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2年生1学期

6月9日(木)晴れのち曇り 野島実香との日常その3

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 流れるままに木曜日。明莉のことをずっと引きずっているように思われるかもしれないけど、それ以外で見ると今週は平和なもので、気付けば週末が迫っていた。
 そして、僕はこの休みが来るのを少し……いや、かなり楽しみにしていた。なぜなら――

「産賀くん、今度の日曜日に清水先輩と出かけるんだよね?」

 野島さんに脈絡なくそう言われたので、僕は固まってしまった。そう、その予定があるのは本当なんだけど、なぜ野島さんが――

「それって……デートだよね!」

「ぶっ!? ち、違……」

「いやいや、産賀くん。2人きりで出かけるならデートって単語使っていいんだよ? 別に深い意味はないから」

 そう言いつつも野島さんはやけにニヤニヤしていた。

「ま、まぁ、そうか。女の子2人でもデートって使うみたいだし」

「それで、本当のところは何なの?」

「ほ、本当も何もないよ。単に出かけるだけ。そもそもなんで野島さんが知ってるの」

「清水先輩が教えてくれたから」

「教えたんだ……」

「別に出かけるだけの予定なら私が知ってても問題ないよね?」

「も、もちろん」

「じゃあ、どこに行くかまでは聞いてないから教えて貰ってもいい?」

 野島さんは少し前のめりになってそう聞く。それに対して僕は話しそうになってしまったけど、寸前のところで止める。

「それはちょっと」

「えー 別にいいじゃん。どうせ来週には清水先輩から聞くんだし」

「……そのことなんだけど、こういう情報って清水先輩から筒抜けなの?」

「ううん。清水先輩の名誉のために言っておくと、全部話してくれるわけじゃないよ。たぶん私が聞きだすのが上手いだけ」

「どこからくる自信なの」

「まぁ、それは冗談として、今回は清水先輩から率先して話してたから清水先輩的に誰かに言いたかったことなんじゃない? 未だに清水先輩って自分のことはあんまり話さないから珍しいパターンだし」

「そ、そっか……」

「おお。まんざらでもなさそう」

 野島さんに指摘されて僕は自分の頬を軽く叩く。駄目だ、完全に浮ついてしまっている。

「わかりました。デートの結果は来週の楽しみに取っておきます。だから、月曜日にちゃんと報告してね!」

「報告するようなことはないと思うけど」

「普通に遊んで楽しかったとかでもいいから。私は少しの情報でも楽しめると思うし」

 今度は冗談と言わなかったので野島さんは本当にこの状況を楽しんでいるのだろう。いや、思い返すと野島さんと知り合った時からずっとそうだった気がする。

 でも、それと張り合うわけじゃないけど、僕もなかなか変なテンションになっている自覚はあるので、空回りしないようにしたいと思う……ただのお出かけだけど!
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