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2年生1学期

4月18日(月)曇り時々晴れ 花園華凛との日常その12

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 新学期が始まって3週目の月曜日。このくらいの時期になると、クラス内での休み時間の過ごし方とか、各授業の要領とかがわかり始めて、幾分かルーティン化されていく、と僕は勝手に思っている。

 そんな日の昼休みに意外な光景を目にする。

「アリサちゃんもそう思いますか」

「思う思う! やっぱさー、組み合わせるなら……」

「わたしはあんまりだけれど、選ぶとしたら……」

 そこには仲良さそうに話す三人の姿があった。
 大山さんと岸本さんは先週の一件から短い休み時間に話す光景はよく見るし、岸本さんと花園さんの仲が良いのは言わずもがなである。
 しかし、大山さんと花園さんが絡んでいるのは僕が覚えている限りだと初めて見る光景だった。大山さんが普段集まっている時は今年度も同じクラスだった茶道部の野島さんや他の活発な女子のグループになる。
 だから、岸本さんと花園さんが二人でいる時には大山さんが絡むタイミングはあまりないと思っていた。

「あっ、うぶクンじゃん。どしたのこっち見つめて?」

 そう思っている間に三人が近付いてきていたので、大山さんに声をかけられてしまった。変に誤魔化すわけにもいかないので、僕は素直に言う。

「いや、意外な集まりだと思って」

「そう? 三人とも同じクラスだよ?」

「リョウスケはそういうところがありますね」

「どういうところ……?」

「えっ、ぞのサン。うぶクンのこと呼び捨てにしてるの?」

「はい。ですが、うぶクンもいい響きなので今後はそちらでもいいかもしれません」

 花園さんはそう言うけど、僕はその前に花園さんのあだ名の方が気になってしまった。単に話しているわけじゃなく、そのレベルで打ち解けているとは思わなかった。

「あっ、うぶクンの疑問に答えておくと、先週ミチと話しててぞのサンの話題が出てたから、アタシが……火曜日の放課後だっけ? そこでちょっと話しかけたの」

「その時に以前お店に来てくれたことを思い出して、それから話が弾んだ次第です。別に意外でも何でもありません」

「そ、そうだったんだ」

「ちなみにリョウスケのそういうところと言うのは、一部察しが悪いところがあるという意味です」

「いや、確かに大山さんに花園さんの店を紹介したのは僕だけど、それだけでこんなに仲良くなってるとは思わなくて」

「まぁ、それ以外にも共通する話題があったし。うぶクンの話とかね」

「僕の話……ううん。聞かないでおこう」

「心配しないでも悪口ではありません。愚痴はあるかもしれませんが」

「えっ!?」

「冗談です」

「おー ぞのサン、転がすの上手いねぇ」

 感心する大山さんに対して花園さんは得意げな表情になった。僕は思わず岸本さんの方に目線を向けて助けを求めるけど、岸本さんも困った顔で返す。ということは……本当に愚痴もあったのだろうか。

 1年生の頃は岸本さん以外とあまり関わりが無さそうだった花園さんが楽しそうに話せているのは、大山さんとの相性が良かったのか、それとも大山さんが懐に入るのが上手いのか。僕の予想だと後者が中心で前者も半分くらいあると思う。

 その会話に僕が出てくることは役立てて嬉しいような、何を言われているか怖いような、複雑な感じだけど、とりあえず詳しいところまでは聞かないスタンスは変えないでいようと思った。
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