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2年生2学期
11月3日(木)晴れ時々曇り 明莉との日常その65
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文化の日で祝日の木曜日。
休みとしては嬉しいところだけど、今週は土曜に授業がある。
体育祭や文化祭で潰れた平日の授業は残り2ヶ月の土曜で補われるようだ。
「りょうちゃん。今日のお昼から正弥くん来るから」
そんな中、同じく休みの明莉が遅めの起床からそう言う。
「あっ、そうなんだ。昼ご飯はどこか食べに行くの?」
「ううん。家で食べるよ。りょうちゃんも遠慮せず一緒に食べていいからね」
「それはどうもだけど……今日のお昼ってカップ麵で済ませる予定じゃ……?」
「何か問題ある?」
明莉はボケではなく本気でそう言ったので、僕は驚く。
「いやいや、せっかく来て貰うのにカップ麺食べさせるの!?」
「でも、正弥くんは気を遣わなくていいって言ってたし」
「それは社交辞令だよ。迎える側が真に受けちゃいけない」
「えー でも、りょうちゃんもまっちゃんが来た時にカップ麵で済ませてるんじゃん」
「それはそうだけど……」
僕は反論しようと思ったけど、明莉は納得いかない顔をしていた。
松永とは小学校からの長い付き合いで、家に何度も来ているから簡単な対応でも許されるような間柄だと思っている。
一方の桜庭くんも家に来る回数は多い方だけど、それはここ数ヶ月間の話で、まだカップ麵で迎えるのは失礼な間柄な気がしてしまう。
ただ、明莉からすると、桜庭くんは彼氏という友達よりも親しい関係なので、カップ麵で済ませてもいい関係性なのかもしれない。
「でもなぁ……」
「じゃあ、インスタント麺にする?」
「確かにそれなら調理感が……って、そういう問題か?」
「別にあかり達が2人で食べる時も高いものなんて食べてないのに。まぁ、あかり的にはりょうちゃんが寿司とか取ってくれるなら大歓迎だけど」
「す、寿司かぁ……うぬぬ」
「えっ? 本当に検討してるの?」
明莉には驚かれたけど、僕は真剣に悩んでいた。
決してカップ麵が悪いわけじゃない。
手軽に食べられてしかも美味しいカップ麵は僕も好きだ。
でも、それを彼女の家で、兄がいる状態で当然のように出すのは……個人的に嫌だ。
僕がそれで迎えられても文句は言わないけど、迎える側で考えると嫌なのだ。
「……材料買ってくるのでオムライスとかで勘弁して貰えませんか」
しかし、金銭的事情には勝てなかった。
それを聞いた明莉は少し呆れながら言う。
「もう、りょうちゃんは変なところで真面目なんだから。じゃあ、カップ麵プラス冷蔵庫にあるものでいいから何か作るのはどう?」
「ま、まぁ、それなら最低限になるか。でも……結局作るのは僕では?」
「もちろん。だからあかりはカップ麵だけで押し通そうと思ったのに」
それは僕に手間をかけさせない気遣いなのかもしれないけど、僕が想像していたよりも投げやりな理由だった。
その後、桜庭くんが来てから、僕は鶏肉と野菜の炒め物を作って、ぎりぎり客人を迎えられるような昼ご飯にできた。
当然だけど、桜庭くんはカップ麵に文句は言わなかったし、逆に炒め物を作ったことを大げさに感謝されてしまった気がする。
最近は桜庭くんともかなり打ち解けてきたけど、妹の彼氏としての距離感はまだ測りかねているところがあると思う日だった。
休みとしては嬉しいところだけど、今週は土曜に授業がある。
体育祭や文化祭で潰れた平日の授業は残り2ヶ月の土曜で補われるようだ。
「りょうちゃん。今日のお昼から正弥くん来るから」
そんな中、同じく休みの明莉が遅めの起床からそう言う。
「あっ、そうなんだ。昼ご飯はどこか食べに行くの?」
「ううん。家で食べるよ。りょうちゃんも遠慮せず一緒に食べていいからね」
「それはどうもだけど……今日のお昼ってカップ麵で済ませる予定じゃ……?」
「何か問題ある?」
明莉はボケではなく本気でそう言ったので、僕は驚く。
「いやいや、せっかく来て貰うのにカップ麺食べさせるの!?」
「でも、正弥くんは気を遣わなくていいって言ってたし」
「それは社交辞令だよ。迎える側が真に受けちゃいけない」
「えー でも、りょうちゃんもまっちゃんが来た時にカップ麵で済ませてるんじゃん」
「それはそうだけど……」
僕は反論しようと思ったけど、明莉は納得いかない顔をしていた。
松永とは小学校からの長い付き合いで、家に何度も来ているから簡単な対応でも許されるような間柄だと思っている。
一方の桜庭くんも家に来る回数は多い方だけど、それはここ数ヶ月間の話で、まだカップ麵で迎えるのは失礼な間柄な気がしてしまう。
ただ、明莉からすると、桜庭くんは彼氏という友達よりも親しい関係なので、カップ麵で済ませてもいい関係性なのかもしれない。
「でもなぁ……」
「じゃあ、インスタント麺にする?」
「確かにそれなら調理感が……って、そういう問題か?」
「別にあかり達が2人で食べる時も高いものなんて食べてないのに。まぁ、あかり的にはりょうちゃんが寿司とか取ってくれるなら大歓迎だけど」
「す、寿司かぁ……うぬぬ」
「えっ? 本当に検討してるの?」
明莉には驚かれたけど、僕は真剣に悩んでいた。
決してカップ麵が悪いわけじゃない。
手軽に食べられてしかも美味しいカップ麵は僕も好きだ。
でも、それを彼女の家で、兄がいる状態で当然のように出すのは……個人的に嫌だ。
僕がそれで迎えられても文句は言わないけど、迎える側で考えると嫌なのだ。
「……材料買ってくるのでオムライスとかで勘弁して貰えませんか」
しかし、金銭的事情には勝てなかった。
それを聞いた明莉は少し呆れながら言う。
「もう、りょうちゃんは変なところで真面目なんだから。じゃあ、カップ麵プラス冷蔵庫にあるものでいいから何か作るのはどう?」
「ま、まぁ、それなら最低限になるか。でも……結局作るのは僕では?」
「もちろん。だからあかりはカップ麵だけで押し通そうと思ったのに」
それは僕に手間をかけさせない気遣いなのかもしれないけど、僕が想像していたよりも投げやりな理由だった。
その後、桜庭くんが来てから、僕は鶏肉と野菜の炒め物を作って、ぎりぎり客人を迎えられるような昼ご飯にできた。
当然だけど、桜庭くんはカップ麵に文句は言わなかったし、逆に炒め物を作ったことを大げさに感謝されてしまった気がする。
最近は桜庭くんともかなり打ち解けてきたけど、妹の彼氏としての距離感はまだ測りかねているところがあると思う日だった。
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