ながらも成績は良いタイプだ。
「あっ、良かったら産賀センパイも一緒に勉強します。ひまりの隣、空いてますよ」
「え、遠慮しとく」
「え~ なんでですか~? 恥ずかしがらなくていいのに。ねぇ、みんなも大丈夫だよね」
日葵さんの問いかけに友人たちも同調する。
でも、その友人たちからはきゃぴきゃぴとした空気を感じるので、僕は首を大きく横に振る。
「それじゃあ、また再来週の部活で」
日葵さんがたくさんの友人に囲まれているのは想像通りだけど、この中に姫宮さんが混じっているのはどんな感じになるか気になった。
でも、日葵さんが中心にいる限りはみんなで楽しくやっているのだろう。
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