449 / 942
2年生1学期
6月26日(日)曇り 明莉との日常その54
しおりを挟む
引き続きテスト勉強で籠った日曜日。しかし、一緒にテスト勉強する明莉は昨日誤魔化し続けたことをまだ聞きたそうにしていた。
「ねぇ、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん。まずは明莉が知ってる人かどうか」
「明莉だって何も教えないまま付き合い始めたじゃないか……」
「おお! やっぱりいるんだ、好きな人!」
「……いるよ。これで勘弁して」
「いや、それはわかりきってるからダメ。それともりょうちゃんはこのまま3年生の大事な時期の明莉とちゆりんがテスト勉強手に付かなくなってもいいの?」
「なんで原田さんまで……」
「だって、昨日から気になるってメッセージめっちゃ来てるもん」
数ヶ月前は色々考えて受験モードに入ろうとしていたのに、ここに来て明莉がお喋りに逆戻りしてしまったのは非常に残念なことだ。これが彼氏ができて浮ついているせいだとしたら……何とも言えない気持ちになる。
「りょうちゃん、まさかとは思うけど、亜里沙さんじゃ……」
「違う違う。そういう邪推するの良くないぞ」
「ごめんなさーい。じゃあ、りょうちゃんも上手くいかない限りは教えてくれないのかぁ」
「……そうだよ。明莉だって上手くいなかったら絶対言わなかったんじゃないか? だとしたら僕も言う必要はない」
「それはまぁ単に明莉とちゆりんが気になるから。でも、明莉の場合はりょうちゃんが察してないんだからいきなり気になる人がいますって言うのおかしくない?」
「確かに……最近の僕、そんなに露骨だった?」
「あかり的には違和感あったよ。滅多に買わないのに新しい服買ってたし」
月曜日に大倉くんにも似たようなことを言われたけど、もしも僕が普段から服にお金をかけるタイプだったら何も察せられずに済んだのだろうか。まぁ、あり得ないことを考えても仕方ないんだけど。
「とりあえずこの話は終わりにして勉強を再開しよう。自分で言った通り大事な時期なんだし」
「はーい。あっ、そうだ。いつ頃になるかはわからないけど、テスト明けにはうちに彼氏呼ぶ予定だからそのつもりでよろしく」
「了解……って、今言うのそれ!?」
「テスト明けで急に言う方が良くないと思って」
「それは……そうかもしれない」
僕はそう言いつつも、テスト勉強中に言われるのも困ると思っていた。僕の意識は一瞬にして彼氏さんの襲来に持って行かれてしまう。
「明莉。ちょっと聞きたいんだけど……彼氏さんって性格的にはどんなタイプなの?」
「えー……別に聞かなくてもいいんじゃない? りょうちゃんと違ってテスト明けに会えばわかることだし」
明莉は意地悪く笑いながら言う。よくわかった。明莉は気遣いなどではなく、僕が気にするだろうと思ってわざと言ったのだ。
そして、まんまと引っかけられた僕はそこそこテスト勉強を進めながらも、テスト明けの来たるべき時について今から無駄に緊張するのだった。
「ねぇ、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん。まずは明莉が知ってる人かどうか」
「明莉だって何も教えないまま付き合い始めたじゃないか……」
「おお! やっぱりいるんだ、好きな人!」
「……いるよ。これで勘弁して」
「いや、それはわかりきってるからダメ。それともりょうちゃんはこのまま3年生の大事な時期の明莉とちゆりんがテスト勉強手に付かなくなってもいいの?」
「なんで原田さんまで……」
「だって、昨日から気になるってメッセージめっちゃ来てるもん」
数ヶ月前は色々考えて受験モードに入ろうとしていたのに、ここに来て明莉がお喋りに逆戻りしてしまったのは非常に残念なことだ。これが彼氏ができて浮ついているせいだとしたら……何とも言えない気持ちになる。
「りょうちゃん、まさかとは思うけど、亜里沙さんじゃ……」
「違う違う。そういう邪推するの良くないぞ」
「ごめんなさーい。じゃあ、りょうちゃんも上手くいかない限りは教えてくれないのかぁ」
「……そうだよ。明莉だって上手くいなかったら絶対言わなかったんじゃないか? だとしたら僕も言う必要はない」
「それはまぁ単に明莉とちゆりんが気になるから。でも、明莉の場合はりょうちゃんが察してないんだからいきなり気になる人がいますって言うのおかしくない?」
「確かに……最近の僕、そんなに露骨だった?」
「あかり的には違和感あったよ。滅多に買わないのに新しい服買ってたし」
月曜日に大倉くんにも似たようなことを言われたけど、もしも僕が普段から服にお金をかけるタイプだったら何も察せられずに済んだのだろうか。まぁ、あり得ないことを考えても仕方ないんだけど。
「とりあえずこの話は終わりにして勉強を再開しよう。自分で言った通り大事な時期なんだし」
「はーい。あっ、そうだ。いつ頃になるかはわからないけど、テスト明けにはうちに彼氏呼ぶ予定だからそのつもりでよろしく」
「了解……って、今言うのそれ!?」
「テスト明けで急に言う方が良くないと思って」
「それは……そうかもしれない」
僕はそう言いつつも、テスト勉強中に言われるのも困ると思っていた。僕の意識は一瞬にして彼氏さんの襲来に持って行かれてしまう。
「明莉。ちょっと聞きたいんだけど……彼氏さんって性格的にはどんなタイプなの?」
「えー……別に聞かなくてもいいんじゃない? りょうちゃんと違ってテスト明けに会えばわかることだし」
明莉は意地悪く笑いながら言う。よくわかった。明莉は気遣いなどではなく、僕が気にするだろうと思ってわざと言ったのだ。
そして、まんまと引っかけられた僕はそこそこテスト勉強を進めながらも、テスト明けの来たるべき時について今から無駄に緊張するのだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる