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2年生1学期

5月16日(月)曇り 拡散する大山亜里沙その6

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 またも微妙な天気で始まった月曜日。3日後がテストということで、クラス内でもテスト範囲を確認したり、教科書から出題し合ったりするテスト前の光景が増えてきた。

 そして、テスト前に恒例となっている大山さんとのあのこともこの日聞くことになった。

「ねぇねぇ。中間テストでどっちがいい点取るか勝負してみない……ミチ?」

「しょ、勝負?」

 ただ、勝負を持ちかけられたのは僕ではなく路ちゃんだった。それが予想外だったので、僕は思わず大山さんの方を見てしまう。

「そうそう。競い合う相手がいた方がモチベーション上がるでしょ? 1年生の時もクラスの人とやってたんだ。うぶクンとか、ね?」

「あ、ああ。うん」

 大山さんは自然な流れで僕に振ってきた。

「でも、わたしは競えるほどいい点数取れないから……」

「そうなの? ミチは頭良さそうに見え――」

「お、大山さん! ちょっと!」

 大山さんの言葉に路ちゃんが小さくなっていくのがわかったので僕は強引に止める。それから大山さんをこちらへ手招きした。

「もしかして……アタシ良くないこと言った?」

「まぁ、うん……別に極端に良くないわけじゃないんだけどね」

「ごめん、ミチ! アタシの言ったことは忘れて!」

「ううん。その……勝負できるかはわからないけれど、亜里沙ちゃんのモチベーションになるならそのつもりで今回のテストを挑んむのいいかも」

「いやいや。アタシのことは全然気にしないで……そうだ! それなら一緒にテスト勉強するとかどう? アタシも全部の教科得意なわけじゃないから、お互いに教え合うカンジで!」

「そ、それは……」

 路ちゃんは言葉に詰まりながら僕の方を一瞬見る。テストの時期と言えば、路ちゃんや花園さんと一緒にやるテスト勉強も恒例だった。
 路ちゃんはそれを気にしてくれているのかもしれないけど、僕は首を横に振った。それを確認した上で路ちゃんは少し考えた後、大山さんに喋りかける。

「わたしで良ければ。たぶん教えて貰うばかりなるとは思うけれど……」

「任せといて! じゃあじゃあ、ぞのサンも誘って――」

 その後の話は僕に関係なさそうだったので、自分のことに意識を向けることにした。

 テストの時の恒例と言ってはいるけど、学年が変われば色々と違ってくることもあるだろう。
 まぁ、大事なのはちゃんとテストに向けた準備をすることなので、大山さんや路ちゃんが一番やりやすい勉強方法を取ってくれればそれが一番いい。
 なんてことを上から言えるほど、余裕があるわけじゃないので僕も恒例のことだけじゃなく、新たな勉強方法を試してみようと思った。
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