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2年生1学期
6月26日(日)曇り 明莉との日常その54
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引き続きテスト勉強で籠った日曜日。しかし、一緒にテスト勉強する明莉は昨日誤魔化し続けたことをまだ聞きたそうにしていた。
「ねぇ、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん。まずは明莉が知ってる人かどうか」
「明莉だって何も教えないまま付き合い始めたじゃないか……」
「おお! やっぱりいるんだ、好きな人!」
「……いるよ。これで勘弁して」
「いや、それはわかりきってるからダメ。それともりょうちゃんはこのまま3年生の大事な時期の明莉とちゆりんがテスト勉強手に付かなくなってもいいの?」
「なんで原田さんまで……」
「だって、昨日から気になるってメッセージめっちゃ来てるもん」
数ヶ月前は色々考えて受験モードに入ろうとしていたのに、ここに来て明莉がお喋りに逆戻りしてしまったのは非常に残念なことだ。これが彼氏ができて浮ついているせいだとしたら……何とも言えない気持ちになる。
「りょうちゃん、まさかとは思うけど、亜里沙さんじゃ……」
「違う違う。そういう邪推するの良くないぞ」
「ごめんなさーい。じゃあ、りょうちゃんも上手くいかない限りは教えてくれないのかぁ」
「……そうだよ。明莉だって上手くいなかったら絶対言わなかったんじゃないか? だとしたら僕も言う必要はない」
「それはまぁ単に明莉とちゆりんが気になるから。でも、明莉の場合はりょうちゃんが察してないんだからいきなり気になる人がいますって言うのおかしくない?」
「確かに……最近の僕、そんなに露骨だった?」
「あかり的には違和感あったよ。滅多に買わないのに新しい服買ってたし」
月曜日に大倉くんにも似たようなことを言われたけど、もしも僕が普段から服にお金をかけるタイプだったら何も察せられずに済んだのだろうか。まぁ、あり得ないことを考えても仕方ないんだけど。
「とりあえずこの話は終わりにして勉強を再開しよう。自分で言った通り大事な時期なんだし」
「はーい。あっ、そうだ。いつ頃になるかはわからないけど、テスト明けにはうちに彼氏呼ぶ予定だからそのつもりでよろしく」
「了解……って、今言うのそれ!?」
「テスト明けで急に言う方が良くないと思って」
「それは……そうかもしれない」
僕はそう言いつつも、テスト勉強中に言われるのも困ると思っていた。僕の意識は一瞬にして彼氏さんの襲来に持って行かれてしまう。
「明莉。ちょっと聞きたいんだけど……彼氏さんって性格的にはどんなタイプなの?」
「えー……別に聞かなくてもいいんじゃない? りょうちゃんと違ってテスト明けに会えばわかることだし」
明莉は意地悪く笑いながら言う。よくわかった。明莉は気遣いなどではなく、僕が気にするだろうと思ってわざと言ったのだ。
そして、まんまと引っかけられた僕はそこそこテスト勉強を進めながらも、テスト明けの来たるべき時について今から無駄に緊張するのだった。
「ねぇ、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん。まずは明莉が知ってる人かどうか」
「明莉だって何も教えないまま付き合い始めたじゃないか……」
「おお! やっぱりいるんだ、好きな人!」
「……いるよ。これで勘弁して」
「いや、それはわかりきってるからダメ。それともりょうちゃんはこのまま3年生の大事な時期の明莉とちゆりんがテスト勉強手に付かなくなってもいいの?」
「なんで原田さんまで……」
「だって、昨日から気になるってメッセージめっちゃ来てるもん」
数ヶ月前は色々考えて受験モードに入ろうとしていたのに、ここに来て明莉がお喋りに逆戻りしてしまったのは非常に残念なことだ。これが彼氏ができて浮ついているせいだとしたら……何とも言えない気持ちになる。
「りょうちゃん、まさかとは思うけど、亜里沙さんじゃ……」
「違う違う。そういう邪推するの良くないぞ」
「ごめんなさーい。じゃあ、りょうちゃんも上手くいかない限りは教えてくれないのかぁ」
「……そうだよ。明莉だって上手くいなかったら絶対言わなかったんじゃないか? だとしたら僕も言う必要はない」
「それはまぁ単に明莉とちゆりんが気になるから。でも、明莉の場合はりょうちゃんが察してないんだからいきなり気になる人がいますって言うのおかしくない?」
「確かに……最近の僕、そんなに露骨だった?」
「あかり的には違和感あったよ。滅多に買わないのに新しい服買ってたし」
月曜日に大倉くんにも似たようなことを言われたけど、もしも僕が普段から服にお金をかけるタイプだったら何も察せられずに済んだのだろうか。まぁ、あり得ないことを考えても仕方ないんだけど。
「とりあえずこの話は終わりにして勉強を再開しよう。自分で言った通り大事な時期なんだし」
「はーい。あっ、そうだ。いつ頃になるかはわからないけど、テスト明けにはうちに彼氏呼ぶ予定だからそのつもりでよろしく」
「了解……って、今言うのそれ!?」
「テスト明けで急に言う方が良くないと思って」
「それは……そうかもしれない」
僕はそう言いつつも、テスト勉強中に言われるのも困ると思っていた。僕の意識は一瞬にして彼氏さんの襲来に持って行かれてしまう。
「明莉。ちょっと聞きたいんだけど……彼氏さんって性格的にはどんなタイプなの?」
「えー……別に聞かなくてもいいんじゃない? りょうちゃんと違ってテスト明けに会えばわかることだし」
明莉は意地悪く笑いながら言う。よくわかった。明莉は気遣いなどではなく、僕が気にするだろうと思ってわざと言ったのだ。
そして、まんまと引っかけられた僕はそこそこテスト勉強を進めながらも、テスト明けの来たるべき時について今から無駄に緊張するのだった。
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