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2年生2学期
7:35 もうすぐそっちに着く
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前日、松永浩太は「明日一緒に登校しよう」と誘った。
最近はテニス部の朝練や伊月茉奈との待ち合わせがあるから登校時にはタイミングが合わないことから久しぶりにそう言ったと思われる。
その理由は産賀良助と数日間メッセージのやり取りがなかったからだ。
いや、数日間やり取りがないことは別に珍しいことではないのだが、今回は状況が状況だけに松永側からなかなかメッセージを送りづらかった。
だから、シンプルに登校しようと誘うだけにとどめた。
「おはよう、りょーちゃん!」
「おはよう。元気だな」
そう返した良助はパッと見ではいつも通りであるように見えた。
「いや、明けちまったなー 夏休み」
「さすがに夏休み明け初日だと気だるさはあるな。明日はテストがあるし」
「いきなりテンション下がること言わないでよー 夏休みの余韻を感じさせて欲しい」
「余韻かぁ……」
ふと出てしまった言葉に良助が微妙な反応をしたので、松永は「しまった」と思う。
そう、松永は日曜日から連絡が来なかった時点で何となく察していた。
なぜなら、産賀良助という男は、そういう点においてひどく真面目な男だからだ。
相談を持ち掛けた相手にはしっかりと報告するし、過剰なくらいにお礼を言うタイプだった。
「……松永」
「うん?」
「……フラれた」
「……そっかぁー」
良助からの報告は松永が思った以上に早く聞かされた。
恐らく自分が誘った時点で、良助の方も言う決心が付いていたのだろう。
「でも、仲がこじれたとかじゃなくて……告白する前に戻った感じ」
「なるほど。じゃあ、これからも普通に清水さんとはお友達ってわけか」
「……うん」
「……だけど、暫くは距離置いてもいいと思う。すぐに割り切れるわけじゃないだろうし」
「そう、だよな。ぶっちゃけると、全然引きずってるから」
良助は苦笑いしながら言う。
それが言えるくらいには回復しているけど、断られた直後はもっと苦しかったに違いない。
長年の付き合いで良助がそんな行動に出たのは初めだったが、初めてだからこそ相当な衝撃だったろう。
「じゃあ、俺もぶっちゃけると……絶対いけると思ってた」
「そ、そうか?」
「俺は清水さんのこと知ってるようで全く知らないけど、少なくともりょーちゃんと一緒にいる時はいい雰囲気だったからさ」
「……まぁ、少しくらい自信が無ければ僕も言う決心なんてしなかったと思う」
「別に告白したこと自体は悪くないよ。たまたまそこは合わなかっただけだろうから」
「わかってる……はぁー ちょっと楽になった」
「おう。それなら良かったぜ」
それから松永と良助は一旦その話を止めて、夏休みの他のことについて振り返り始める。
もう少し聞きたい部分もあったが、今日誘ったのはひとまず報告する機会を作るためで、良助が満足しているならもう目的は果たせていた。
ただ、松永の個人的な思いとしては……意外な結果だった。
松永がいけると思った理由には、雰囲気だけではなく、良助が非常に良い人であると知っていたこともある。
だから、何が駄目だったのだろうかと、考えてしまうが……それは本人がもっと考えたことだろう。
それなら自分はいつも通り明るくお気楽に接するのがいい。
松永はそう思いながら学校に着くまで話し合った。
きっと、この事もいつか思い出話にできることを願いながら。
最近はテニス部の朝練や伊月茉奈との待ち合わせがあるから登校時にはタイミングが合わないことから久しぶりにそう言ったと思われる。
その理由は産賀良助と数日間メッセージのやり取りがなかったからだ。
いや、数日間やり取りがないことは別に珍しいことではないのだが、今回は状況が状況だけに松永側からなかなかメッセージを送りづらかった。
だから、シンプルに登校しようと誘うだけにとどめた。
「おはよう、りょーちゃん!」
「おはよう。元気だな」
そう返した良助はパッと見ではいつも通りであるように見えた。
「いや、明けちまったなー 夏休み」
「さすがに夏休み明け初日だと気だるさはあるな。明日はテストがあるし」
「いきなりテンション下がること言わないでよー 夏休みの余韻を感じさせて欲しい」
「余韻かぁ……」
ふと出てしまった言葉に良助が微妙な反応をしたので、松永は「しまった」と思う。
そう、松永は日曜日から連絡が来なかった時点で何となく察していた。
なぜなら、産賀良助という男は、そういう点においてひどく真面目な男だからだ。
相談を持ち掛けた相手にはしっかりと報告するし、過剰なくらいにお礼を言うタイプだった。
「……松永」
「うん?」
「……フラれた」
「……そっかぁー」
良助からの報告は松永が思った以上に早く聞かされた。
恐らく自分が誘った時点で、良助の方も言う決心が付いていたのだろう。
「でも、仲がこじれたとかじゃなくて……告白する前に戻った感じ」
「なるほど。じゃあ、これからも普通に清水さんとはお友達ってわけか」
「……うん」
「……だけど、暫くは距離置いてもいいと思う。すぐに割り切れるわけじゃないだろうし」
「そう、だよな。ぶっちゃけると、全然引きずってるから」
良助は苦笑いしながら言う。
それが言えるくらいには回復しているけど、断られた直後はもっと苦しかったに違いない。
長年の付き合いで良助がそんな行動に出たのは初めだったが、初めてだからこそ相当な衝撃だったろう。
「じゃあ、俺もぶっちゃけると……絶対いけると思ってた」
「そ、そうか?」
「俺は清水さんのこと知ってるようで全く知らないけど、少なくともりょーちゃんと一緒にいる時はいい雰囲気だったからさ」
「……まぁ、少しくらい自信が無ければ僕も言う決心なんてしなかったと思う」
「別に告白したこと自体は悪くないよ。たまたまそこは合わなかっただけだろうから」
「わかってる……はぁー ちょっと楽になった」
「おう。それなら良かったぜ」
それから松永と良助は一旦その話を止めて、夏休みの他のことについて振り返り始める。
もう少し聞きたい部分もあったが、今日誘ったのはひとまず報告する機会を作るためで、良助が満足しているならもう目的は果たせていた。
ただ、松永の個人的な思いとしては……意外な結果だった。
松永がいけると思った理由には、雰囲気だけではなく、良助が非常に良い人であると知っていたこともある。
だから、何が駄目だったのだろうかと、考えてしまうが……それは本人がもっと考えたことだろう。
それなら自分はいつも通り明るくお気楽に接するのがいい。
松永はそう思いながら学校に着くまで話し合った。
きっと、この事もいつか思い出話にできることを願いながら。
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