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2年生2学期
10月4日(火)曇り 後輩との日常・姫宮青蘭の場合その9
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今夜辺りから寒くなるらしい火曜日。
本日は文芸部で文化祭の展示の細かいレイアウトについて相談が行われた。
冊子を並べる机と短歌を展示するボードを設置すること以外は何も決まっていないけど、準備日まではまだ時間があるので、今なら用意できるはずだ。
「何かアイデアがある人は挙手してください」
「はい! 折り紙の輪っかやつとか付ければいいと思います!」
日葵さんの意見に路ちゃんは素直にメモを取る。
それはどちらかというとパーティーに使う装飾のような気がするけど、飾り気がないよりはいいかもしれない。
折り紙なら予算的にも優しいし、他にも色々使えそうだ。
その次に手を挙げたのは姫宮さんだった。
「レイアウトの話じゃないですがコスプレするのがいいと思います」
「なるほど、コス……コスプレ!?」
さすがの路ちゃんも今度はメモを取る手を止める。
「はい。目立つ見た目であれば集客を望めるかと。それほど大仰なコスプレではなくたとえば魔女の帽子を被るだけでもそれっぽくなると思います。フライングハロウィンです」
「考えたこともなかったけれど……み、皆さんとしてはどうですか?」
「日葵はアリだと思いまーす! 普段学校じゃできない恰好なんて面白そうじゃないですか。ねぇ、茉奈」
「わたしに振るの!? え、えっと……パーティーグッズを身に付ける程度ならいいと思います。青蘭の言う通り目を引くでしょうし」
「そっかー その手があったかー 文化祭を盾にすれば汐里の面白い恰好が見られるー」
「なんで私が面白くならなきゃいけないんだ。まぁ、アイデア自体は否定しないが、一応確認は取らなきゃいけない案件だぞ」
水原先輩は路ちゃんと僕に向かってそう言ったけど、それ以外の人はコスプレのアイデアに肯定的だった。
すると、僕の傍にいた桐山くんが耳打ちしてくる。
「これって、姫宮さんの普段見られない恰好が見られるチャンスってことですか……!」
「そう……かな。いや、桐山くんがどの程度のコスプレを想像してるかわからないけど」
「メイド服とか、チアガールとか……」
「ないない。どこからその服調達してくるの」
「そんなぁ……」
そもそも文芸部でチアガールなんて何のコンセプトか全くわからない。
あるとすれば大正ロマン風の衣装とかだと思う。
まさしく文学少女という感じがして……いや、桐山くんの思考に乗せられて完全に女子が着る方で考えてしまった。
この流れだと男子3人も何かしら身に付けなければならない。
「副部長はどんな面白い衣装を着て来るんですか」
レイアウトについての意見が出揃った後、今日一番盛り上がった話題を出した姫宮さんはそう聞いてくる。
「全く思い付かないよ。たぶん衣装とかじゃなくてちょっと身に付けるものになりそうだけど」
「私としては鼻眼鏡を強くおすすめします」
「なんで!? いや、確かにお手頃な仮装グッズだけど、一応本番はお客さんの応対をするんだから……」
「それならフェイスマスクで」
「どこがそれならなの!? お客さんに来て貰うためなんだから怖がらせるようなのは駄目だって」
「提案を通して貰う手前そう言いましたが実のところは皆さんがどんな物を持ってくるか面白そうだったから言いました」
「おいおい」
「結果的にいいアイデアになったのでセーフ」
勝手に完結されてしまったけど、本当にみんなには好評だったし、僕もそう思った一人なので何も言えなかった。
こうして、文芸部の展示では部員がプチコスプレでお客さんを出迎えることになった。
ただ、アイデアを採用したはいいけど……自分が何をやればいいのかわからないのは大きな問題かもしれない。
本日は文芸部で文化祭の展示の細かいレイアウトについて相談が行われた。
冊子を並べる机と短歌を展示するボードを設置すること以外は何も決まっていないけど、準備日まではまだ時間があるので、今なら用意できるはずだ。
「何かアイデアがある人は挙手してください」
「はい! 折り紙の輪っかやつとか付ければいいと思います!」
日葵さんの意見に路ちゃんは素直にメモを取る。
それはどちらかというとパーティーに使う装飾のような気がするけど、飾り気がないよりはいいかもしれない。
折り紙なら予算的にも優しいし、他にも色々使えそうだ。
その次に手を挙げたのは姫宮さんだった。
「レイアウトの話じゃないですがコスプレするのがいいと思います」
「なるほど、コス……コスプレ!?」
さすがの路ちゃんも今度はメモを取る手を止める。
「はい。目立つ見た目であれば集客を望めるかと。それほど大仰なコスプレではなくたとえば魔女の帽子を被るだけでもそれっぽくなると思います。フライングハロウィンです」
「考えたこともなかったけれど……み、皆さんとしてはどうですか?」
「日葵はアリだと思いまーす! 普段学校じゃできない恰好なんて面白そうじゃないですか。ねぇ、茉奈」
「わたしに振るの!? え、えっと……パーティーグッズを身に付ける程度ならいいと思います。青蘭の言う通り目を引くでしょうし」
「そっかー その手があったかー 文化祭を盾にすれば汐里の面白い恰好が見られるー」
「なんで私が面白くならなきゃいけないんだ。まぁ、アイデア自体は否定しないが、一応確認は取らなきゃいけない案件だぞ」
水原先輩は路ちゃんと僕に向かってそう言ったけど、それ以外の人はコスプレのアイデアに肯定的だった。
すると、僕の傍にいた桐山くんが耳打ちしてくる。
「これって、姫宮さんの普段見られない恰好が見られるチャンスってことですか……!」
「そう……かな。いや、桐山くんがどの程度のコスプレを想像してるかわからないけど」
「メイド服とか、チアガールとか……」
「ないない。どこからその服調達してくるの」
「そんなぁ……」
そもそも文芸部でチアガールなんて何のコンセプトか全くわからない。
あるとすれば大正ロマン風の衣装とかだと思う。
まさしく文学少女という感じがして……いや、桐山くんの思考に乗せられて完全に女子が着る方で考えてしまった。
この流れだと男子3人も何かしら身に付けなければならない。
「副部長はどんな面白い衣装を着て来るんですか」
レイアウトについての意見が出揃った後、今日一番盛り上がった話題を出した姫宮さんはそう聞いてくる。
「全く思い付かないよ。たぶん衣装とかじゃなくてちょっと身に付けるものになりそうだけど」
「私としては鼻眼鏡を強くおすすめします」
「なんで!? いや、確かにお手頃な仮装グッズだけど、一応本番はお客さんの応対をするんだから……」
「それならフェイスマスクで」
「どこがそれならなの!? お客さんに来て貰うためなんだから怖がらせるようなのは駄目だって」
「提案を通して貰う手前そう言いましたが実のところは皆さんがどんな物を持ってくるか面白そうだったから言いました」
「おいおい」
「結果的にいいアイデアになったのでセーフ」
勝手に完結されてしまったけど、本当にみんなには好評だったし、僕もそう思った一人なので何も言えなかった。
こうして、文芸部の展示では部員がプチコスプレでお客さんを出迎えることになった。
ただ、アイデアを採用したはいいけど……自分が何をやればいいのかわからないのは大きな問題かもしれない。
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