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2年生1学期
6月6日(月)雨のち曇り 拡散する大山亜里沙その9
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ところによっては梅雨入りした月曜日。昨日の衝撃は一晩かけても全部消化できたわけではないけど、それを気にしていては普段の生活は送れない。
「うぶクン、おめでとー!」
だから、この日の朝から大山さんにいきなり祝われたのが何の事か一瞬わからなかった。
「あれ? もしかして、うぶクン的にはそんなにめでたいことでもなかった……?」
「ああ、明莉のこともう知ってるんだ。大山さんありがとう。色々アドバイスして貰ってたみたいで」
「ううん、アタシは何もしてないよ。明莉ちゃんの話をちょっと聞いてただけだし」
「だったら、何話してるか教えてくれても良かったんじゃ……」
「いや、それはダメでしょ。というか、うぶクン……やっぱりちょっと思うところアリ?」
大山さんはそう言いながら僕の様子を窺う。
「別にない……と言ったら嘘になるけど、僕は明莉に好きな人がいることすら知らなかったのに、大山さんは色々知っていたのは何だかなと」
「ゴメンってば。アタシだってうぶクンに言っても問題なさそうだとは思ったんだケド……」
「けど?」
「ほ、ほら。正直言うと、アタシに恋愛相談するのって間違ってるじゃん? 付き合っても成功例がないというか……むしろダメな見本というか……それなのにアドバイスしてるのうぶクンに知られたらちょっと恥いと思って」
「ご、ごめん。そんなつもりで言ったわけじゃないんだ」
「ふふっ、なんでうぶクンが謝ってるの。まぁでも、反面教師としてアドバイスできる部分もあったから結果的にアタシで良かったと思う!」
「そ、そうなんだ……うん。僕も大山さんで良かったと思う。明莉が凄く感謝してたから」
「照れるなー もっと褒めてもいいよ?」
「よっ、恋愛マスター」
「その称号はちょっと重いかな……」
そう言った後に大山さんは吹き出すので、僕も釣られて笑う。
「まぁ、終わり良ければ総て良しってことで! いや、明莉ちゃんにとっては始まりなんだケド」
「始まりかぁ……これから顔見せられることもあるんだろうなぁ」
「うぶクン的には見たくないの?」
「いや、気になるから見てみたさはあるけど、どう接していいかわからなくなりそうで。大山さんは……お兄さんかお姉さんでそういう経験ある?」
「両方あるよ。兄貴に関しては3回あるし……アタシも逆に紹介することもあった」
「あっ……いや、その……」
「もう、うぶクンが気にしてどうすんの。その経験からすると、ちょっと挨拶するくらいであんまり絡まないから大丈夫だと思う。彼氏クンのタイプにもよるけど」
「それなら大丈夫なのかな」
「楽しみにしとくくらいがちょうどいいって。それより、アタシもさすがに彼氏クンの顔までは見せられてないから、会った後どんな人だったか教えてね!」
大山さんは楽し気にそう言う。ただ、これまでお世話になったことを考えると、大山さんが知る権利は十分ある。
そして、朝からこんな話をしてしまったせいで、結局今日の僕はいつ会うかもわからない明莉の彼氏との接し方を考えたり、考えたくないと思ったりすることになった。
いつも通り僕の気にし過ぎなんだけど……こればっかりはもう暫く気にしてしまうことだろう。
「うぶクン、おめでとー!」
だから、この日の朝から大山さんにいきなり祝われたのが何の事か一瞬わからなかった。
「あれ? もしかして、うぶクン的にはそんなにめでたいことでもなかった……?」
「ああ、明莉のこともう知ってるんだ。大山さんありがとう。色々アドバイスして貰ってたみたいで」
「ううん、アタシは何もしてないよ。明莉ちゃんの話をちょっと聞いてただけだし」
「だったら、何話してるか教えてくれても良かったんじゃ……」
「いや、それはダメでしょ。というか、うぶクン……やっぱりちょっと思うところアリ?」
大山さんはそう言いながら僕の様子を窺う。
「別にない……と言ったら嘘になるけど、僕は明莉に好きな人がいることすら知らなかったのに、大山さんは色々知っていたのは何だかなと」
「ゴメンってば。アタシだってうぶクンに言っても問題なさそうだとは思ったんだケド……」
「けど?」
「ほ、ほら。正直言うと、アタシに恋愛相談するのって間違ってるじゃん? 付き合っても成功例がないというか……むしろダメな見本というか……それなのにアドバイスしてるのうぶクンに知られたらちょっと恥いと思って」
「ご、ごめん。そんなつもりで言ったわけじゃないんだ」
「ふふっ、なんでうぶクンが謝ってるの。まぁでも、反面教師としてアドバイスできる部分もあったから結果的にアタシで良かったと思う!」
「そ、そうなんだ……うん。僕も大山さんで良かったと思う。明莉が凄く感謝してたから」
「照れるなー もっと褒めてもいいよ?」
「よっ、恋愛マスター」
「その称号はちょっと重いかな……」
そう言った後に大山さんは吹き出すので、僕も釣られて笑う。
「まぁ、終わり良ければ総て良しってことで! いや、明莉ちゃんにとっては始まりなんだケド」
「始まりかぁ……これから顔見せられることもあるんだろうなぁ」
「うぶクン的には見たくないの?」
「いや、気になるから見てみたさはあるけど、どう接していいかわからなくなりそうで。大山さんは……お兄さんかお姉さんでそういう経験ある?」
「両方あるよ。兄貴に関しては3回あるし……アタシも逆に紹介することもあった」
「あっ……いや、その……」
「もう、うぶクンが気にしてどうすんの。その経験からすると、ちょっと挨拶するくらいであんまり絡まないから大丈夫だと思う。彼氏クンのタイプにもよるけど」
「それなら大丈夫なのかな」
「楽しみにしとくくらいがちょうどいいって。それより、アタシもさすがに彼氏クンの顔までは見せられてないから、会った後どんな人だったか教えてね!」
大山さんは楽し気にそう言う。ただ、これまでお世話になったことを考えると、大山さんが知る権利は十分ある。
そして、朝からこんな話をしてしまったせいで、結局今日の僕はいつ会うかもわからない明莉の彼氏との接し方を考えたり、考えたくないと思ったりすることになった。
いつも通り僕の気にし過ぎなんだけど……こればっかりはもう暫く気にしてしまうことだろう。
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