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1年生春休み
4月3日(日)晴れ 清水先輩との春散歩その2
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春休み9日目。この日も無事に早起きできたので、僕から清水先輩の朝の散歩へ付いて行くように志願した。先日も思ったことだけど、春の程よい気温で朝から散歩するのはとても気持ちがいいものだ。
更に言えば、ここ数日は桜がちょうど見ごろになので、散歩で行くあちこちで春らしい景色が見られることも散歩へ行くモチベーションになっている。
そんな今日は春休み最後の日曜日ということもあってか、桜の木の傍でお花見している人がちらほらと見えた。
「そんなわけで実は私も成人の仲間入りをしていたってわけだ」
しかし、一緒に散歩する清水先輩は花よりお話、もしくは散歩といった感じで、それほど桜に興味を示していなかった。毎日散歩しているからあまり感動しなくなってしまうのだろうか。
「清水先輩の誕生日は12月ですよね? だったら、まだ成人じゃないのでは?」
「あれ? 見た話だと18歳が一斉に……あっ、私まだ17歳か」
「さすがに今から年齢がわからなくなるのまずくないですか」
「い、いや、高校3年生になるから実質的に18歳みたいなものだと勘違いしてただけだ。決して年齢を忘れていたわけではない」
清水先輩はそう言い訳するけど、学校へ行っている時の曜日感覚が怪しい人だから自分の年齢もそんなに意識してなさそうな気がする。
「えー、本当ですか?」
「なんで疑うんだ。まったく良助はたまに冷たい……なんか今日は騒がしいな。祭りでもあるのか?」
「お花見している人が多いだけですよ。さっきもカラオケの機材みたいなやつ持ち込んで歌ってたりしてましたし」
「なるほどなぁ。それで言うなら私なんて毎日花見しているようなものだ」
「でも、腰を下ろして何か食べながら見てるわけじゃないですよね? それとも今年はもうそういうお花見したんですか?」
「んー、花見らしい花見をしたのは……よく考えるとあまりないかもしれない。小さい頃に数回あるかどうか」
「そうなんですか……って、僕も最近は通りがかる時に桜を見るくらいです。なんだかんだみんな見に行っているようなところへ行くと、桜よりも人混みの方が気になっちゃいますし」
「だったら、今から二人で久しぶりの花見でもするか。適当にコンビニでも寄って何か買おう」
「えっ!?」
「嫌なら別にいいが……」
「ぜ、全然大丈夫です!」
それから数分後。コンビニに寄って軽食やお菓子を購入した僕と清水先輩は再び少し歩いて桜の木が並ぶ河原へ腰を下ろす。雑草がうっそうとしているので、本当ならビニールシートを敷いた方がいいけど、思い付きだからそれも仕方ない。
「あーむ……うん。まぁ、桜を見たことで劇的に味が変わることはないが、美味しいな。フライドチキン」
「ですねぇ。そう考えると、なんで桜を見ながらみんなでご飯を食べるようになったんだろう……」
「こういうのはだいたい祭典がだんだん意味が変わっていって……みたい感じだと思う。元々は私たちが食べることがメインじゃなかったが、今はそこだけ残ってしまった的な」
「へぇ~」
「おいおい。結構適当なことを言っているから信じない方がいいぞ」
「いや、清水先輩が先輩っぽく教えてくれたのがなんか珍しくて」
「良助。それじゃあ、普段の私が先輩っぽくないみたいじゃないか……?」
「すみません。つい……」
「まったく……でも、確かに悪くないな。誰かと喋りながらご飯を食べて、ついでに桜が見られる。毎年やるかどうかは別として、行きたくなる気持ちはわかった気がする」
「桜の方がついでですか」
「それはそうだろう。花を見るよりも良助と話してた方が楽しいからな」
清水先輩は何の気なくまたそんなことを言う。別に誘導するために桜の話題を振ったわけじゃないけど、二人で花見をすることになった。その事実と今の状況を冷静に考えると、ちょっぴり恥ずかしくてドキドキする。
だけど、僕も楽しいこともまた事実であるから、わざわざ毎日早起きしたり、今日もこうやって清水先輩の思い付きに付き合わせて貰ったりしているだ。
その後も暫く食事とお喋りと桜を楽しんで、充実した午前中は終わった。
更に言えば、ここ数日は桜がちょうど見ごろになので、散歩で行くあちこちで春らしい景色が見られることも散歩へ行くモチベーションになっている。
そんな今日は春休み最後の日曜日ということもあってか、桜の木の傍でお花見している人がちらほらと見えた。
「そんなわけで実は私も成人の仲間入りをしていたってわけだ」
しかし、一緒に散歩する清水先輩は花よりお話、もしくは散歩といった感じで、それほど桜に興味を示していなかった。毎日散歩しているからあまり感動しなくなってしまうのだろうか。
「清水先輩の誕生日は12月ですよね? だったら、まだ成人じゃないのでは?」
「あれ? 見た話だと18歳が一斉に……あっ、私まだ17歳か」
「さすがに今から年齢がわからなくなるのまずくないですか」
「い、いや、高校3年生になるから実質的に18歳みたいなものだと勘違いしてただけだ。決して年齢を忘れていたわけではない」
清水先輩はそう言い訳するけど、学校へ行っている時の曜日感覚が怪しい人だから自分の年齢もそんなに意識してなさそうな気がする。
「えー、本当ですか?」
「なんで疑うんだ。まったく良助はたまに冷たい……なんか今日は騒がしいな。祭りでもあるのか?」
「お花見している人が多いだけですよ。さっきもカラオケの機材みたいなやつ持ち込んで歌ってたりしてましたし」
「なるほどなぁ。それで言うなら私なんて毎日花見しているようなものだ」
「でも、腰を下ろして何か食べながら見てるわけじゃないですよね? それとも今年はもうそういうお花見したんですか?」
「んー、花見らしい花見をしたのは……よく考えるとあまりないかもしれない。小さい頃に数回あるかどうか」
「そうなんですか……って、僕も最近は通りがかる時に桜を見るくらいです。なんだかんだみんな見に行っているようなところへ行くと、桜よりも人混みの方が気になっちゃいますし」
「だったら、今から二人で久しぶりの花見でもするか。適当にコンビニでも寄って何か買おう」
「えっ!?」
「嫌なら別にいいが……」
「ぜ、全然大丈夫です!」
それから数分後。コンビニに寄って軽食やお菓子を購入した僕と清水先輩は再び少し歩いて桜の木が並ぶ河原へ腰を下ろす。雑草がうっそうとしているので、本当ならビニールシートを敷いた方がいいけど、思い付きだからそれも仕方ない。
「あーむ……うん。まぁ、桜を見たことで劇的に味が変わることはないが、美味しいな。フライドチキン」
「ですねぇ。そう考えると、なんで桜を見ながらみんなでご飯を食べるようになったんだろう……」
「こういうのはだいたい祭典がだんだん意味が変わっていって……みたい感じだと思う。元々は私たちが食べることがメインじゃなかったが、今はそこだけ残ってしまった的な」
「へぇ~」
「おいおい。結構適当なことを言っているから信じない方がいいぞ」
「いや、清水先輩が先輩っぽく教えてくれたのがなんか珍しくて」
「良助。それじゃあ、普段の私が先輩っぽくないみたいじゃないか……?」
「すみません。つい……」
「まったく……でも、確かに悪くないな。誰かと喋りながらご飯を食べて、ついでに桜が見られる。毎年やるかどうかは別として、行きたくなる気持ちはわかった気がする」
「桜の方がついでですか」
「それはそうだろう。花を見るよりも良助と話してた方が楽しいからな」
清水先輩は何の気なくまたそんなことを言う。別に誘導するために桜の話題を振ったわけじゃないけど、二人で花見をすることになった。その事実と今の状況を冷静に考えると、ちょっぴり恥ずかしくてドキドキする。
だけど、僕も楽しいこともまた事実であるから、わざわざ毎日早起きしたり、今日もこうやって清水先輩の思い付きに付き合わせて貰ったりしているだ。
その後も暫く食事とお喋りと桜を楽しんで、充実した午前中は終わった。
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