607 / 942
2年生2学期
12月1日(木)晴れのち曇り 前進する清水夢愛その4
しおりを挟む
12月開始の木曜日。
本日1日は清水先輩の誕生日だ。
僕にとっては2回目のお祝いになることから、出会ってからそれだけ時間が経ったのだと改めて実感する。
去年の今頃は、その後の僕と清水先輩に色々あることなんて想像していなかっただろう。
清水先輩へのお祝いメッセージは登校する前に送っておいた。
日付が変わってすぐ送るような感じではないし、かといって夕方まで待つのも何か違う……と散々悩んだ結果そうした。
自転車に乗ってる間はスマホが見られないから、学校に着く頃には何かしら反応があればいいと思っていた。
それから数十分ほどして学校に着いた時、スマホに清水先輩から返信があった。
――ありがとう!
――今日は暇そうか?
――ちょっと顔を見せてくれ
――いや、プレゼントを期待してるとかじゃないからな。本当に。
フリのようにも見える言葉で締めくくられていたけど、予想外の返しだったので、僕は返信に悩む。
ここ最近は他のことで手一杯なのもあって、清水先輩には全く会えていなかった。
恐らく清水先輩も受験勉強なり何なりで忙しかったのだろう。
頻繁にLINEで連絡を取るわけではないから、今日のメッセージを送るのも謎に緊張してしまった。
――いいですよ。今日は部活もありませんし。
でも、断る理由はないから僕はそう返した。
いや、本日の主役が会いたいと言ってくれるなら、僕に拒否権はないだろう。
「お疲れ、良助」
「お疲れ様です。改めてお誕生日おめでとうございます」
放課後、中庭を集合場所に僕と清水先輩は落ち合う。
暫く会わない間に元から長かった髪が、さらに長くなっているように見えた。
「ありがとう。すまんな、わざわざ呼び出して」
「いえいえ。それと……これはささやかなプレゼントです」
そう言って僕は午前中に買っておいた購買のシュークリームを渡す。
「おお。今年もくれるのか。本当にプレゼントは用意しなくても良かったのに」
「そう言われると用意しなきゃいけない気がしちゃったんです。なので、本当はお祝いのメッセージだけで済ませるつもりでした」
「それでも十分だ。ただ……私がちょっと顔を見たかっただけだから」
「そんなに懐かしむレベルで会ってませんでした?」
「それもあるが……何となく誰かに会いたくなる時ってあるだろう?」
「そう……ですかね?」
「私はここ最近わりとある。まぁ、小織か良助くらいだが」
突然の言葉に僕は心臓が痛んだ。
嬉しいようで、喜びきれないこの感じ。
でも、清水先輩はこれからもずっとこういう人なんだろう。
「じゃあ、たまに呼んでくれたら会いに行きますよ」
「会いにいける何とかってやつか」
「それよりもハードルは低いですけどね」
「わかった。じゃあ、良助も会いたかったら遠慮なく呼んでくれ。その方が抜け出せる口実になる」
「それなら……たぶん呼びません。後で桜庭先輩に睨まれるのが嫌なので」
「ぐっ……そうか。今日も小織も一緒にと言ったんだがな……まぁ、少なくとも数日後は良助の誕生日だから、その時はまた会おう」
「覚えててくれたんですね」
「もちろん……もし早めに祝ったら許してくれ」
事前にそう言って申し訳なさそうにする清水先輩を見て、僕は笑った。
そんなこんなで無事に清水先輩の18歳の誕生日をお祝いできた。
今日の言葉を受けて、僕も少しくらいは清水先輩に連絡してもいいかと思えた。
本日1日は清水先輩の誕生日だ。
僕にとっては2回目のお祝いになることから、出会ってからそれだけ時間が経ったのだと改めて実感する。
去年の今頃は、その後の僕と清水先輩に色々あることなんて想像していなかっただろう。
清水先輩へのお祝いメッセージは登校する前に送っておいた。
日付が変わってすぐ送るような感じではないし、かといって夕方まで待つのも何か違う……と散々悩んだ結果そうした。
自転車に乗ってる間はスマホが見られないから、学校に着く頃には何かしら反応があればいいと思っていた。
それから数十分ほどして学校に着いた時、スマホに清水先輩から返信があった。
――ありがとう!
――今日は暇そうか?
――ちょっと顔を見せてくれ
――いや、プレゼントを期待してるとかじゃないからな。本当に。
フリのようにも見える言葉で締めくくられていたけど、予想外の返しだったので、僕は返信に悩む。
ここ最近は他のことで手一杯なのもあって、清水先輩には全く会えていなかった。
恐らく清水先輩も受験勉強なり何なりで忙しかったのだろう。
頻繁にLINEで連絡を取るわけではないから、今日のメッセージを送るのも謎に緊張してしまった。
――いいですよ。今日は部活もありませんし。
でも、断る理由はないから僕はそう返した。
いや、本日の主役が会いたいと言ってくれるなら、僕に拒否権はないだろう。
「お疲れ、良助」
「お疲れ様です。改めてお誕生日おめでとうございます」
放課後、中庭を集合場所に僕と清水先輩は落ち合う。
暫く会わない間に元から長かった髪が、さらに長くなっているように見えた。
「ありがとう。すまんな、わざわざ呼び出して」
「いえいえ。それと……これはささやかなプレゼントです」
そう言って僕は午前中に買っておいた購買のシュークリームを渡す。
「おお。今年もくれるのか。本当にプレゼントは用意しなくても良かったのに」
「そう言われると用意しなきゃいけない気がしちゃったんです。なので、本当はお祝いのメッセージだけで済ませるつもりでした」
「それでも十分だ。ただ……私がちょっと顔を見たかっただけだから」
「そんなに懐かしむレベルで会ってませんでした?」
「それもあるが……何となく誰かに会いたくなる時ってあるだろう?」
「そう……ですかね?」
「私はここ最近わりとある。まぁ、小織か良助くらいだが」
突然の言葉に僕は心臓が痛んだ。
嬉しいようで、喜びきれないこの感じ。
でも、清水先輩はこれからもずっとこういう人なんだろう。
「じゃあ、たまに呼んでくれたら会いに行きますよ」
「会いにいける何とかってやつか」
「それよりもハードルは低いですけどね」
「わかった。じゃあ、良助も会いたかったら遠慮なく呼んでくれ。その方が抜け出せる口実になる」
「それなら……たぶん呼びません。後で桜庭先輩に睨まれるのが嫌なので」
「ぐっ……そうか。今日も小織も一緒にと言ったんだがな……まぁ、少なくとも数日後は良助の誕生日だから、その時はまた会おう」
「覚えててくれたんですね」
「もちろん……もし早めに祝ったら許してくれ」
事前にそう言って申し訳なさそうにする清水先輩を見て、僕は笑った。
そんなこんなで無事に清水先輩の18歳の誕生日をお祝いできた。
今日の言葉を受けて、僕も少しくらいは清水先輩に連絡してもいいかと思えた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる