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2年生2学期
11月16日(水)重森美里の介入その2
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11月後半戦の水曜日。
本日も塾で路ちゃんと一緒になるけど、月曜日の出来事については触れられないままだった。
「おっす、岸本さんと産賀ちゃん」
そんな中、重森さんは路ちゃんと……何故か僕にまで挨拶をする。
「何でちゃん付けなの」
「今日はそんな気分だったから。そんなことより……今日はいい空気だね」
重森さんは僕と路ちゃんを交互に見ながら言う。
路ちゃんはその言葉に驚いてた。
「そ、そんなに空気ってわかるものなの……?」
「ちゃんとした根拠があるわけじゃないよ。こう見えても私、2人が入塾してからずっと観察してきからね」
「観察されてたんだ……」
「ああ、ごめんごめん。別に何か探るとかそういうのじゃないよ。単に同じ学校の子だからいつか話してみたいなーって思ってただけのヤツ。産賀ちゃんのことは松永から聞いてたけど、岸本さんのことは何も知らなかったから」
僕のことで何を聞かされているか気になるところだけど、重森さんの興味は岸本さんの方に寄っているので、僕は口を挟めなかった。
「わたし、悪目立ちしてるかな……」
一方の路ちゃんは以前の塾のこともあるから、注目されることに不安を覚えているようだった。
だけど、重森さんはすぐにそれを否定する。
「悪目立ちじゃないよ。なんていうかな……そう、ミステリアス。岸本さんはミステリアスな雰囲気があって、そこが何となく惹かれたのかな」
そう言われてみると、1年生で初めて会った時の路ちゃんはそういう雰囲気があったような気がする。
まぁ、実際のところは人見知りによる緊張や不安で何もしゃべれなかっただけ……って、完全に会話を盗み聞きしてしまった。
「あとは単純に顔が好み」
「えっ!?」
路ちゃんの反応と同時に僕も重森さんの方を思いっきり見てしまう。
「岸本さん、抱きしめたくなるタイプの可愛さがあると思う。ちょっとハグしてもいい?」
「あっ、えっ、えっと……いいけれど」
いや、いいのか路ちゃん……と心の中で僕は言う。
「それじゃ遠慮なく」
重森さんは路ちゃんを後ろからハグしながら頭を肩に乗せる。
それ自体は女子間のコミュニケーションとしては珍しくないのかもしれないけど……隣でいきなり始まると変にドキドキする。
「うん、とってもいい感じ」
「あ、ありがとう……?」
「……どう、産賀ちゃん? 羨ましい?」
「なっ!?」
「なんて言ってみたり」
「し、重森さん!?」
「あっ、ちょいとお邪魔し過ぎたね。それじゃ、今日もお勉強がんばりましょ」
散々やりたい放題した重森さんは路ちゃんから離れて自分の席に戻って行った。
残された僕と路ちゃんは暫く唖然としていた。
最初は路ちゃんが話せる相手が増えたと喜んでいたけど、重森さんもなかなか癖がある人だった。
まぁ、コミュニケーション方法なんて人それぞれだから、そこについては文句は言えない。
言えないけど……なんだこのモヤモヤした気持ちは。
本日も塾で路ちゃんと一緒になるけど、月曜日の出来事については触れられないままだった。
「おっす、岸本さんと産賀ちゃん」
そんな中、重森さんは路ちゃんと……何故か僕にまで挨拶をする。
「何でちゃん付けなの」
「今日はそんな気分だったから。そんなことより……今日はいい空気だね」
重森さんは僕と路ちゃんを交互に見ながら言う。
路ちゃんはその言葉に驚いてた。
「そ、そんなに空気ってわかるものなの……?」
「ちゃんとした根拠があるわけじゃないよ。こう見えても私、2人が入塾してからずっと観察してきからね」
「観察されてたんだ……」
「ああ、ごめんごめん。別に何か探るとかそういうのじゃないよ。単に同じ学校の子だからいつか話してみたいなーって思ってただけのヤツ。産賀ちゃんのことは松永から聞いてたけど、岸本さんのことは何も知らなかったから」
僕のことで何を聞かされているか気になるところだけど、重森さんの興味は岸本さんの方に寄っているので、僕は口を挟めなかった。
「わたし、悪目立ちしてるかな……」
一方の路ちゃんは以前の塾のこともあるから、注目されることに不安を覚えているようだった。
だけど、重森さんはすぐにそれを否定する。
「悪目立ちじゃないよ。なんていうかな……そう、ミステリアス。岸本さんはミステリアスな雰囲気があって、そこが何となく惹かれたのかな」
そう言われてみると、1年生で初めて会った時の路ちゃんはそういう雰囲気があったような気がする。
まぁ、実際のところは人見知りによる緊張や不安で何もしゃべれなかっただけ……って、完全に会話を盗み聞きしてしまった。
「あとは単純に顔が好み」
「えっ!?」
路ちゃんの反応と同時に僕も重森さんの方を思いっきり見てしまう。
「岸本さん、抱きしめたくなるタイプの可愛さがあると思う。ちょっとハグしてもいい?」
「あっ、えっ、えっと……いいけれど」
いや、いいのか路ちゃん……と心の中で僕は言う。
「それじゃ遠慮なく」
重森さんは路ちゃんを後ろからハグしながら頭を肩に乗せる。
それ自体は女子間のコミュニケーションとしては珍しくないのかもしれないけど……隣でいきなり始まると変にドキドキする。
「うん、とってもいい感じ」
「あ、ありがとう……?」
「……どう、産賀ちゃん? 羨ましい?」
「なっ!?」
「なんて言ってみたり」
「し、重森さん!?」
「あっ、ちょいとお邪魔し過ぎたね。それじゃ、今日もお勉強がんばりましょ」
散々やりたい放題した重森さんは路ちゃんから離れて自分の席に戻って行った。
残された僕と路ちゃんは暫く唖然としていた。
最初は路ちゃんが話せる相手が増えたと喜んでいたけど、重森さんもなかなか癖がある人だった。
まぁ、コミュニケーション方法なんて人それぞれだから、そこについては文句は言えない。
言えないけど……なんだこのモヤモヤした気持ちは。
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