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2年生2学期

12月1日(木)晴れのち曇り 前進する清水夢愛その4

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 12月開始の木曜日。
 本日1日は清水先輩の誕生日だ。
 僕にとっては2回目のお祝いになることから、出会ってからそれだけ時間が経ったのだと改めて実感する。
 去年の今頃は、その後の僕と清水先輩に色々あることなんて想像していなかっただろう。

 清水先輩へのお祝いメッセージは登校する前に送っておいた。
日付が変わってすぐ送るような感じではないし、かといって夕方まで待つのも何か違う……と散々悩んだ結果そうした。
 自転車に乗ってる間はスマホが見られないから、学校に着く頃には何かしら反応があればいいと思っていた。

 それから数十分ほどして学校に着いた時、スマホに清水先輩から返信があった。

――ありがとう!
――今日は暇そうか?
――ちょっと顔を見せてくれ
――いや、プレゼントを期待してるとかじゃないからな。本当に。

 フリのようにも見える言葉で締めくくられていたけど、予想外の返しだったので、僕は返信に悩む。
 ここ最近は他のことで手一杯なのもあって、清水先輩には全く会えていなかった。
 恐らく清水先輩も受験勉強なり何なりで忙しかったのだろう。
 頻繁にLINEで連絡を取るわけではないから、今日のメッセージを送るのも謎に緊張してしまった。

――いいですよ。今日は部活もありませんし。

 でも、断る理由はないから僕はそう返した。
 いや、本日の主役が会いたいと言ってくれるなら、僕に拒否権はないだろう。

「お疲れ、良助」

「お疲れ様です。改めてお誕生日おめでとうございます」

 放課後、中庭を集合場所に僕と清水先輩は落ち合う。
 暫く会わない間に元から長かった髪が、さらに長くなっているように見えた。

「ありがとう。すまんな、わざわざ呼び出して」

「いえいえ。それと……これはささやかなプレゼントです」

 そう言って僕は午前中に買っておいた購買のシュークリームを渡す。

「おお。今年もくれるのか。本当にプレゼントは用意しなくても良かったのに」

「そう言われると用意しなきゃいけない気がしちゃったんです。なので、本当はお祝いのメッセージだけで済ませるつもりでした」

「それでも十分だ。ただ……私がちょっと顔を見たかっただけだから」

「そんなに懐かしむレベルで会ってませんでした?」

「それもあるが……何となく誰かに会いたくなる時ってあるだろう?」

「そう……ですかね?」

「私はここ最近わりとある。まぁ、小織か良助くらいだが」

 突然の言葉に僕は心臓が痛んだ。
 嬉しいようで、喜びきれないこの感じ。
 でも、清水先輩はこれからもずっとこういう人なんだろう。

「じゃあ、たまに呼んでくれたら会いに行きますよ」

「会いにいける何とかってやつか」

「それよりもハードルは低いですけどね」

「わかった。じゃあ、良助も会いたかったら遠慮なく呼んでくれ。その方が抜け出せる口実になる」

「それなら……たぶん呼びません。後で桜庭先輩に睨まれるのが嫌なので」

「ぐっ……そうか。今日も小織も一緒にと言ったんだがな……まぁ、少なくとも数日後は良助の誕生日だから、その時はまた会おう」

「覚えててくれたんですね」

「もちろん……もし早めに祝ったら許してくれ」

 事前にそう言って申し訳なさそうにする清水先輩を見て、僕は笑った。

 そんなこんなで無事に清水先輩の18歳の誕生日をお祝いできた。
 今日の言葉を受けて、僕も少しくらいは清水先輩に連絡してもいいかと思えた。
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