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2年生夏休み
8月15日(月)晴れ 明莉との夏休みⅡその4
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夏休み26日目。お盆でやるべき事は終わったので父さんと母さんもようやくゆっくりできていた。休みだけど意外にやることがあるのは大人の難しいところなのかもしれない。
そんな今日は2人にゆっくり休んで貰うべく、僕……と明莉がお昼ご飯を作ることにした。僕に関してはいつも通りなので何も問題ないけど、明莉が加わると少々事情が変わってくる。
「今日は何作るの?」
「晩ご飯にも使えるカレー」
「おー りょうちゃんの料理レパートリーの中では超大作だ」
「まぁ、大作には違いないけど、基本はレシピ見れば大丈夫だよ。明莉も材料切るの手伝って」
「ふっ、あかりに刃物を持たせるとかどうなっても知らないよ?」
「自慢げに言われても……明莉だってそろそろ料理できるようになった方がいいでしょ?」
僕は何の気なしにそう言うと、明莉は一瞬首を傾げてから何かに気付く。
「あっ、りょうちゃん。もしかしてあかりに彼氏ができたから料理できた方がいいって言ってる!?」
「いや、別にその意図があったわけじゃないけど……」
「いけないんだー 女の子が料理できなきゃいけないってもう古いんだよ? 今はコンビニとかお惣菜とかで十分なんだから」
「だから、別にそういう意味では言ってないって。でも、多少はできた方がいざという時に役立つじゃないか」
「たとえば?」
「来年のバレンタインとか?」
「あー……来年もあるんだ、バレンタイン」
「毎年あっただろう。まぁ、バレンタインに関しては買ってもいいんだろうけど……あっ、そういえばあの時のチョコを渡す相手って桜庭くんも含まれてたの」
「それはまぁ……うん」
「つまり桜庭くんは明莉が一人で作ったと思い込んでるのか……」
「なんであかりが真実を伝えてない前提で話を進めてるの!?」
「じゃあ、僕が手伝ったこと言ったの?」
「言ってない!」
「やっぱりかぁ」
それで何か言われることはないだろうし、実際明莉が料理を作れないことで桜庭くんが何か思うこともないのだと思う。
でも、まるで作れないよりはちょっと作れるくらいになっておいた方がいいと僕は思ってしまう。
「わ、わかったよ。今度りょうちゃんにほんのちょっぴり手伝って貰いましたって懺悔しとくから……」
「そこまで大げさじゃなくてもいいけど、言っておいてあげた方がいい。男子はそういうの割と夢見ちゃうから」
「へ~ じゃあ、りょうちゃんも何か貰った時は僕のために手作りを!とか、僕だけのために選んでくらたのか!とか思ったりするんだ」
「い、いや、貰う機会がそれほどないからあんまり思わないかな」
「ほんとにー? 高校生になってからはそこそこあるんじゃないのー?」
「もう、いいから口より手を動かす。じゃがいも切ってみて」
「りょうかい! うわぁ、ぬるっとするねぇ」
「ちょ……! その手の形は危ないから!」
その後は切り方にひやひやしたり、調味料の豪快な入れ方にドキドキしたりしながらなんとかカレーを完成させた。
父さんと母さんは作ってくれただけで満足そうだったけど、味の方もレシピ通りなので申し分なかった。
ただ、そのレシピから逸れた行動をしようとする明莉は妹ながらもどうしてそうなったと思ってしまう。
残りの夏休み中は受験勉強もあるだろうけど、僕程度の料理が作れるように教えてもいいかもしれないと思った。
そんな今日は2人にゆっくり休んで貰うべく、僕……と明莉がお昼ご飯を作ることにした。僕に関してはいつも通りなので何も問題ないけど、明莉が加わると少々事情が変わってくる。
「今日は何作るの?」
「晩ご飯にも使えるカレー」
「おー りょうちゃんの料理レパートリーの中では超大作だ」
「まぁ、大作には違いないけど、基本はレシピ見れば大丈夫だよ。明莉も材料切るの手伝って」
「ふっ、あかりに刃物を持たせるとかどうなっても知らないよ?」
「自慢げに言われても……明莉だってそろそろ料理できるようになった方がいいでしょ?」
僕は何の気なしにそう言うと、明莉は一瞬首を傾げてから何かに気付く。
「あっ、りょうちゃん。もしかしてあかりに彼氏ができたから料理できた方がいいって言ってる!?」
「いや、別にその意図があったわけじゃないけど……」
「いけないんだー 女の子が料理できなきゃいけないってもう古いんだよ? 今はコンビニとかお惣菜とかで十分なんだから」
「だから、別にそういう意味では言ってないって。でも、多少はできた方がいざという時に役立つじゃないか」
「たとえば?」
「来年のバレンタインとか?」
「あー……来年もあるんだ、バレンタイン」
「毎年あっただろう。まぁ、バレンタインに関しては買ってもいいんだろうけど……あっ、そういえばあの時のチョコを渡す相手って桜庭くんも含まれてたの」
「それはまぁ……うん」
「つまり桜庭くんは明莉が一人で作ったと思い込んでるのか……」
「なんであかりが真実を伝えてない前提で話を進めてるの!?」
「じゃあ、僕が手伝ったこと言ったの?」
「言ってない!」
「やっぱりかぁ」
それで何か言われることはないだろうし、実際明莉が料理を作れないことで桜庭くんが何か思うこともないのだと思う。
でも、まるで作れないよりはちょっと作れるくらいになっておいた方がいいと僕は思ってしまう。
「わ、わかったよ。今度りょうちゃんにほんのちょっぴり手伝って貰いましたって懺悔しとくから……」
「そこまで大げさじゃなくてもいいけど、言っておいてあげた方がいい。男子はそういうの割と夢見ちゃうから」
「へ~ じゃあ、りょうちゃんも何か貰った時は僕のために手作りを!とか、僕だけのために選んでくらたのか!とか思ったりするんだ」
「い、いや、貰う機会がそれほどないからあんまり思わないかな」
「ほんとにー? 高校生になってからはそこそこあるんじゃないのー?」
「もう、いいから口より手を動かす。じゃがいも切ってみて」
「りょうかい! うわぁ、ぬるっとするねぇ」
「ちょ……! その手の形は危ないから!」
その後は切り方にひやひやしたり、調味料の豪快な入れ方にドキドキしたりしながらなんとかカレーを完成させた。
父さんと母さんは作ってくれただけで満足そうだったけど、味の方もレシピ通りなので申し分なかった。
ただ、そのレシピから逸れた行動をしようとする明莉は妹ながらもどうしてそうなったと思ってしまう。
残りの夏休み中は受験勉強もあるだろうけど、僕程度の料理が作れるように教えてもいいかもしれないと思った。
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