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2年生夏休み
8月24日(水)曇り 清水夢愛との夏散歩Ⅱその6
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夏休み35日目。この日、僕は清水先輩から久しぶりに連絡を受ける。時間帯は珍しく昼過ぎだった。逸る気持ちを抑えながら、僕は集合場所へ向かう。
「お疲れ、良助」
先に待っていた清水先輩はいつも通りに声をかけてくれた。その表情はどこか安堵しているように見えた。けれど、実際の言葉を聞くまで喜んではいけない。僕が挨拶を返すと、清水先輩は続けてすぐに言う。
「両親のことは……ちゃんと話せたよ。そこから話を擦り合わせるまで時間はかかったが、私が言いたかったことはわかってくれた。それで……家から通える範囲の大学進学を目指すってことで話は固まったよ」
「そ、そうですか……!」
「もちろん、家にいるためだけに近場にしたわけじゃなくて、色々考えた上で決めたことだ。そもそも合格できるかの問題もあるから……」
「それはこれからやっていけばいいとして……良かったぁ」
そう言いながら自分で力んでいた体が和らいだのを感じた。
「本当に色々心配かけてすまなかった。今度、良助のお母さまにも直接お礼を言わせて欲しい」
「わかりました」
「……すまない。会って言うべきだと思って呼びだしたが、言うべきことは終わってしまった。というか、まずはスマホで結果を報告すべきだったな……」
「いえいえ。どうせ僕は暇してましたし」
「でも、良助を無駄に緊張させてしまったから……」
「そ、そんなに緊張してました?」
「ああ、カチカチだった」
清水先輩は少し笑いながら言う。その笑顔を見るだけで僕は嬉しくなってしまった。
「ちょ、笑うのはひどいですよ。本当に心配だったんですから」
「す、すまない。本当はこれからどんな風に話したか説明したいところなんだが……今日はもう帰らないといけないんだ」
「そうなんですか?」
「うん。両親がなるべく晩御飯も一緒に食べられるようにしてくれるになって、今日は早く帰れるらしいから」
その事を弾むような声で言う清水先輩は少しだけ幼く見える。でも、それはこれまで寂しい思いをしていた清水先輩にとっては、正しい姿なのだと思う。
「それは……本当に良かったです。あっ、でも……帰る前に1つだけ」
「ん? どうした……?」
「……日曜日の夜って時間ありますか? その……夏祭りがあるんですけど」
「あー、去年は小織と行ってたやつか」
「は、はい。だからってわけじゃないんですけど、良かったら清水先輩と行きたいと思ってて……も、もちろん、家族で行く予定があるなら……」
「いや、今のところその予定はないよ。それに良助の誘いなら断れないさ」
「ぼ、僕の誘いなら?」
「だって、これだけ私のわがままに付き合ってくれたんだから、良助の頼みはなるべく聞きたいと思ってるんだ」
「そ、そんな強制的に行くものではないので……」
「なんだ。急に自信を無くして。珍しく良助から誘ってくれたのはちょっと嬉しいくらいだぞ」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だから……日曜日は楽しみにしておくよ」
清水先輩はそう言い残して帰宅していった。
今日の時点だと詳しいところまではわからないけど、清水先輩の小さい頃から続いていた悩みは無事解消された。どこか妥協したのかもしれないし、話し合う中でぶつかり合ったのかもしれない。
けれど、今日の清水先輩を見れば、どんな過程があっても良い終わりを迎えられたのだと思う。
だから、今度は……僕が動き出す番だ。
「お疲れ、良助」
先に待っていた清水先輩はいつも通りに声をかけてくれた。その表情はどこか安堵しているように見えた。けれど、実際の言葉を聞くまで喜んではいけない。僕が挨拶を返すと、清水先輩は続けてすぐに言う。
「両親のことは……ちゃんと話せたよ。そこから話を擦り合わせるまで時間はかかったが、私が言いたかったことはわかってくれた。それで……家から通える範囲の大学進学を目指すってことで話は固まったよ」
「そ、そうですか……!」
「もちろん、家にいるためだけに近場にしたわけじゃなくて、色々考えた上で決めたことだ。そもそも合格できるかの問題もあるから……」
「それはこれからやっていけばいいとして……良かったぁ」
そう言いながら自分で力んでいた体が和らいだのを感じた。
「本当に色々心配かけてすまなかった。今度、良助のお母さまにも直接お礼を言わせて欲しい」
「わかりました」
「……すまない。会って言うべきだと思って呼びだしたが、言うべきことは終わってしまった。というか、まずはスマホで結果を報告すべきだったな……」
「いえいえ。どうせ僕は暇してましたし」
「でも、良助を無駄に緊張させてしまったから……」
「そ、そんなに緊張してました?」
「ああ、カチカチだった」
清水先輩は少し笑いながら言う。その笑顔を見るだけで僕は嬉しくなってしまった。
「ちょ、笑うのはひどいですよ。本当に心配だったんですから」
「す、すまない。本当はこれからどんな風に話したか説明したいところなんだが……今日はもう帰らないといけないんだ」
「そうなんですか?」
「うん。両親がなるべく晩御飯も一緒に食べられるようにしてくれるになって、今日は早く帰れるらしいから」
その事を弾むような声で言う清水先輩は少しだけ幼く見える。でも、それはこれまで寂しい思いをしていた清水先輩にとっては、正しい姿なのだと思う。
「それは……本当に良かったです。あっ、でも……帰る前に1つだけ」
「ん? どうした……?」
「……日曜日の夜って時間ありますか? その……夏祭りがあるんですけど」
「あー、去年は小織と行ってたやつか」
「は、はい。だからってわけじゃないんですけど、良かったら清水先輩と行きたいと思ってて……も、もちろん、家族で行く予定があるなら……」
「いや、今のところその予定はないよ。それに良助の誘いなら断れないさ」
「ぼ、僕の誘いなら?」
「だって、これだけ私のわがままに付き合ってくれたんだから、良助の頼みはなるべく聞きたいと思ってるんだ」
「そ、そんな強制的に行くものではないので……」
「なんだ。急に自信を無くして。珍しく良助から誘ってくれたのはちょっと嬉しいくらいだぞ」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だから……日曜日は楽しみにしておくよ」
清水先輩はそう言い残して帰宅していった。
今日の時点だと詳しいところまではわからないけど、清水先輩の小さい頃から続いていた悩みは無事解消された。どこか妥協したのかもしれないし、話し合う中でぶつかり合ったのかもしれない。
けれど、今日の清水先輩を見れば、どんな過程があっても良い終わりを迎えられたのだと思う。
だから、今度は……僕が動き出す番だ。
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