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2年生1学期
6月11日(土)雨時々曇り 明莉との日常その51
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2週間ぶりの土曜休み。今日は微妙な天気だけど、明日は何とか天気も回復してくれそうなので、お出かけ日和になりそうだ。そんなことを考えるほど意識は明日に向いているけど、それとは別に気になることがある。それは……明莉の動向だ。
報告から約1週間ほど経っているけど、その間に新しい情報は特に出てきていなかった。いや、これで毎日のように惚気話を聞かせられていたらたまったもんじゃないと思っていただろうけど、良くも悪くも今週の明莉はいつも通りだった。
松永に言った時には焦らないでもと言ったけど、何も更新がないとそれはそれで気になってしまう。でも、僕が気になったところでガツガツ聞いてしまうのは違うとも思う。これが同性の兄弟姉妹だったらまた違ったのだろうか。
「……りょうちゃん」
その気配を感じ取られたのか、居間で一緒にいるタイミングで明莉は不意に声をかけてきた。こうなったら思いっきって聞いてみるべきだろうか。まずは……名前から? というか、僕はまだ名前すら知らないのか。
「何かいい事あった?」
「えっ?」
しかし、明莉からの質問は全く違う内容だった。
「なんていうか、ちょっとふわふわしてない? 朝から慌ただしく何か準備してるし」
「ああ、それは明日出かける予定だから」
「へ~ 誰とどこ行くの?」
「……先輩と色々見て回ろうかと」
「先輩……って部活の?」
「違うよ。ほら、明莉も会ったことある長髪の……」
「あ~! あの美人さんかぁ。りょうちゃんと美人の先輩が日曜日にお出かけ……んん!?」
何かに引っかかった明莉は立ち上がっていきなり僕の方へ近づいて来た。
「りょうちゃん!? それってデートじゃないの!?」
「いや……デートは大袈裟かな。朝の散歩とかで一緒に出かけるの珍しくないし」
「あっ、そっかぁ。時々朝早くに出てるのは……ええっ!? それこそまっちゃんと行ってるって話じゃなかったっけ!?」
「そう言ってた気がするけど、さすがに松永と朝からは出かけないよ」
「というか、なんで彼氏できたあかりよりもりょうちゃんがそれっぽいことしようとしてるの!? 突然過ぎて意味わかんないんだけど!?」
「あ、明莉はデートとか行かないの?」
「いやまぁ、なんやかんや部活あるし、3年生で遊びに行く空気でもないしで……って、あかりの方はいいの! 今はりょうちゃんの話!」
流れで彼氏との近況がわかったけど、明莉の方はそれどころじゃないようだった。一方の僕は指摘された通り相当浮ついているのか、今まで隠していたことを喋ってしまう。
「えっ? じゃあ、これまでの長期休みとかで頻繫に朝から会ってたってこと? あかりの知らない間に?」
「まぁ、うん。知らせることでもないし……」
「いや、絶対そのタイミングで聞いてたのにりょうちゃんが誤魔化してるじゃん!」
「ご、ごめん」
「……それで、りょうちゃん的にはどうなの? その美人先輩とは」
「どうもこうも……仲良くさせて貰ってるだけだよ」
「ほんとにー?」
「ほんとほんと」
「うーん……俄然明日どうなるのか気になってきた。妹同伴も考えてみない?」
「それはちょっと……」
冗談だと思ったので僕はわざとらしいリアクションをしながら断ろうとしたけど、明莉はわりと本気に聞こえる言い方でもう一度言ってきた。
結局、この日は明莉からの情報よりも僕から話した情報の方が多かったような気がする。
そして、話を聞いた明莉は僕と同じくらいソワソワし始めていたので、同じ血が流れているというか、身内の浮ついた話は誰しも気になってしまうんだなぁと思った。
報告から約1週間ほど経っているけど、その間に新しい情報は特に出てきていなかった。いや、これで毎日のように惚気話を聞かせられていたらたまったもんじゃないと思っていただろうけど、良くも悪くも今週の明莉はいつも通りだった。
松永に言った時には焦らないでもと言ったけど、何も更新がないとそれはそれで気になってしまう。でも、僕が気になったところでガツガツ聞いてしまうのは違うとも思う。これが同性の兄弟姉妹だったらまた違ったのだろうか。
「……りょうちゃん」
その気配を感じ取られたのか、居間で一緒にいるタイミングで明莉は不意に声をかけてきた。こうなったら思いっきって聞いてみるべきだろうか。まずは……名前から? というか、僕はまだ名前すら知らないのか。
「何かいい事あった?」
「えっ?」
しかし、明莉からの質問は全く違う内容だった。
「なんていうか、ちょっとふわふわしてない? 朝から慌ただしく何か準備してるし」
「ああ、それは明日出かける予定だから」
「へ~ 誰とどこ行くの?」
「……先輩と色々見て回ろうかと」
「先輩……って部活の?」
「違うよ。ほら、明莉も会ったことある長髪の……」
「あ~! あの美人さんかぁ。りょうちゃんと美人の先輩が日曜日にお出かけ……んん!?」
何かに引っかかった明莉は立ち上がっていきなり僕の方へ近づいて来た。
「りょうちゃん!? それってデートじゃないの!?」
「いや……デートは大袈裟かな。朝の散歩とかで一緒に出かけるの珍しくないし」
「あっ、そっかぁ。時々朝早くに出てるのは……ええっ!? それこそまっちゃんと行ってるって話じゃなかったっけ!?」
「そう言ってた気がするけど、さすがに松永と朝からは出かけないよ」
「というか、なんで彼氏できたあかりよりもりょうちゃんがそれっぽいことしようとしてるの!? 突然過ぎて意味わかんないんだけど!?」
「あ、明莉はデートとか行かないの?」
「いやまぁ、なんやかんや部活あるし、3年生で遊びに行く空気でもないしで……って、あかりの方はいいの! 今はりょうちゃんの話!」
流れで彼氏との近況がわかったけど、明莉の方はそれどころじゃないようだった。一方の僕は指摘された通り相当浮ついているのか、今まで隠していたことを喋ってしまう。
「えっ? じゃあ、これまでの長期休みとかで頻繫に朝から会ってたってこと? あかりの知らない間に?」
「まぁ、うん。知らせることでもないし……」
「いや、絶対そのタイミングで聞いてたのにりょうちゃんが誤魔化してるじゃん!」
「ご、ごめん」
「……それで、りょうちゃん的にはどうなの? その美人先輩とは」
「どうもこうも……仲良くさせて貰ってるだけだよ」
「ほんとにー?」
「ほんとほんと」
「うーん……俄然明日どうなるのか気になってきた。妹同伴も考えてみない?」
「それはちょっと……」
冗談だと思ったので僕はわざとらしいリアクションをしながら断ろうとしたけど、明莉はわりと本気に聞こえる言い方でもう一度言ってきた。
結局、この日は明莉からの情報よりも僕から話した情報の方が多かったような気がする。
そして、話を聞いた明莉は僕と同じくらいソワソワし始めていたので、同じ血が流れているというか、身内の浮ついた話は誰しも気になってしまうんだなぁと思った。
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