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2年生1学期
6月17日(金)晴れ時々曇り 後輩との日常・姫宮青蘭の場合その4
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完全に呆けていた金曜日。正直なところ昨日の記憶はどこか曖昧で、自分で書き記したものを見返しても僕が本当にそんなことを言ったのかと思ってしまう(清水先輩の悩みについてはしっかり覚えている)。
そんな風に少々不安定な状態でも日常は容赦なく流れていくので、気付けば文芸部の時間になっていた。
「副部長。何かありましたか」
それにいち早く反応したのは意外にも姫宮さんだった。いや、今日の教室での僕がどんな風だったかわからないから、そっとしておいてくれた可能性もある。
その場合、姫宮さんは敢えて突っ込んできた……と思ってしまうのは僕の中の勝手なイメージのせいだ。
「何もないよ。何かありそうな顔に見えた?」
「いえ。こう言っておけばだいたいの人は何か話し出してくれるので」
姫宮さんは悪びれもせずそう言う。あまり信用できない占い師みたいな手口だけど、確かに何かあったと聞かれたら、たとえ深く悩んでいなくても該当しそうなことを無意識に探してしまいそうだ。
そう思ったのと同時に、僕はこの前の桐山くんとのやり取りを思い出す。またしても意図せず姫宮さんから話しかけられてしまったけど、今回は間違いなく僕が隙だらけだったせいだろう。姫宮さんに対する考え方は結構当たっているのかもしれない。
「姫宮さんって、他の1年生と話す時もこんな感じなの?」
「こんな感じとは」
「えっと……ちょっとトリッキーな話の振り方」
「もう少し言い方がありませんか」
「うーん……ユーモラス溢れる話の振り方」
「だったらもっとユーモラスな返しが欲しかったですね」
「す、すみませんでした」
何て難しい会話なんだ。こんな姫宮さんに立ち向かう……じゃなくてアタックしようとしている桐山くんは普段から相当大変に違いない。姫宮さん側は楽しんでいるのだとしてもこちらは変な意味でドキドキする。
すると、2人の妙な空気を察してくれたのか、日葵さんが間に割り込んでくる。
「何話してるのー?」
「日葵。普段の姫宮青蘭はどんな風に話してきますか」
「えっ? まさにこんな風じゃない?」
「もっと具体的に」
「具体的……ご飯を注文したら米粉パンが出てくる感じ?」
「面白い。1蘭ポイント」
「やったぁー! 今累計何点?」
「今日初めて付けたので累計1蘭ポイント」
「だよね~ で、結局何の話だったんですか?」
姫宮さんのことを的確に捌きながら日葵さんは僕へ会話を振ってくる。そうか、これが正解……なのか?
「日葵さん……今度から参考にさせて貰うね」
「えっ? 何をですか?」
「ちょっと面白い。副部長0.5蘭ポイント」
「よし!」
「ちょっと~! 置いてけぼりなんですけど~?」
そうやって2人との緩い会話が今日は楽しく感じたのは、頭がぽわぽわしていたせいだ。
そして、後から気付いたけど、こんな会話をする1年生の中で一番大変そうなのは伊月さんなのではないかと思った。
そんな風に少々不安定な状態でも日常は容赦なく流れていくので、気付けば文芸部の時間になっていた。
「副部長。何かありましたか」
それにいち早く反応したのは意外にも姫宮さんだった。いや、今日の教室での僕がどんな風だったかわからないから、そっとしておいてくれた可能性もある。
その場合、姫宮さんは敢えて突っ込んできた……と思ってしまうのは僕の中の勝手なイメージのせいだ。
「何もないよ。何かありそうな顔に見えた?」
「いえ。こう言っておけばだいたいの人は何か話し出してくれるので」
姫宮さんは悪びれもせずそう言う。あまり信用できない占い師みたいな手口だけど、確かに何かあったと聞かれたら、たとえ深く悩んでいなくても該当しそうなことを無意識に探してしまいそうだ。
そう思ったのと同時に、僕はこの前の桐山くんとのやり取りを思い出す。またしても意図せず姫宮さんから話しかけられてしまったけど、今回は間違いなく僕が隙だらけだったせいだろう。姫宮さんに対する考え方は結構当たっているのかもしれない。
「姫宮さんって、他の1年生と話す時もこんな感じなの?」
「こんな感じとは」
「えっと……ちょっとトリッキーな話の振り方」
「もう少し言い方がありませんか」
「うーん……ユーモラス溢れる話の振り方」
「だったらもっとユーモラスな返しが欲しかったですね」
「す、すみませんでした」
何て難しい会話なんだ。こんな姫宮さんに立ち向かう……じゃなくてアタックしようとしている桐山くんは普段から相当大変に違いない。姫宮さん側は楽しんでいるのだとしてもこちらは変な意味でドキドキする。
すると、2人の妙な空気を察してくれたのか、日葵さんが間に割り込んでくる。
「何話してるのー?」
「日葵。普段の姫宮青蘭はどんな風に話してきますか」
「えっ? まさにこんな風じゃない?」
「もっと具体的に」
「具体的……ご飯を注文したら米粉パンが出てくる感じ?」
「面白い。1蘭ポイント」
「やったぁー! 今累計何点?」
「今日初めて付けたので累計1蘭ポイント」
「だよね~ で、結局何の話だったんですか?」
姫宮さんのことを的確に捌きながら日葵さんは僕へ会話を振ってくる。そうか、これが正解……なのか?
「日葵さん……今度から参考にさせて貰うね」
「えっ? 何をですか?」
「ちょっと面白い。副部長0.5蘭ポイント」
「よし!」
「ちょっと~! 置いてけぼりなんですけど~?」
そうやって2人との緩い会話が今日は楽しく感じたのは、頭がぽわぽわしていたせいだ。
そして、後から気付いたけど、こんな会話をする1年生の中で一番大変そうなのは伊月さんなのではないかと思った。
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