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2年生2学期

9月16日(金)曇り 後輩との日常・姫宮青蘭の場合その8

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 午後から雲が黒くなってきた金曜日。
 本日の文芸部は体育祭関連の決めることが終わっていたので、創作する時間に充てられた。
 9月が折り返したということは、提出の期限もあと2週間くらいになるので、完成が見えていない人はそろそろ焦らなければならない時期だ。

「いやー、まずいなー」

「やっぱり森本先輩もこの時期になると忙しいんですか?」

「そうそう……と言いたいところだけど、実際はサボってただけなんだな、これがー 部長じゃなくなると汐里から焦らされることはないしさー」

「……じゃあ、現副部長の僕が焦らせた方がいいですか?」

「1週間後には本気出すー」

 森本先輩の言葉を信じて僕はその場を離れていく。
 とりあえず書き終えた僕は他のみんなの進捗具合を見て回っていた。
 今のところわかりやすく危なそうなのは森本先輩だけなので、残りの期間があれば全員提出できそうな感じだ。
 そう思っていたけど、僕は姫宮さんが困った表情になっているの発見する。

「あれ? 姫宮さんって小説書き上げたんじゃなかったっけ……?」

「ああ副部長。小説は書き終えたんですが短歌がさっぱり思い付かなくて考え中です」

「あっ、短歌の方か」

「副部長は高みの見物ですか」

「そ、そんなつもりはないよ。でも、短歌なら少しアドバイスできることあるかも」

「では聞かせてください」

 姫宮さんはすかさずそう言うので、僕は頷いて喋り出す。

「短歌にはルールがあるけど、詠む時に大事なのは見たまま感じたままを書くことなんだ。だから、まずは書きたいテーマについて文字が多くなってもいいから一行だけ決める。そこから言葉を付け足したり、削ったりして文字を合わせていくんだ」

「ふむふむ」

「それと難しい表現技法を使うよりは自分が楽しく考えられる方がいいよ。声に出して詠んだら気持ちいいリズムとか、自分が使いたい単語入っているとか」

「なるほど」

「まぁ、今言ってるのは森本先輩とおばあちゃんの受け売りなんだけどね」

「確かに用意されていた台詞感はありました」

「あはは……」

「ですが参考になりました。ありがとうございます。森本元部長と副部長のおばあ様」

「そこに感謝するんだ……というか、元部長って言い方」

「ジョークです。副部長にも感謝を」

「いやいや。僕も煮詰まっている時には助けて貰ったから」

 さっきはあんな感じだった森本先輩だけど、部長の時期に教えて貰ったことは色々あって、今日のように役立つ時が来ている。
 だから、今度は僕が後輩に伝えていかなければならない。

「副部長。最初に妹萌えの一行を考えたのですがここから広げられるでしょうか」

「短歌もその方向性なの!?」

 その後はもう少しだけ姫宮さんに短歌のことを解説する時間になった。
 さすがにテーマは変えるようで、追加の解説は真剣に聞いていたから、姫宮さんならいい作品を作ってくれそうだ。
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